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男子辞めます。  作者: 安田 桜
8/18

今までとこれからと1

悪夢の後、また僕は眠りに落ちていた。

次に目を覚ました時には正午を回っていた。

相変わらず曇天のままだ。


「いってぇ…。」


重い頭を上げ起き上がる。

さすがに昨日は飲みすぎた。

高野はちゃんと帰れたのか…。


水を飲もうとキッチンへ向かう。


その場は気晴らしになったが、酒のせいか酷い悪夢を見た。

せっかくの休日だが、このままベッドの中で過ごすことにしよう。


ふと周りを部屋を見渡す。

普通の1DKだ。

自分で言うのもなんだが、殺風景な部屋だ。

必要最低限の家具しかない。

自炊の為に調理器具だけは充実している。

実際、食事を摂って風呂に入って寝るだけだ。


「小学校の頃はぬいぐるみにパステルカラーの多い部屋だったな…。」


それに比べ今は色がない。

無いわけじゃないのだが、無難な白や黒、ブラウンばかりだ。


重い体を引きずるようにまたベッドへ戻る。


『人って変われるもんなんだなぁ…。』


高野の言葉を思い出す。


「僕でも変われるのかな…。ははっ…、無理だったじゃないか…。男らしくなろうとしたのに…。」


何故か涙が流れる。


大きなため息ひとつ。

スマートフォンを取り上げると僕は『性同一性障害』や『女性ホルモン』の効果を調べていた。

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