子育ては森の中14
お久しぶりです。
こそっと投稿。
みなさん、こんにちは。
よく訳のわからないまま勢いで契約をかまし、シオンに説教された流れから、現在進行形で《契約》についてのレクチャーを受けてる、ナナです。
差し当たり、わかったことを整理してみると……。
①魂が結びつけられることにより、相手の状況や感情が伝わるようになるよ。更に念話が使えるようになるから意思疎通も楽々。やったね!
②契約者の側にいつでも転移できるようになるよ(聖獣側のみ)
③契約すると、人間側の体力や魔力が向上するよ。おまけに寿命が延び老化も遅くなるよ。
て、事らしい。
正確にはコレ、『魂の一部を契約によって結び合わせた時に起こる現象』ってやつみたいだけど。
本来の《契約》には、お互いに相手に望む事を組み込んで締結するんだって。
「のぞむこちょ………。あ!いっちょにいるっていっちゃよ?」
「そうだな。俺が望んだのもそれだけかも」
アサギと2人顔を見合わせて頷き合う。
『そう。2人ともそれだけしか願わなかったせいで、逆にどこまでのことができるようになってるのか予想がつきにくいんだよね。自由に調整できる幅が広過ぎて、なんか色々盛られてそうで怖い』
ため息をつくようにシオンが溢すけど……。
出来るようになったって、もられて……?盛られる?誰に?
『そこから分かってないか、ヤッパリ』
肩を落とすシオンに、クスクスと笑うアカネ。
『あのね、私たちは神様に使える御使いと言われているでしょう?それぞれに使える神様がいて、私たち銀狼族の場合は月の女神様』
わかる?というように首を傾げるアカネ。
もちろん知ってますとも。花の妖精女王様に教えていただきましたから!
ちゃんと覚えてますよ!
胸を張って頷けば、良い子と言うようにアカネがペロンと舐めてくれる。
『契約というのは、その仕えている神様に宣誓して認めてもらうことなの。加護を与えられている私たちが選んだ存在ということで、間接的にだけど契約者も神様の加護を受けることができるようになる』
『魔力が増えたり、幸運に恵まれるようになったり。こうやって、種族が違っても意思疎通ができるのも、そのおかげだな』
アカネの説明にアサギも参加してくる。と、いうかアカネの後を継ぐようにペロペロ……。
なんでグルーミングが始まってんのかね?アサギさんや?
なんか、触れられているところから『うれしい。しあわせ』的な感情が伝わってくるんだけど、コレが、相手の気持ちがわかるってやつ?
「しょれって、なんかしゅごいね?」
つまり、単純に契約した聖獣の力を貸してもらえるだけでなく、契約者本人にも恩恵があるんだ。
『もちろん、良いことばかりじゃないよ?』
真剣な声でシオンが言う。
『仮にも聖獣が神様に誓って加護をもらうんだ。手に入れた力を悪用しようとすれば、天罰が下されることだってある』
「てんばちゅ………」
ピンと来なくて首を傾げる。
『私欲のために他者を虐げた……。他国民を遊びで大量虐殺した昔の王様は、最終的には狂ってしまった聖獣に食い殺されてしまったみたい。ついでに大飢饉の末国が滅びたって』
「にゃにそれ、こわい」
本人どころか国ごと終了のお知らせって、苛烈過ぎやしませんか?
『聖獣に選ばれるくらいだから、元は志の高い人だったみたいなんだけどね。色々あって欲に飲まれちゃったみたい。……人間って弱いよね』
ため息ついてやれやれって空気出してるけど、そんな軽い反応で良いの?
てか、そんな過剰な力いらないんだけど。
『いいじゃん、難しく考えなくても。喋れるようになって、多分、魔力が底上げされたんだぜ?喜べよ。鍛えれば、俺たちに遅れることなく、どこにでも一緒に行けるようになったんだぞ?』
話している間も、私を抱え込むようにグルーミングしていたアサギが、グルグルと喉を鳴らしながら言う。
「どこにでもいっちょ?」
『おう。魔力意識してみろよ。だいぶ増えてるはずだぞ?』
アサギに促されて、体内を流れている魔力を探ってみる。
血液とは別に、体内を流れる穏やかな流れが、意識してみれば、確かにいつもより大きい。
と言うか、これは………。
「そちょから、ながれこんでりゅ……」
自分のものではない魔力が、どこからか入り込んできて、くるりと体を回った後、またどこかに抜けていってるんだけど。
『それ、アサギの魔力ね。今は意識してないから、一定量が自然に流れ込んでるけど、その気になったら、いくらでも引き出すことできると思うわよ?なんなら、眷属化してる私たちからも』
つまり、契約することでつながった何かを通して、アサギたちから魔力提供してもらいたい放題ってこと?
それってなんてモバイルバッテリー?
ふと、思いついて、抱え込まれていたアサギの前足の間から逃げると、グッと足に魔力をこめる。
で、思いっきりジャンプしてみた。ら。
『あ、バカナナ』
「うにゃあぁぁぁぁ」
空高く舞い上がりましたよ。ものすごいスピードで。
予想以上に高く飛び上がったことで、驚いて体勢崩しちゃったら、慌ててアサギが追いかけてくれて上手に空中で襟首咥ええて、上手に着地してことなきを得た。
セーフ。
『もともと一緒に過ごしてたから魔力の馴染みがいいんだろうな』
『そうねえ、色々検証して使うようにしないと事故の元ね、これは』
呆れたようにしみじみしてるけど、本当に怖かった。
雲までとは言わないけど、10メートルくらいは飛んだ気がするんだけど。
そういえば、3人とも木の上まで飛び上がってたね。
風の補助魔法的なものを使ってたのかと思ったけど、単純な身体強化のみだったって事?
銀狼半端ないな。
地面に膝をついて呆然としてる私を慰めるようにアカネが撫でた。
『明日から、何ができて何ができないか検証しようね、ナナ』
「はぁ〜い」
いい子のお返事をしたあの時の私。
もうちょっと考えて返事することをお勧めするよ。
かなりのスパルタコースだったから。
何度かお星様になりかけて、何度かやばいお花畑見えたから。
まぁ、返事しなかったからって、拒否権なんてなかったとは思うけどね。
読んでくださり、ありがとうございました。
実は作者、流行りのコロナにかかりまして。
最初の3日は辛かったのですが、幸い4日も経つと復活して暇を持て余し始めた次第でございます。
ある意味時間の有効活用な感じで(^^)
勢い発進のため、ノー推敲です!




