表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/84

第73話 神鹿壬雲レキハ その3

 話がひと段落して、室内に静寂が訪れるも。


 ふと。

 思い出したようにレキハさんが口を開く。


「そういえば、さっき受付の女の人に聞いたんですけど。今回の受験者ってウチらふたりだけっぽいですね?」


「僕もそれ聞いてかなり驚きでした」


「なんか年々受験者は減ってるみたいなんですよ~。ウチ、ここへ来る前にいろいろ調べてて。クランの規模自体がかなり縮小してるっぽいんです。今じゃ政府はほとんどノータッチみたいですよ? 【神を斬獲せし誓い(レインオブファイア)】が実質、運営を取り仕切ってるって話です」


「え?」


「聞いたことありません? 人類で一番ダンジョンの深い場所に到達したパーティって。有名なはずですけど」


「そうなんですね」


 正直、初耳だ。


「僕の記憶だと。たしかユイっていう探索者が人類未踏の最深部にたどり着いたって。そんなニュースをネットで見た気がしたんですけど」


「その認識で合ってますっ。ユイは【神を斬獲せし誓い】のメンバーなんです。一応、おおやけにはパーティでたどり着いたってことになってますけど。ユイ以外の仲間は、途中でリタイアしてたっぽくて。実際、最深部に到達したのはユイひとりだけだったみたいですね」


 レキハさんによれば。


 【神を斬獲せし誓い】は、日本政府より選定された超有能な探索者の集まりらしくて。

 探索者クランの下部組織にあたるみたい。


 現在、リーダーはそのユイって人が任せられてるって話だ。


 ほとんどダンチューバーの配信を見ない僕も。

 ユイの名前だけは耳にしたことがあって。


 一般的にもかなりの有名人。


(高校に入ってすぐダンチューバーをはじめて、1ヶ月もしないうちにチャンネル登録者数が100万人を越えたんだっけ?)


 完全にうる覚えだけど。

 でも、大きくは間違ってないはず。


 美少女カリスマ配信者として、一時期めちゃくちゃ話題になってたし。

 

 最近じゃめっきり名前を聞くことがなくなって。

 表舞台から姿を消したのかなって思ってたけど。

 

 どうやら。

 今は探索者クランで仕事に専念してるみたい。


「それでなんですけど。今回の試験。そのユイが自ら行うんじゃないかって。そんな話があるんです~♪」


「リーダー自らですか?」


「あくまでも噂ですけどねー。でも、ここ1年くらいでライセンスを取得した探索者はなんとゼロみたいで。それは試験官が変わったことが原因っぽいんですよ」


 その話を聞いて。

 先ほどの〝試験官がとても厳しい方に変わられたみたい〟っていう陽子さんの言葉がよみがえる。

 

 なるほど。 

 あながちレキハさんの読みは間違ってないかも。


(地下54階までたどり着くには、相当熟練した戦闘技術や状況判断が不可欠だろうし)


 それに強靭な精神力も必要だ。


 本当にユイが務めるとすれば。

 それは、まさにレジェンドって呼べる試験官だよね。


(ヤバい。なんか緊張してきたかも) 


 と、そこで。



 キンコーン、カンコーン。



 学校のチャイムみたいな音が鳴り響いた。

 部屋に置かれたデジタルの時計に一度目を向ける。


(9時10分・・・。たしか9時30分から講習開始だったよね?)


「そろそろ試験官来ちゃいそうですね! ウチも座っちゃいますー☆ 隣りいいですか~?」


「もちろんです。どうぞ」


「ありがとぉーございますっ☆ うわぁ、エデンさんの隣りだー。なんか感動っ~♪」


 ちょうどレキハさんが席についた瞬間。



 ガラガラーー。


 

 今度はドアが開く。

 

 最初に顔を見せたのは受付嬢のお姉さん。

 そのうしろから。


(!)


 思わず目を見開いてしまうほどの美人さんが一緒に入ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ