表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/84

第40話 3rdダンジョン XII

 地下6階、地下7階と。 


 あのあとは、とくに大きな障壁もなく進めていて。



 ヴゥーーン!



 今、ちょうど地下8階にふたりで降り立ったところ。


「ハァハァ・・・。ようやくB8ですわねっ・・・」


 すとんと。

 その場にしゃがみ込んでしまうワデアさん。


 息も切れ切れで相当疲れてる感じだ。


 配信をはじめて1時間半。

 ここまでぶっ通しで来てしまってる。


 いつもはひとりだから全然気にならなかったけど。


 今日はワデアさんも一緒なんだし。

 こっちが気を遣わないとだよね。


 ちょうどエネミーの姿がないのを確認すると。

 ワデアさんに提案してみる。


「いったんここらで休憩にしましょうか」


「も、申し訳ありませんわ・・・。そうしていただけると大変助かりますわっ」


:ワデア嬢バテてるやんw

:そりゃそう

:だと思ったw

:ですよねw

:バテてるワデアすこ

:ふだんはB1を周回してるだけだしなw

:これぞスラ専の本領ww

:ワデアじゃなくてもこのペースでついて行くのは無理だよ


 突発的な配信だっていうのに。

 同接数は17593人を記録してる。

 

 目で追えないくらいのスピードでコメントが流れてて。

 その量もエグい。 


 ぺたりと通路に座りながら休んでるワデアさんを横目に見る。

 

(ほんとすごい人だよね)


 ちょっとコメントを読むだけで。

 リスナーさんにめちゃくちゃ愛されてるってのが伝わってくるし。


 これもすべて。

 ワデアさんの人柄によるものなんだろうな。


 なんか尊敬かも。

 

(ほかのダンチューバーさんの配信は、ほとんど見たことがないんだけど)


 いつか僕もこうなりたいって。

 今、そんな風に考えてる自分が不思議だった。



 かちゃ。



「? なんですの?」


 そのとき。

 不気味な音が通路に響き渡る。


 あっ・・・。

 これはひょっとして。


 その場で座ったままキョロキョロあたりを見渡すワデアさん。

 お尻がある物に触れてることにまだ気づいてない。


「ちょっとマズいことになりそうです」


「はい?」


「まずはそのボタンから離れましょう」


「ボタンってなんですの?」


 僕が指さすと。

 ワデアさんは慌てながら立ち上がる。


 気づいたみたいだ。

 

「はわわぁ~っ!? エデンさまっ! こ、これって!?」


「トラップですね」


 ボタンを踏むことによって発動するタイプの罠。

 ダンジョンでよく見かける仕掛けのひとつなんだけど。


(これは・・・大洪水?)


 今回も運の悪いことに。

 一番面倒なトラップに当たっちゃったみたい。


「わたくし、やっちゃったみたいですわぁぁっ~~!?」


:安定のポンコツww

:これぞワデア嬢ww

:俺たちのワデアが帰ってきたぞ!

:ポンコツ尊いw

:これこれ!

:ワデアちゃんかわちいww

:ええやんw

:赤スパに説教してた時とのギャップww

:これぞワデアクオリティー!



 ゴオオオオオ!!



 通路全体が大きく振動する。

 

:あ

:お?

:マズくね?

:ん?

:音www

:なにこれ?

:怖っw

:ワデアwww

:大洪水のトラップじゃんw

:やべええええええ


 この場に留まっていれば。

 数分もしないうちに大洪水に飲み込まれてしまうに違いない。


 でも。

 僕はまったく焦ってなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ