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第19話 2ndダンジョン Ⅲ

 ヴゥーーン!


(地下17階に到達、っと)


 ようやく『練馬ダンジョン』の最下層まで降りてきた。


 と言っても。

 やることは普段と変わらない。


 〝紫月しづきのために最下層を隅々まで見てまわる〟

 

 これこそが。

 僕がダンジョンに潜ってる理由のすべてだった。




(その前に。赤魔法陣の位置を確認しておこう)


 ・・・?

 

 おかしいな。

 ボディコンソールに表示されたマップには、赤魔法陣のアイコンが記されてなかった。


 なるほど。 

 ちょっと面倒だけど、そういうことらしい。


:もう最下層かよw

:ガチ勢っぽいわ、この配信主

:一度もエネミーと戦闘してないとかww

:あいかわらずエグい

:エデン最強!


 同接数はすでに400人近くまで伸びてて。

 昨日の配信よりも多い。


 これだけ大勢のリスナーさんが見てくれてるわけだし。

 ちゃんと説明しておいた方がいいよね。


「皆さん、ここまでご視聴いただきありがとうございます。最下層に到達しました」


:おめ!

:さすがだわ

:おめでとうー

:まだ配信はじめてから1時間経ってないw

:すげぇw

:自慢か?

:これは評価されるべき

:ナイス!


「ですが、ちょっと厄介なことがありまして。どうやらこの最下層はセンティピードみたいなんです」


:なにそれ?

:?

:センティピード?

:知らない奴ww

:ああー

:ふむふむ


「センティピードというのは、この階に存在するエネミーをすべて倒さなくちゃいけないっていうトラップで。そうしないと赤魔法陣が現れないんです」


:ほう

:勉強になるわ

:そんな罠あるのか

:はじめて知ったw

:中層階はいろいろあるんやな

:へえ


「だから、ここからはちょっと退屈な映像が続くと思います。エネミーを倒さなくちゃならないので」


:いや見たいが?

:むしろ本番やろw

:ようやくか

:待ってました!

:ダンジョン配信の醍醐味やんw

:いいから早くエネミー倒せ

:キターーーー!!


 あれ?

 予想してた反応と違ってちょっと驚く。


 エネミー討伐なんてリスナーさんは興味ないって思ってたけど。

 どうやらそうじゃなかったみたい。


:つかどうやって倒すん?

:LV1で中層階のエネミー倒せるのかw

:楽しみだわ

暗殺者アサシンって適性無いんでしょ?

:わくわく

:無理ゲーじゃんw


 中には鋭い指摘もあって。

 

 たしかに。

 暗殺者は遺物適性が無いから武器ウェポンが扱えない。

 

 リスナーさんが気にするのも当然で。


 けど。


(実はできちゃうんだよね)




 ――S級の才能(リライト)


 ボディコンソールに表示された僕のステータス画面には、そんな項目があって。


 いわゆるスキルってやつなんだと思う。

 アニメやラノベによく登場するアレだ。


 たぶん、ほかの探索者もスキルをひとつやふたつ所持してるはず。


 さっき壁をすり抜けたのも。

 体が透明だからできたわけじゃなくて。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を繰り返してたんだよね。


 つまり。

 リライトの力を使ってすり抜けを行ってたってことだ。


 このスキルはとても便利で。


 たとえば、スタイルを書き換えたりもできる。

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