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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
スタグノ族・赤の一族
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 強い日差しを日よけのマントで避けながら、ウキウキと赤の一族の長の家に向かっている。

 赤の一族を訪問した次の日にオルファさんを訪ねることが決まって、良い知らせを持って行けると思うと今から楽しみで仕方ない。



 見慣れない街並みなのも手伝って、私の気分は高揚していた。

 今歩いているのは南地区の中央に近い一区画。



 黄の一族の長も青の一族の長も北地区に住んでいたけど、赤の一族の長は南地区に住んでいた。

 染物の原料が南の港から入ってくる関係らしいけど、スタグノ族が南に住むのは珍しいことだとキーファさんから聞いている。



 北地区はすぐそばに森があるせいか、涼しい風が吹き込んでくる。

 そのため、暑さに弱い種族は北地区に住むことが多いのだそうだ。



「ああ。クルビス隊長。あれが赤の一族の長のお宅ですよ。」



 案内してくれたフォーレンガの隊士、アクロさんが教えてくれる。

 南地区の守備隊の隊士さんで、近くの詰め所まで転移した後は彼が案内してくれていた。



 フォーレンガとは種族の名前でわかりやすくいうと昆虫の獣人さんだ。

 姿は大きくした虫というよりはヒト型に近い感じ。



 何だろう。戦隊ものの怪人をイメージするとわかりやすいだろうか。

 アクロさんのお顔はかめ…ゲフン、ゲフンッ。



 え~。某ライダー様に似たお顔で、頭の形は四角くて、顔の半分は大きな複眼で覆われている。

 緑色の綺麗な目だ。宝石みたいにキラキラしていて生っぽくないのも某ライダーの印象と重なる。



 口元は昆虫みたいに四方にガパっと開くのかと思ったけど、そんなことは無かった。

 金属のような硬質な銀色の口で上下にカパッと開く。銀色のギザギザの歯がびっしり並んでるのが見えた。



 守備隊の隊服から伸びている腕も銀色で、金属のパイプのような細い腕だった。

 たぶんズボンで隠れている足も似たような作りなんだろう。



 ひじや関節の部分はボールのような丸い作りで、そこを基点に私たちの手より自由に動かしていた。

 手は手首にあたるボールの部分から3つにわかれて付いていて、それぞれが器用に動いている。



 最初は驚いたけど、まるでロボットのような印象の皮膚と生っぽくないお顔で拒否感は出なかった。

 たぶん、某ライダー様のおかげだ。



 ありがとう特撮。

 あー兄ちゃんと一緒に見てて良かった。



「ありがとう。忙しいのに悪かったな。」



「ありがとうございました。」



「いいえっ。クルビス隊長をご案内する役は争奪戦だったんですっ。伴侶様にもお目にかかれて光栄ですっ。」



 アクロさんがキラキラした目でクルビスさんを見ている。

 クルビスさんは南地区でも大人気みたいだ。憧れなんだろうなあ。



「ハルカ様、クルビス様。いらっしゃいまし。」



「リッカ。」



「リッカさん。」



 アクロさんを微笑ましく見ていると横から声がかかった。

 声をかけてくれたのはピンク色のかわいいひと。

 


 キィさんの奥様、リッカさんだった。

 …どうしてここに?

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