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「調子はどうだ?」



 私たちが豆をかじっていると、ルドさんが顔を出した。

 仕込みの合間に様子を見に来たようだ。



 部屋に広がる香ばしい香りとバットに広がっている豆を見て、何かに納得したように首を縦に振る。

 私達が何をしてる所なのか分かったようだ。



「すごいっすよっ。水を使わないだけでかなり味が変わるっす。」



「結構いけました。半分はだめでしたけど。」



「美味しいのと苦いだけのとありましたね。」



 ベルさん、バウルさん、私の順で試食の感想を述べるのをとルドさんは興味深そうに聞いていた。

 視線が炒り豆に向いていたので、食べられた豆だけ勧めてみる。



 食べられたのは派手豆からは青い豆と黄色い豆2つ、後はケルカ豆とクク豆だけだった。

 ピンクの派手豆は後で火を通し直す予定だけど、外側がかなり焦げてたから炒るのには向いてないかもしれない。



「ふむ。香りが強くなるな。このまま荒く砕いてサラダに混ぜられそうだ。」



 ルドさんが最初に食べたのはケルカ豆、味はカシューナッツだ。

 その後にアーモンド味のクク豆を味わって、どちらも絶賛していた。



「っ。…これは…塩が欲しいな。」



 青い豆を食べたら、私たちと同じ感想を持ったようだった。

 まあ、枝豆なら塩だって思うよね。



「黄色は…いいな。これだけで食べられる。これは「きな粉」にはならないのか?」



「う~ん。砂糖を入れて甘みが調整できるくらいでないと難しいですね。塩をいれることもありますし。お菓子によっては相性が良くないんです。」



 きな粉アメとかも作りたいし。

 サツマイモ味じゃあ芋アメになってしまう。



 好きだけどね。芋アメ。

 おばあちゃんに昔もらってよく舐めてた。



「塩を使うっすか。じゃあ、青いやつはどおっす?」



「これはこの味に似た材料で甘いソースを作るレシピがあるので、それに使おうと思っていますけど…。どっちかというと、これはこのまま塩にまぶして食べたいですねえ。」



「レシピがあるんっすねえ。でも、塩で食べたいってのはわかるっす。」



「うん。これだけで一品になるな。」



 ベルさんとバウルさんも私の意見に同意してくれた。

 枝豆味にもスイーツレシピがあるのには驚いてたけど。



 たぶん、『ずんだ』っぽく出来るんじゃないかなあと思うんだよね。

 でも、きな粉とは違う。



 枝豆は大豆の未成熟な豆をつぶしたものだからか、結構青臭さが残ってるし。

 …ん?大豆の未成熟?



「…あの、ルドさん。この豆ってもしかしてまだ熟してなかったりしますか?」



「ん?ああ。そうだ。熟したのは下ごしらえに時間がかかるから、仕入れていない。」



「それって、どこで買えますかっ?探してるのと同じ豆かもしれませんっ。」



 枝豆は枝豆って認識だったから、すぐには思い付かなかった。

 熟した豆ならきな粉が作れるかもしれない。



 ただ、ルドさんに勢いこんで聞いたものの、時間がもう夕方だったのと、別の用事が入ったのでその日は断念。

 ちなみに、ピンクの派手豆は火を入れ直してみたけど、焦げやすくて炒り豆には向かないことがわかってその日のきな粉作りは終わった。








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