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遅れてすみません。
「じゃあ、ガルンパさん以外の方にも勧められそうですねえ。転移局のお仕事。」
「そうだな。今から広く募集をかけて、次の休眠期までに数を揃えるつもりのようだから。他からも勧められるだろうけど時もある。興味があるならその時考えればいいよ。」
次の休眠期までか…。だったら、まだまだ時間はあるし、あちこちから声をかけられそうだ。
この世界の気候は、春、雨季、夏、秋、冬にあたる休眠期と大まかに5つに分けられていて、今はまだ春だ。
春といっても初夏を過ぎたくらいの暑さだから、日本とは気候が全然違う。
最初は感覚が合わなくて戸惑うことが多かった。
後から聞いたけど、その調整もあって外出が制限されていた。
魔素の訓練が一定時間こなせるようになってからは身体が軽くなり、今では長時間外に出ても問題ないとフェラリーデさんの許可が出ている。
だから式を挙げるのを強行出来たんだけど…あまり体力を使う仕事は向いてないかもなあ。
出歩けるくらいには体力ついたけど、こちらの住民とは比べものにならないらしいし。
転移局の仕事が荷物運びとかだと難しいかも。
1度、誰かに連れて行ってもらわないと。
「ハルカ。ガルンパ殿からの接触はこれからもあると思う。なるべく誰かと行動してくれ。」
「ひとりだと危ないですか?」
「危険は無いと思うが…少し強引な方だからな。念のためだ。」
まあ、確かに自分のいいように会話を勧めるタイプだった。
うん。気を付けよう。
「家長候補だった方だから、実力も派閥も他とは違う。対応は慎重にした方が良い。ガルンパ殿に関してはこれくらいかな。」
家長候補?ガルンパさんが?
え。じゃあ、クルビスさんのライバル?でも年齢が…。
「ガルンパさんって何歳くらいなんですか?」
「たしか…1000歳は超えてらしたはずだが。どうしてだ?」
ぐっ。そうだった…。こっちでは1000歳ってざらにいるんだった。
えっと、じゃあ、家長候補だったのって、アルフレッドさんの時かな?
「いえ。家長候補だったと聞いて…。」
「ああ。俺とは争ってないよ。アルフレッド様とだ。」
私の言わんとすることに気付いてクルビスさんが補足してくれる。
ああ。ビックリした。アルフレッドさんとか。
なら、年齢的にも実力的にも粗相は出来ない。
気をつけないと。
「俺たちと対立する立場の方ではないが、発言力と影響力が大きい。それも一族の内外問わずだ。」
「はい。対応には気を付けます。何か言われたら、クルビスさんと相談してからにしますって返してもいいですか?」
「そうだな。それくらいがいいと思う。まだこちらに慣れていないし、それで引き下がると思うよ。」
よし。クルビスさんの許可も出た。
ガルンパさんには丁寧な対応と言質を取らせないって方向でいこう。




