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次は6日の14時ごろに投稿します。
「…お初にお目にかかります。ハルカ様。私、ガルンパと申します。本日は珍しい菓子をごちそう頂き、まことにありがとうございます。」
いつの間にか大きな濃いビリジアンの男性が目の前に来ていた。黒に近い程の濃い色。
要注意な相手のお出ましだ。慌てて笑顔で対応する。
「ありがとうございます。お口に合ったでしょうか?」
「ええ。甘いものは苦手なのですが、これならば食せます。次代様のお相手が料理上手でうらやましいですな。」
「ええ。幸運でした。彼女の作ってくれるものは何でも美味しいんですよ。」
「おおっ。これはこれは。仲睦まじくてうらやましい。はっはっはっ。」
…怖いなあ。朗らかに話してるんだけど、ガルンパさんって妙に怖い。威圧感っていうのかな。
ウソついてるかどうか、これくらい色の濃い実力者だとわからないし。
クルビスさんが緊張してるように感じるから、一族の上位にいるひとかもしれない。
対応には気をつけないと。
「そういえば、あの…水菓子でしたかな?あれはハルカ様の故郷のものだとか。」
「はい。そうです。」
「…元からあのような色だったのでしょうか。」
「…いいえ。こちらとは手に入る材料が違いますので。北の方はもっと暗い色のものが多いんです。」
ウソじゃないので、正直に答える。
こっちの世界では、寒い気候では採れる食べ物の色が暗めになる傾向がある。
ルシェモモで食べた料理があまりにカラフルだったので、早いうちにメルバさんに確認を取っておいた。
だから、こっちの派手目な料理にビビっても大丈夫なんだよね。
「そうですか。北には見たことのない物がたくさんあるのでしょうな。」
「そうですね。雪も降りますし。」
「ゆき?とは?」
「雨が氷ったものです。白くてふわふわしてて冷たいですね。」
「ほお。では、かなり寒いのでしょうな?」
「ええ。だから、ほとんど建物の中ですごします。」
北に興味があるのかな?
さっきから質問攻めだ。
「ふむ。ハルカさま。こちらでのお仕事はお決まりですかな?」
「…え。いえ。決まってませんけど。」
その前に婚約しちゃいましたから。
今は式の準備に追われてるし。
仕事は得ないといけないことになってるけど、探すのは式の後に決めてる。
とにかく雇ってもらえるなら文句はない。
「では、転移局はいかがでしょう?」
転移局?って何?
私はガルンパさんの言葉に首を傾げるしかなかった。




