雨季ー46
二次災害について詳しく聞かれてる所にシードさんが戻ってきた。
疲れたって感じだったけど、それでもまだ余力はありそうなシードさんはクルビスさんに許可をもらって、先にお汁粉を頼むと1杯目をかきこんだ。
2杯目を注文するとやっと落ち着いたように状況を話しだす。
その間に他の隊士さんも休憩に入ったようだった。
その様子を確かめてから話し出したシードさんを見ると、もしかしたらさっきのは休憩に入れっていうパフォーマンスだったのかなと思えてくる。
こういう気づかいがすごいよねえ。
それに気づいていたのか、クルビスさん達も隊士さん達に許可を出すように頷いたりしてたし、ここの守備隊のこういう所はすごく好きだなあ。
責任は重いけど、働きやすそうだ。
まあ、それでシードさんの話を聞いていたんだけど、事情は思った以上に深刻なものだった。
体術しか有効な手立てがないということで、体術の得意な隊士たちを引きつれて地下を西に進んだのは聞いていた。
でも、その西の状況は天井のヒビから細長い水滴が幾つも流れ落ちる危険なもので、西の守備隊の隊士さんもまだ到着していなかった。
途中で連絡を取った時に、術式が利かないことを伝えたために派遣する隊士さんを選び直したかららしい。
そのせいでシードさん達だけで、犯人が地下の壁に仕掛けようとしていた何かを止めなくてはならなくなったそうだ。
それが何かはわからなかったけど、魔素を感じたので魔石を使った魔道具だろうと予測はしたそうだ。
術式の使えなくなった式を思い出して、設置が終わる前に動くことに決め、犯人たちをなぎ倒して行ったらしい。
なぎ倒したの下りはキィさんが言ったもので、シードさんは動きを封じたとしか言わなかった。
でも、シードさんもキィさんの表現に訂正もしなかったから、実際になぎ倒したのかもしれない。
シードさんが本気で戦おうとしたら、そのスピードと重量級の尻尾にあっという間にやられてしまうらしいから。
「それで、戦闘中に西の隊士たちも合流して、無事全員捕まえたんですが、その頃にキーファ副隊長からまた連絡があって、捕まえた連中を見るなと言われました。連中の模様は特殊だということでしたが、西にいたのには戦う時にその模様が光って術式を発動させたのもいました。どうもその模様にはいくつかの種類があるようです。」
敵の模様に種類が?
光って術式が発動したってことは、転移陣みたいに魔素で満たせば発動するってやつじゃないだろうか。
それを身体に刻むっていうのもゾッとする話だ。
でも実際に発動させたんだから、これは厄介だ。常に強力な武器を持ってることになる。




