雨季ー39
しばらくして、階段の方がにぎやかになった。
子供たちが遊び終えて上に上がってきたみたいだ。
殺伐とした空気が一気に明るくにぎやかなものになる。
隊長さん3人が揃っていたので、子供たちは順番に挨拶をしてくれる。
「「「クルビス隊長、キィ隊長、リード隊長こんにちわ~。」」」
かわいいなあ。
クルビスさん達もそう思ったのか笑顔で子供たちを迎えてる。
キィさんには飛びついて、抱っこを強請ってる子もいた。
あんまり懐いてるから首を傾げていると、子供たちの様子をちょくちょく見に行ってるのだとクルビスさんが教えてくれる。
「さあ、そろそろお昼寝と読書の時間ですよ。もう小さい子たちは寝むそうですね。」
フェラリーデさんが促して、子供たちは素直に「は~い。」と返事をして2階に向かった。
遊んだ後、小さい子たちは昼寝、大きい子たちは学校の本を読む時間だそうだ。
年がばらけてるからまとまった授業までは出来ないらしいけど、他にも「計算の時間」や「文字の書きとりの時間」などの時間があって、隊士さんに教えてもらいながら、学校に遅れ過ぎないようにしているらしい。
偉いなあ。
これ、日本だと「え~。」ってブーイングが出る所だよ。
システムが違うから、学校に対する認識が違うんだろうけど、それでも偉いよ。
ルシェモモの学校は初等、中等、高等とあるけど、それぞれで卒業試験がある上にその成績が悪いと就職先が無くなるらしい。
厳し過ぎるように聞こえるけど、寿命が長い分学校に通う期間も長いので、授業で技術者に必要な常識と技術の基礎を習得することになっているから、成績悪いのは仕事で使えないとみなされるのだそうだ。
だから、ルシェモモで学校の位置づけは「生きていくのに必要なことを学ぶ場所」だ。
学校に行けない子は専属の教師が派遣されるくらい、徹底して技術者の育成に取り組んでいる。
子供が少ないっていうのもあるだろうな。
この街の100歳未満の子供の数は、およそ2000人ほどだし。
街の総人口が3万ほどなのを考えるとかなり少ない。
これでも増えた方だと聞いてるから、異種族婚を可能にしたメルバさんの功績はものすごいものだ。
子供たちを見送りながら、私も勉強頑張ろうと奮起する。
最近、エルフ文字を少しずつならってるから、夕方以降はそれの書きとりをしてるんだよね。
さすがにその時ばかりはクルビスさんも膝から下してくれる。
クルビスさんの伴侶として必要なんですって説得が利いたかな。
ピーピーピー
部屋に無機質な高温が鳴り響く。
通信機だ。シードさんの知らせが来たのかな。




