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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
番外編 新婚編
334/360

雨季ー25

「ただいま~。」



 そのままメルバさんの話をしてると、かなり短い時間で当の本人が戻ってきた。

 しかも、ルシェリードさんも連れて。



 驚いたのは周囲だ。

 そりゃそうだよね。



 雨季の中の転移だけでも驚くのに、街のトップが一緒に来たら誰だって慌てるだろう。

 でも、妥当な判断だと私は思った。



 街が出来た頃のことを知っていて、現役なのはメルバさんとルシェリードさん達ドラゴンの一族くらいだろう。

 なら、一緒に魔素の網を張ったルシェリードさんに来てもらう方が話は早いと思う。



「そのままで、面倒なことになったようだ。あの時、つぶしきれなかったことがここまで後引くとはな。」



 目を細めて悔しそうに言うルシェリードさん。

 うわあ。怒ってる。魔素も普通だけど、何となくわかる。



 ルシェリードさんの怒り方ってクルビスさんに似てるんだよね。

 いや、まあ、ここまでクルビスさんを怒らせたことはないけどね?



 …あるや。今日実感したばっかりだった。

 腕に力がこもるのに気づき、急いでクルビスさんにもたれる。



 すぐに力は抜けたけど、危なかった。

 まさかルシェリードさんまでだめだなんて思わなかったなあ。



「おお我が孫たちよ。仲睦まじいようで、何よりだ。だが、籠らなくていいのか?」



 私たちを見て驚いた顔でルシェリードさんが聞いてくる。

 ルシェリードさんにとっては、私たちがここにいるのがかなり意外だったようだ。



「ええ。雨季はいろいろありますから。」



「ふむ。そうか。だが、無理はせぬように。お前たちの魔素は影響が大きいからな。」



「はい。」



 これって、場合によっては部屋に籠ることもあるってことかな。

 ドラゴンのルシェリードさんに言われると説得力あるなあ。一応覚悟しておこう。



「さて、問題のヒビについてだが、私も例のヒビの跡を見てきたのだが、当時のものと似ていると思う。ずいぶんコントロールが効くようになったみたいだがな。」



 苦々しい表情でルシェリードさんが言う。

 牙がちらちら見えて、大変怖いです。



「そうなんだよね~。今回のは街の方にしっかり向かっていたし、キィ君たちが遅かったらあそこから派手に崩れていたと思うよ~。もしかしたら、他の地区でも同じようなことが起こってるかもね~。シー君、至急他の地区の子たちに、同じようなことが起こってないか連絡取ってもらえる?」



「はいっ。」



 一気に空気が物々しい感じになる。

 他の地区でもって、キィさんやキーファさんくらいの術士って滅多にいないって言ってたのに、同じことがあったりしたら。



 式で祝福してくれた街のひとたち。

 あのひと達が酷い目に合うだなんて。そんな。

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