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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
番外編 新婚編
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雨季ー4

 少し汗をかきつつも、暖かい汁粉は好評だった。

 色味といい、魔素の多さといい、冬の休眠期に身体を温めるのに丁度いいのだそうだ。



 爬虫類系の種族が繁栄しているこの世界で、身体が冷えるのはかなり危険なことだ。

 だから、気温の下がる休眠期には身体を温める汁物が人気なのだとか。



 問題は身体を冷やす冷たい汁粉の方だ。

 冷たいスイーツに人気が出て来たのはつい最近のことだから。



 でも、かき氷が好評らしいから、意外といけるかな?

 まあ、それもココナッツ汁粉を作ってからだよね。



「じゃあ、え~と、クカの実でしたよね。絞るのってどうやったらいいんでしょう?」



「ミキサーで砕いて、絞り機で絞るのが一般的だな。ただし、魔素が飛ばない用に慎重にしなくてはいけないから、これは調理師しか扱えない。ここの棚に俺の私物が入っている。」



 そう言って、ルドさんが取り出してくれたのは、ハンドルのついたフタがある筒状のものだった。

 これがミキサー?フタがなきゃ、陶器の花びんに見えるんですけど…。



 免許が必要なものかなあ?

 魔素が飛ぶとか言ってたから、その関係とか?



「ミキサーにはハンドルとつながっている刃がついてるんです。刃の体積があるので、あまりたくさんは入れられないのですが、その方が魔素が飛びにくいので…。」



 そう言ってアニスさんがミキサーの説明をしてくれる。

 その説明に合わせて、ルドさんがフタを外して刃がらせん状についている中を見せてくれた。



 何だかドリルみたいだ。

 たしかに砕くって作業にはよさそう。ミルみたいだなあ。



「力がいりそうですね…。」



「そうだな。これはかなり力がいる。今度長が少ない魔素で回るものを開発するとおっしゃっていたから、ハルカはそちらを使うといいだろう。」



 あ、自動ミキサー開発されるんだ。

 じゃあ、そっちが出るまで待とう。



「そうします。でも、絞るのは?」



「絞り機で絞る。これだな。これも手作業だ。」



 そう言ってルドさんが出してくれたのは、こぶしを握った腕のように見える金属製品。

 土台のついた万力のような絞り機だった。



 成る程ねえ。

 これなら、確かに目いっぱい絞れそう。


 

「ミキサーで砕いたものを布に包んで、絞り機の間に挟む。この方法が調理師では一般的だな。」



 これも手動なんだ。

 家にあったジューサーが懐かしいけど、さすがにジューサーの作りや原理とか知らないしなあ。



 魔素が飛ばないようにって話だったけど、これもそうみたいだ。

 一般的な道具じゃないから自動化が遅れてるのかもしれない。



 あー兄ちゃんに付き合って、ちょっとは機械いじりもしとくんだった。

 まあ、無いものを言ってもしょうがないか。



 これなら、クルビスさんがお休みの時に手伝ってもらえば使えそうだし。

 クルビスさん料理もするみたいだから、一緒に作っても楽しいよね。



 うん。今は忙しいけど、お休みの時は一緒にいろいろなことをしよう。

 じゃあ、ミキサーに入れるためにクカの実を粗く刻もうか。

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