デートー12
「共鳴ってダイエットになるんですか?」
「ダイエット?」
あ。いけない。
こっちには無い言葉だったみたい。
意味の分からない言葉は音としてしか伝わらないんだよね。
え~と、ダイエットはどう説明しようか。
「余分な魔素を消費することです。」
「ああ。それならそうだな。共鳴は魔素をかなり大量に消費するから。」
それならダイエットになるよね。
共鳴ダイエットかあ。誰も思いもしなかった活用法だろうなあ。
「女性にウケそうですね。」
「そうなのか?」
あれ?こっちの女性ってダイエットしないのかな?
う~ん。いろいろ常識が違うからなあ。
「たぶんですけど…。あ。これどうぞ。」
何ともいえないので、目についた餃子みたいなやつをクルビスさんに差し出す。
不思議そうな顔で、でも嬉しそうに食べてくれる。
あ。私にもきた。
青い丸い物体だ。
何だろう。あ、甘い。
フルーツを砂糖でコーティングしたやつだ。
中はリンゴみたい。
って、リンゴ飴じゃない。
「美味しい。」
「青の一族の菓子だ。深緑の森の一族の長との共同開発だな。あの一族は食へのこだわりが強いから、菓子の種類がたくさんある。」
メルバさんが絡んでるのかぁ。
元ネタあー兄ちゃんっぽいなあ。
でも。アメでフルーツをコーティングするのって、シンプルな作りだから誰かが考え出したのかもしれないけど。
飴が薄くてパリパリだ。
これ作ったひと腕がいいなあ。
リンゴ飴って、中身に到達する前に飴でお腹一杯になっちゃうくらい分厚い飴で包まれてるイメージなのに、これは薄くて中の果物もジューシーだ。
「これもどうだ?」
今度は絵の具を丸めたみたいな橙色の丸が差し出される。
これ食べるの勇気いるなあ。
変な味とかしないよね?
クルビスさんが差し出すくらいだから大丈夫か。
あー兄ちゃんだったら疑ってたけど。
たまに変な味のものを作っては家族に食べさせる悪癖があったから。
「これは?」
それでも口に入れるのは抵抗があったので聞いてみる。
「世界樹の実の種だ。」
世界樹?
そういえば、エルフの里でジュースはいただいたっけ。
でも、種も食べれるなんて知らなかった。
無駄がないなあ。
メルバさんが世界樹は今ではただの木になったって言ってたけど、やっぱり特別な木だと思う。
実も種も使えて、本体の木はお家だなんてホントにファンタジーな植物だ。
あー兄ちゃんが持ち込んだらしいけど、一体どうやって手に入れたんだろう。
「もらった。」とか言いそうだなあ。メルバさんもそんなこと言ってたっけ。




