デートー2
「すごいね~。作った子に会いたいなあ~。」
メルバさんが後ろから陽気な声を上げている。
マルシェさんも一緒に星街まで行くことになって、それを聞きつけたメルバさんが一緒についてきた。
クラカの話を聞いたフェラリーデさんもキィさんも見たがっていたから、技術的にもすごいものなんだろう。
他にも「これは中々。」とか「今年は優秀ですね。」とかいう声が聞こえてくるから、卒業制作の検分に来たひとは結構いるのかもしれない。
「クルビスさま、ハルカさま、来て下さったんですね。」
私たちの姿を見付けたヘビの一族の女の子が駆け寄ってくる。クラカを作ったチームのひとりだ。
今は私たちが通った時みたいに道は仕切られてはいないから、すぐに合流出来る。
「ええ。とても綺麗ですね。道が光っているみたい。」
「本当に見事だ。ウワサもずいぶん広がってるみたいだな。」
「はい。日が暮れてから見に来る方が増えました。花びらが均等に散るよう、皆で見て回ってます。」
嬉しそうな顔で見に来るひとが増えたことを話してくれる。
彼女たちにとっては、今日の評判が就職先を決めるようなものだそうだから、この盛況ぶりは嬉しいだろう。
「君がチームの一つ~?初めまして~。」
私たちの話に気づいたメルバさんが会話に加わってくる。
作った子に会いたいって言ってたもんね。
「えっ。深緑の森の一族の長様っ。あ、あの、ちょっとお待ちいただけますか?先生ー!」
目を見開いて固まったと思ったら、ヘビの一族の女の子はあたふたと先生を呼びに行った。
そりゃそうだよね。一族の長っていったらとても偉いひとだ。
しかも、メルバさんは発明家としてとても有名だ。
星街の学生さんにとっては雲の上のひとと言っても言い過ぎじゃないと思う。
しばらくして、ご挨拶した年配のヘビの一族の女性が走ってやってきた。
私たちにも会釈をすると、メルバさんの前に立つ。
「先生、ようこそおいで下さいました。」
「やあ、ミリーじゃない~。君の生徒だったんだ~。」
先生って言った?
メルバさん、あの年配の女性の先生だったの?
まあ、メルバさんってすごく年上だし、発明家なら、星街で先生しててもおかしくないか。
かき氷機といい、メルバさんっていろいろ作ってるみたいだし。
「はい。皆で協力して素晴らしいものを作ってくれました。」
「そっか~。夢がかなったね~。おめでとう~。」
「はい。ありがとうございます。」
あのクラカは専門の違う学生が協力して作ったって聞いたけど、それはこの女性の夢でもあったんだ。
詳しくはわからないけど、夢がかなうのはいいことだ。良かったですね。




