7
手前にあったテーブルの上を片付けてテキパキとお茶の用意がされ、いざ、試食タイム!
ネロも欲しがったので、四分の一に切ってあげることにした。喉に詰まらせないようにね?
「っ。これは…。」
「お~。つめて~。そこまで甘くねえし、これならいくらでもイケるわ。」
二人とも目を見開いて驚いている。
でも、目がキラキラして次の葛餅に手を伸ばしてるから、良い意味での驚きだ。
どうやらクルビスさんとシードさんには好印象だったみたい。
7つくらい持ってきてたんだけど、あっという間に無くなった。
「こりゃ、いいな。味も良かったけど、中の餡の色が移ってて綺麗だった。リリィが喜びそうだ。」
「ああ。見た目も良いし、瑞々しくて食べやすかった。外側のはゼリーだろ?よく思い付いたな。」
「故郷のお菓子を真似たんです。
ゼリーを食べた時、食感が似てたんで同じようなのが出来るんじゃないかって思ったんですけど、上手くいきました。」
私の説明にクルビスさんとシードさんが納得したように頷く。
もともと似たお菓子を知ってたなら、真似ることは出来るもんね。
お二人の反応からすると、女性受けはしそうだな。それに味もいいみたいだし。
女性の感想は後でアニスさんに聞くとして、男性からこれだけ受けたらいいんじゃないかな?
ネロも気に入ったのか「もう無いの?」と言わんばかりに、空いてるイスに乗ってテーブルの上をキョロキョロと探している。
もう無いよ~と頭を撫でると、それで満足してくれたのか嬉しそうに目を細めていた。
「これもメニューに載せるのか?」
「どうでしょう。ルドさんには好評でしたけど、他の調理師さん達にも聞いてみませんと。
あ。そういえば、これ。トカゲの家長さまへの手土産にしたらどうかってルドさんに勧められました。」
「ルドに…。そうだな。良いと思う。なあ?シード。」
「ああ。いいと思うぜ。甘いもんが好きだからなあ。紫もピンクも気に入るだろ。」
クルビスさんもシードさんも賛成みたいだ。
トカゲの家長さまの甘い物好きってそんなに有名なのかな?
でも、これで決まった。
手土産は葛餠だ。




