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 ぐるりと住宅地を回ると、お年寄りと小さな子どもの姿が目立った。

 働き盛りの若いひと程中心地にいるのは、地球でもここでも同じみたい。



「おめでとう!」



「おめでとうございます!」



 でも、どこでも笑顔で祝ってくれてる。

 魔素でわかるけど、嬉しいという喜びでお祝いを言ってくれるひとが多い。



「白いの来てる~。」



「何で~?」



「これっ。おめでとうございます!」



 ウワサは流してもらってるけど、小さい子供たちには私が白を着る意味とかはまだわからないかな。

 守備隊にいる子たちも白を着ることに不思議そうだったし。



 そうやって回りきると、守備隊の北、街の最北部に出た。

 右側には森に入る入口が見える。



 ここから街に入って、森に出て、いろいろあったなあ。

 まさか異世界で結婚しちゃうなんて考えもしなかった。



「お。いらしたぞ!」



「皆花持ったか?」



 私たちが近づくと、陽気に騒いでいた街のひとが道ぞいに集まってくる。

 乾杯、じゃないよね?花籠?



「おめでとうございます!」



 わあ。小さな花だけど、色とりどりの花が降ってくる。

 それも、小さな花束になったやつだ。可愛い。



「これは。全部花束なのか?」



「可愛いですね。」



 2、3本の小さな野の花をリボンでまとめてある。

 素朴な可愛らしい花束だ。



 何か仕掛けでもあるのか、ふわふわとゆっくり降りてくる。

 メルヘンの世界に迷い込んだみたいだ。



「どうなってるのでしょう?」



「綺麗ですねえ。」



 後ろでアニスさんとルシン君が降りてくる花束を受け止めながらしげしげと見ている。

 不思議だよねえ。これ、どうなってるんだろう。



「お~。こりゃ可愛いな。」



 シードさんも目の前に降りてきた花束を捕まえている。

 クルビスさんも私を抱えてるのとは反対の手で花束を捕まえていた。



「術式の、縫い取り?」



「ジジ様に教わりました!」



「そしたら、これを教えて下さって。」



「ここらあたりのやつら総出で作ったんですよ!」



 ジジさんがこれを?

 それで、これだけの数を皆さんで用意して下さったの?



 わざわざ花束にして、術式を縫いこんだリボンを用意して。

 こんな急なお式なのに。うわわ。またジーンときちゃった。



「…ありがとうございます。」



 皆笑ってくれてるけど、おかしな笑顔になってないかな。

 ああ。嬉しいのに泣きそうってどうしよう。



 今日はたくさん感動したのに、また感動しちゃった。

 嬉しいからいいのかな。いいよね。



「いいさ。だって今日は特別だろう?」



 クルビスさんもちょっと目がうるんでる。

 うん。今日は特別ですもんね。

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