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 そのまま通りを抜けて中央と繋ぐ広場まで出ると、陽気な歌声や笑い声に包まれる。

 北から中央に繋がる広場は巨大なビアガーデンと化していた。



 先程までの花の香りから一転、あたりに漂うのは穀物酒の香りだ。

 皆好きに飲み食いしていたはずなのに、私たちが広場へ入ると一斉に杯を掲げて声をかけてくれる。



「クルビスさま、ばんざーい!」



「伴侶さま、ばんざーい!」



「クルビス様!おめでとうございます!」



「おめでとうございます!」



 広場にいるのはトカゲの一族が大半だった。

 今夜はトカゲの一族総出で宴会だそうなので、街じゅうに散らばっているトカゲの一族で都合のつくひとは北に集まってきている。



 他の地区に住んでいてそこで祝うひと達もいるけど、現家長のアルフレッドさんと次期家長のクルビスさんのいる北で祝いたいというひとが多かったらしい。



「…ありがとう!」



「ありがとうございます!」



 お披露目の時は限られたひとにしか会えなかったから、こうしてトカゲの一族の方たちにふたりで会えるのは嬉しい。

 ただ、ヘビの一族みたいにお酒に強いわけじゃないから、皆さん、お酒の周りが早いらしく陽気に笑っていた。



 クルビスさんはそれに苦笑しつつ、近くの隊士さんに「後をよろしく頼む。」とお願いしていた。

 陽気に騒いでいるトカゲの一族を後にして、広場の詰め所から噴水の詰め所まで転移する。



 詰め所から出ると、丁度空高く水柱が昇る所だった。

 周りの建物よりずっと高い。



 きっと、他の地区からも見えているだろう。

 思わず見入ってしまうと、水柱は元の噴水に何事も無かったように戻る。



「水柱まで…。」



「すげえ。アルフレッドさま、気合いれてんなあ。」



 クルビスさんとシードさんが茫然としている。

 この反応からすると、この水柱って普段はしないんじゃないかな。



 あんなに空高く上げるにはかなりの動力が必要なはずだ。

 魔素を使うにしても、すごい量だよね。…お金かかりそう。



 無理させてないといいけどなあ。

 後でルドさんにこっそり聞いておこうか。



「さて、じゃあさらに北に行きますか。アニスにルシンもいいか?」



「は、はいっ。」



「ふぁいっ。」



 ルシン君かんだ。

 きっと口をポカンと開けて見入ってたんだろうなあ。



 あれはすごかったもんねえ。

 もう2回戻ってくるけど、他に何が見れるんだろう。



 楽しみだなあ。

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