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「ありがとう!素晴らしい祝いだ!」



 舞い散る花が収まると、クルビスさんが屋根の上のひと達に声をかける。

 そうだ。お礼言わなきゃ。



「ありがとうございます!とっても綺麗です!」



 私が叫ぶと、屋根の上にいたひと達が笑顔で手を振ってくれる。

 私とクルビスさんも手を振りかえしてると、クルビスさんがそっと教えてくれた。



「屋根の上にいるのは、今年卒業する学生たちだ。さっきのやつを卒業課題としたいと申請があった。」



 ええっ。あれ学生さんが作ったの?

 すご~い。もうプロの仕事だよ。



「学生さんがあんなにすごいの作るんですか?」



「星街の学生は特別だ。小さな頃から魔技師になる勉強をする。」



 ああ。専門の学校で学んだ生徒さんなんだ。

 これだけのものが作れるなら、もう駆け出しの技術者だよね。



 こういう所はさすが技術都市だって思うなあ。

 星街は高価な魔道具を扱うから、経済についてもきちんと習うってフェラリーデさんに教えてもらった。



 ただ作るだけじゃないんだよね。

 計算に躓いて魔技師をあきらめる子もいるって話だったし、あの学生さん達はそれを乗り越えた優秀なひと達だ。



「綺麗でした。あれならどこでも喜ばれますね。」



「ああ。久々に星街の売りが出来たようだ。ほら、学生たちが降りてくる。」



 大仕事をやり終えた学生さん達を下で待っていたひと達が拍手で迎える。

 お疲れ様。素敵なお祝いありがとう。



 思いを込めて拍手すると、こちらに気づいた学生さん達が前に出て礼をしてくれる。

 それにならって、周りのひと達も礼を取ってくれた。わわわ。何で?



「ハルカの魔素は素直だから、賞賛が良く伝わったんだよ。心からの賞賛は技術者の誇りだ。」



「だってすごく綺麗だったから。素晴らしかったです。皆で考えたんですか?」



 せっかくだから学生さんに聞いてみる。

 こういう機会でもないとお話出来ないもんね。



「はい。皆の得意な部分を合わせたものを作りました。その花びらも夜になると光ります。」



 代表して、真ん中の灰色と黄色と青の体色のトカゲの一族の男の子が話してくれる。

 周りも誇らしげに頷いている。共同制作かあ。



 卒業制作らしくていいなあ。

 この花びらも光るらしいし。どうなってるんだろう?



「光るんですか?…すごい。じゃあ、夜はここは光の道になりますね。」



「はい。強い光じゃありませんが、歩ける程度には光ります。綺麗ですよ。」



 今度は隣の柔らかな茶色の体色に黒っぽいドット模様の入ったヘビの一族の女の子が教えてくれる。

 夜まで騒ぐのを考慮して作ったのかな?良いアイデアだ。



「夜も見たい。回った後、最後に寄れませんか?」



 クルビスさんにお願いしてみると、彼も光る道に興味があったらしく少し考えてシードさんと相談し始めた。

 無理かなあ。最後は噴水のある広場の詰め所で転移陣で戻ってそのまま守備隊まで帰るって話だったし、いけるかなあって思ったんだけど。



「これって夜のいつまで持つ?すぐに光らなくなるかな?」



 シードさんがさっきのヘビの一族の女の子を捕まえて質問する。

 花びらがどれくらい光るか聞いてるみたいだ。



「ええっと、大体3刻くらいです。」



「ああ。それならいける。クルビス、一旦戻ろうぜ。で、あそこの詰め所から来るんだ。その方が警備も混乱しないし、安全だ。」



「そうだな。後でその光る道を見に来てもいいだろうか?伴侶が見たがってるんだ。」



「はい。是非お越しください。片付けは朝にしますし、夜はこのまま道を解放する予定ですから。」



 シードさんと相談を終えたクルビスさんは学生さんと後ろにいる責任者っぽいひとにお願いしてくれた。

 責任者みたいな少しお年を召した感じのヘビの一族の女性がにこやかに頷いてくれる。



「ということになった。これでいいか?」



「はい。ありがとうございます。」



 ふふ。引きこもってるか挨拶で忙しいかのどちらかだったから、普通のお出かけが嬉しい。

 夜に浮かぶ光る花びらなんて素敵じゃない。楽しみだなあ。

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