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見ると、5、6歳くらいのスカイブルーの体色とピンクの体色のトカゲの一族の女の子がいた。
お揃いの黄色いワンピースを着ている。
可愛い子たちだ。
保護者はどこだろう?
「はい。お花。」
え?あ。ブーケ。
拾ってきてくれたんだ。
「ありがとう。拾ってきてくれたの?」
「そう。パパがー。」
「持ってけってー。」
パパ?とは?
子供たちの指さす方を見ると、岩みたいなお顔の男性が胸に手を当てて礼をしてくれた。
「ビドー。さっきの声は…。」
「へえ。あっしです。旦那の晴れのお姿を見ようと思いまして、うちの子たちを連れてきました。それが、あんなのを見るとは思いませんで。副隊長さま達にはわかる限りご説明させて頂きやした。」
え?このひとがこの子たちのパパ?
…似てない。岩みたいなお顔とかわいらしい子たちの顔が一致しない。
「…この子たちはビドーの?」
「へえ。あっしの子で。かみさんに似たんで。」
お母さん似かあ。
良かったね。女の子で岩みたいなお顔はさすがに…。岩みたい?
「ハルカは1度会ってる。来た日に街を出ただろう?その時に。」
あ。ああ!思い出した。
異世界初日に森に行くとき、街で声をかけてきたひとだ。
失礼な話だけど、岩みたいなお顔だなって思ったんだよね。
「向こう一帯の顔役させてもらってます。ビドーと申しやす。」
「ベッカです。」
「フルールです。」
スカイブルーの子とピンクの子も挨拶してくれた。
何度見ても、親子に見えないなあ。
「里見遥加です。どうぞ遥加と呼んで下さい。」
クルビスさんに抱っこされながらだけど、胸に手を当てて礼をする。
顔役さんなら、きちんと挨拶してた方がいいだろう。
「ご丁寧にありがとうございます。さあ、ここらはもうすぐ落ち着きやす。旦那方はお先に行って下さいやし。」
「ねえ、ずっと抱っこなのー?」
「らぶらぶー。」
ビドーさんの言葉に頷こうとすると、女の子たちがまた無邪気に聞いてくる。
お父さんが大好きみたいで、ビドーさんの足元にぺったりとくっついている。
「そうだよ。大事なひとだから、離したくないんだ。」
ちょっと、クルビスさんっ。
何勝手にしゃべってるんですかっ。
私が抗議しようとすると、チュッと音をたててデコチューされる。
すると、あちこちからクスクスと笑い越えが聞こえてきた。
「ふふ。仲のよろしいこと。」
「まったくだ。一遍も降ろさねえんだもんな。」
「フィルド隊長と同じだな。はははっ。」
さっきまでの緊張した空気が明るいお祝ムードに変わっていく。
魔素は周囲に影響を与えるから、一度明るくなると一気に空気が変わる。
良かった。ちょっと恥ずかしいけど、お祝いの最後がこんな騒ぎじゃあ、せっかく来てくれたひとに申し訳ないもんね。
勝手にデコちゅーしてくれたことは、後できっちりお話しするけど。




