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「食べる順番とかあるんですか?」
「いや。だが、説明するべきだったな。すまない。緑が辛くて、赤が甘い、青が少し酸味があって、黒が木の実入りで香ばしい、白が魚の白身であっさりしてる。」
そんなに味が違うなんて。
何か意味でもあるのかな?
「カカポはトカゲの一族のメニューで、食べると幸福になると言われている。縁起物だな。」
縁起ものかあ。まさにお祭り用って感じ。
一度にいろいろ味わえるし、結構贅沢なメニューだ。
「楽しいですね。色にも意味があるんですか?」
「一族の危機を救った家長の色だそうだ。一族に大きな出来事があると、また次も乗り越えられるようにと、その時の家長の力にあやかるために追加されるらしい。」
「黒はクルビスのひいおじい様の色なんですよ。」
「英雄だからなあ。」
クルビスさんの説明にフェラリーデさんとシードさんが補足してくれる。
黒はクルビスさんのひいおじい様の色なんだ。
クルビスさんのひいお祖父さんはシーリード族への参加を決めて、ルシェモモへ一族ごと移住したと習ってる。
一族の英雄だよね。それはあやかりたいって思うだろうなあ。
全部で5色あるってことは今までに5回大きな出来事があったわけだ。
トカゲの一族の歴史はルシェモモが出来てからしか習ってないから、その前のトカゲの一族のことはクルビスさんに教わろう。
「すごい方だったんですねえ。」
そう言って、黒を少し眺めてから口に運ぶ。
木の実の香りが香ばしい。
結構スパイシーで鶏肉みたいにあっさりしてるお肉と合わせてある。
食べやすいし美味しい。
「美味しい。」
「良かった。残りの色はどれから食べても味が合うよ。」
じゃあ、さっきみたいに驚くことはないんだ。
スパイシーなの食べたから、酸味があるっていう青にしてみよう、最後にあっさりな白。
ん。青はお肉の後だとさっぱりする。
青が一番多いけど、他にもいろんなお野菜が入ってるみたい。でも、メインは火を通したトマトみたいな味。
白は、エビだ。
エビのすり身。嬉しいな。エビ好きなんだよね。
こうなると、最初に失敗した緑と赤が悔しいなあ。
次はちゃんと考えて食べよう。
「美味しかったです。」
「気に入って良かった。カカポは祝いの時の定番だから、また食べれるさ。」
「…はい。次は赤を最後に食べます。」
私の返事にクルビスさんは笑って頷いてくれる。
悔しがってるのバレてたみたいだ。
共鳴してないのにどうしてわかったんだろう。
クルビスさんには隠し事は出来そうにないなあ。
でも、カカポはまた食べたい。今度はちゃんと順番を選んで。
次にお祝いごとがあったら探してみよう。




