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「無事にお着きのようで何よりです。本日はおめでとうございます。何はともあれ、まずはこちらへどうぞ。」
出迎えてくれたのは赤と黄色の横縞を持った隊士さんだった。
控室に案内される時に見えた喉や腕の内側の方は黄緑で、その余りに派手な体色に目を丸くしていると、控室についたら南地区の戦士部隊隊長のイージスさんだと名乗ってくれた。
隊長さんだったんだ。そういえば、出迎えはどの地区も隊長さんだったなあ。
きっとそういう決まりなんだろう。
頭が丸くて尻尾が大きいからヘビの一族みたいだけど、こんなに派手な体色のひともいるんだなあ。
話を聞くと、ヘビの一族の長アーネストさんに挨拶に行ったときに会った双子の兄弟、キリヤ君とレンヤ君のお父さんだそうだ。
つまり、シードさんの親せきでもあるわけ。
イージスさんはお披露目の時に顔を出せなかったことを私たちに詫びてくれた。
「ご挨拶が遅くなって申し訳ない。」
「いいえ。南も大変だったことは聞いています。お気になさらず。」
クルビスさんの返事からすると、どうやらお仕事で出席できなかったようだ。
でも、仕方ないだろう。ヘビの一族にお披露目した時期といえば、急な冷え込みによる被害がまだ完全に収まってなかった頃だ。
ザドさん達が出席できたのは、会場が同じ西地区で何かあってもすぐに知らせが入る距離だったからだし。
こちらの気持ちが通じたらしく、イージスさんはホッとした顔をしていた。
「ありがとう。少し待っていただけるだろうか?フォーレンガ達が歓迎のダンスをしてくれるそうなんだ。到着したことを知らせてこよう。」
「素晴らしい出迎えに感謝します。」
クルビスさんがお礼を言うと、イージスさんは知らせるために控室を出て行った。
フォーレンガのダンスかあ。わあ、楽しみ。
付け焼刃の知識によると、フォーレンガという種族は音楽やダンスに長けていて、演奏家やダンサーが多いのが特徴だそうだ。
だから、南地区には彼らのショーを見せる店も多いらしく、クルビスさんが「見事だから是非連れていきたい。」と言ってくれていた。
イージスさんの教えてくれたダンスはそのダンサーなひと達がやってくれるものだろうから、ダンスも見ごたえのあるものだろう。
南地区にはフォーレンガは多い。海に面してるからか冬の休眠期にも冷え込みにくく、海に囲まれた小島出身の彼らには住みやすいらしい。
空を飛べるので、運搬業も兼業するひとが多いと聞くけど、飛んでるところは見たことないなあ。
歓迎のダンスなら見れるだろうか?
「さっすが音の南。ダンスで出迎えかあ。豪華だな。」
「私、フォーレンガのダンスは初めてです。とても綺麗なのでしょう?」
シードさんとアニスさんもうきうきしている。
フォーレンガのダンスはかなりのものみたいだ。
「楽しみです。」
「ああ。俺もだ。歓迎のダンスなんて滅多に見られないから、楽しみだな。」
え?これから見せてもらうダンスって特別なの?
じゃあ、しっかり目に焼き付けておかなくちゃ。
イージスさんの模様はマダラウミヘビをモデルにしています。




