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 動作を確認していくと、ベールを脱ぐ時に髪飾りが引っかかったり、クルビスさんに向き直る際、足に裾がからまったりと、練習ではわからなかった問題が浮上した。



 足にぴったりとドレスが沿っているからなあ。

 その上、練習用の布より長い上に薄い軽やかな布だから、足に絡まる絡まる。



 試行錯誤の後、つま先から先に方向転換して、それに沿わせるように身体全体で方向を変えることで何とかなった。

 ゆっくりした動作が良しとされるから助かったけど、これで街中の一部は歩くんだっけ。しまったなあ。



 こっちにないデザインをって聞かれて、憧れのマーメイドドレス提案しちゃったけど、もっと動きやすいふわりとしたデザインの方が良かったかなあ。



 …いやいや、街では道やら屋根やらに祝いの席が設けられて、皆大いに飲み食いしながら祝ってくれるから、道がけっこう狭いって聞いてるし、ふわふわの裾じゃあひっかかるかもしれない。



 思った以上の動きにくさにちょっと後悔しつつ、やっぱりタイトなドレスで良かったかもと思い直していると、メラさんがフォローをしてくれた。



「大丈夫だ。こけそうになってもクルビスが喜んで支えるさ。仲睦まじさを見せつけるのこそ、この式の醍醐味だ。私の時は、結局、伴侶が離さなくて抱き上げられたまま街を歩いたな。」



 メラさんとフィルドさんのお式はどちらも北と南の隊長だった時だから、当然、街を上げての祝いになったんだっけ。

 街中をふたりで祝われながら歩くものなのに、フィルドさん離さなかったんだ。



 さすがドラゴン。

 きっと見せつけるのも嫌だったんじゃないかなあ。



「そうですよ。きっとクルビス隊長ならハルカ様を離しません。」



 リリィさんとアニスさんがニコニコと頷いて、メラさんに同意する。

 クルビスさんのやりそうだなあ。街中抱っこ。



 でも、ドレスを見せつけるのも仕事の内だからねえ。

 抱き上げるのは極力しないように、クルビスさんにお願いしよう。



 ただし、こけそうな時は支えてもらおう。

 この裾だと入退場の時が危ないかもしれないんだよね。



「ああ。会議は終わったみたいだな。手があるうちに片付けてもらっておこう。」



「メラ様、私がっ。」



「リリィはハルカさんの警護だろう?アニスもだ。ここでは私が一番ヒマだからな。気にするな。」



 そう言ってリリィさん達が反論できないうちに、メラさんはウインク1つして颯爽と部屋を出て行った。

 …カッコよすぎる。お姑さんにドキドキが止まりません。

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