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「あの、そんなにすごいものなんですか?私、よくわかってなくて。」



 恐る恐る聞いてみる。

 私のドレスって、もしかして、とんでもないものだったりして。



「ははっ。術士でないとこれはわからないよ。明日の式でも、これに注目するのは警備をしてる守備隊の方だろう。」



 快活に笑ってメラさんが説明してくれる。

 良かった。素人にはわからないものだったんだ。私だけ知らないとかだったらどうしようかと。



「では、とても難しいものなんですね。」



「ああ。これを縫い込めるのは、世界広しといえども長だけだろうな。巨大な魔素を操る者も、繊細な術式を得意とする者もいるが、両方出来る者は滅多にいない。私もこれほど細やかな術式となるとお手上げだ。」



 つまり、世界で一つのアイテムだと?

 …秘宝とかに入らないよね?これ。入ると困る。



「まあ、それもこれだけ細かければわからない。明日、誰より注目を集めるのはハルカさんだしな。」



 う。そうだった。

 明日は街じゅうを回るんだよね。



 メルバさんの刺繍だって、その間に倒れたりしないようにと配慮してくれたものだ。

 言わなきゃわからないなら、言わなければいい。



 刺繍よりベールの色の方を見て欲しいし。

 白のベールは街のひと達にどう映るだろうか。



「そうですね。…白のベールの方が注目を集めそうですし。」



「そうだろうな。それに…アクセサリーまで白なのか。白の海の輝石とは、また珍しいものを。しかし、このドレスにはとても似合っている。綺麗だ。」



 ドキッ。

 クルビスさんに似てる笑顔で綺麗だって褒められるとドギマギしてしまう。



 …お姑さんなんだけどなあ。

 カッコよすぎるからなあ。



「メラ様は白の海の輝石をご存知だったのですか?」



 マルシェさんが驚いたようにメラさんに聞く。

 あ。そういえば、白の海の輝石って街ではあまり流通してないんだっけ。



「ああ。母が持ってる。魚人族が街に帰属する際に持ってきた物を父が母にプレゼントしたそうだ。これ程大粒ではないが、中々のもので、母も気に入ってるんだ。」



「まあ、イシュリナ様が。」



 イシュリナさんが持ってるなら納得だ。皆成る程って顔をして頷いている。

 ルシェリードさんは白に偏見は無いみたいだし、ドラゴンは伴侶を着飾らせようとするらしいから、イシュリナさんにプレゼントしたんだろう。



 …はっ。クルビスさんもそうだったらどうしよう。

 ドラゴンの血が濃くて、たびたび伴侶至上主義なドラゴンっぽい言動があるんだよね。



「勝手に高価なものを買ってこないこと」ってルール作った方がいいかな。

 普通、どうやったら旦那様に内緒で高い買い物できるかに悩むと思うんだけど…。



 クルビスさん相手だからなあ。

 私には際限なく買い与えそうで怖いんだよね。

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