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ひと騒動が終わって病室に行くと、また騒ぎになった。
もちろん、イシュリナさんが来たからだ。
「イシュリナ様だっ。」
「わあっ。おばちゃんっ。久しぶり~っ。」
「こらっ。イシュリナ様って呼ばないといけないんだぞっ。」
「ハルカお姉ちゃんもいる~。」
「ビルムのおっちゃん、何でいるの~?」
う~ん。大混乱だ。
リリィさんやビルムさんが宥めようとしてるけど、全然効果がない。
イシュリナさんは中央で小さな子供たちのお世話をしているそうだし、皆イシュリナさんとは面識があるんだろう。
「おばちゃん」なんて親しげに呼びかけるくらいだ、とても慕われていたんだろうな。
それにしてもこの大騒ぎ、どうしようか。
どんどんヒートアップしてる。イシュリナさんが宥めても効果がないようだ。
「すごい騒ぎだな。」
「ありゃあ。大人しくしないと、ご飯食べられないっすよ~?」
困り果ててた時、入口からいい匂いと呆れたような声が聞こえてきた。
調理部隊のバウルさんとベルさんだった。子供たちの食事を持ってきてくれたようだ。
「あ。ベルだ~。」
「座らなきゃ。ご飯もらえないよ。」
「ご飯っ。イシュリナ様も食べる?」
さすがにご飯の匂いには、子供たちも我に返ったみたい。
すぐに皆大人しくなり、ベッド横の椅子に座って食事の配膳を待つようになった。
すっかり餌付けされてるなあ。
ここのご飯美味しいからねえ。
「え。そうねえ。」
「すぐご用意するっすよ。西の方もご一緒されますか?」
「一緒に食べよ~。ハルカ様も一緒~。」
「そうそう。おじちゃんも一緒~。」
え。私も?ビルムさんも声をかけられて驚いてる。
ここでご飯かあ。それもいいかな。
目が覚めてからカメレオンの一族が乗り込んできてテンヤワンヤだったもんね。
イシュリナさんに目線を向けるとにこやかに頷いてくれた。
「じゃあ、せっかくなので。ビルムさんは?」
「では、私もお願いしてよろしいですか?恥ずかしながら、今日は食べる暇がなかったものですから。」
それはそうだろう。毒の混入で大騒ぎになったはずだ。
礼を取るビルムさんに驚いたような顔をしながらも、ベルさんは快く「了解っす~。」と頷いてくれた。
「じゃあ、急いで取ってくるっす。お任せでいいっすか?」
「ええ。お願いします。」
ここのお任せなら美味しいに決まってる。
何が出て来るか楽しみだなあ。




