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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
ドラゴンの一族
158/360

18

長い字数が続きます。

今日は2000字くらい。

 そんな保守的な青の一族だけど、能力は折り紙付きだ。

 事件のあった当日の「転移陣の故障」に関わっている可能性は充分にあった。



 この間のスタグノ族のお披露目で同じような故障が起こって、ますます怪しまれているのだとか。

 当時も不自然な点が多く、故障そのものが怪しまれたそうだけど、結局、証拠は出てこなかった。



 細工の可能性について、街に登録されていた術士や強い魔素を持つひと達のアリバイは徹底的に調べられたけど、結果は白。

 当時は青の一族の能力は知られていなかったからか、細工に関する調査もそれまでだったそうだ。


 

 さらに、その共犯と疑われた赤の一族には、ずっと一緒にいたと言う証言者も出てきて、結局、無罪放免となってしまった。

 キィさんはその証言も怪しいと思ったけれど、当時のキィさんは事件の関係者として調査から外されてしまい、証言者の名前もわからなかったそうだ。



 様々な疑問は残ったものの、実行犯が捕まったこともあって、当時の事件は一応決着がついた形になった。



 でも、私の話で故意に転移陣に細工を企んだひと達の名前がわかった。

 実行犯も上手く捕まえられたので、そこから辿って、術士に準ずる能力を持ちながらも、「一身上の都合」でルシェモモを出てから行方のわからなかった青の一族を見つけたらしい。



 そいつらはどの街からも離れた場所に暮らしていたそうだ。

 花を栽培してはいるものの売っている様子もなく、家の警戒もイヤに厳重で、それ以上はいくら調べてもわからなかったらしい。



 だから、裏でそういうことを専門に引き受けている連中だろうと推測されているそうだ。

 その道のプロとかこっちにもいたんだ。



 それと並行して、今度の転移陣の故障にはメルバさんも加わって、調査が徹底的に行われたのだそうだ。

 そして、今回は幸いなことに細工の跡が発見された。



 それはあまりに微小な魔素で、転移陣のスイッチともいうべき部分をコッソリ切り貼りして、勝手に転移陣のオン・オフを切り替えられるようにしてあったそうだ。

 しかも、使用を記録する部分を切り離してあって、オンの状態で転移陣を使っても記録は残らないし、オフにすれば魔素が流れないから「転移陣の事故」になるという訳だ。



 ただ、あまりに少ない魔素だったため、時間が経つと転移陣を保持するための魔素にかき消されてしまうようなものだった。

 だから、手を加えた痕跡も、時間が経つとほど見つからなくなる時限式というわけだ。



 魔素を操るのは個体の技量に左右される。

 こんな手の込んだことを出来るひとはそういなくて、今回細工したのと当時細工した犯人は同一の可能性が高いとみなされているとか。

 


 こんなことがわかったのも、メラさんの実験のおかげらしい。

 1000年前、ホーソン病でお友達を無くしたメラさんは、せめて弱っていく箇所だけでもわかれば治療は出来ると、微細な魔素の変化を測れる測定器を開発していたのだそうだ。



 昨日、ルシェリードさんの家で話題になった実験というのは、これに関するものだったらしい。

 クルビスさんもメラさんがそんなものを作っていたとは知らなくて、聞かされたときはかなり驚いたそうだ。



 メラさんの実験中は不審な煙や爆発も起こるため、子供のころから近寄るのは禁止だったらしく、何をしてるのかまでは知らなかったのだとか。

 メラさんも完成するまでは家族にも詳しくは教えなかったそうで、知ってるひとはごく僅からしい。



 そして、測定の結果を後押しするように、当時の転移陣の不調を確認した隊士さんも「見た目に異常は見当たらないのに、魔素を流し込んでもまったく機能しない。記録も途絶えている。当時の故障と同じです。」と証言してくれたそうだ。



 これらのことから、当時の事件にも青の一族が関わっているというのはほぼ確定になったらしい。

 盛りだくさんな話に私は詰めていた息を吐き出した。



 …説明してもらうと、たしかに良くわかる。

 でもこれ、当時の資料とか証言とか集めて、さらに調べたことを繋げてって…かなり大変なことだ。



 一応とはいえ、終わった事件なのにそんなこと出来るのかな?

 クルビスさんに聞いてみたら、これらのことはほとんどキィさんが自力で調べたものらしい。



 キィさんは納得がいかず、ずっと事件の跡を追っていたそうだ。

 それに今回私が聞いたことが重なって調査が進んだらしい。



 こんな大事になるなんて思ってもみなかったけど、役に立てたなら嬉しい話だ。

 空になったお茶を追加しつつ、最後の1つ、黄の一族はどう関係するのかも聞いてみた。



 これも最近わかった話なのだと教えてもらった。



 当時怪しまれていた赤の一族と一緒にいたと証言したのは、偶然その場に居合わせて足止めされてた黄の一族の若者だったそうだ。



 当時はお互いの関係を示すものは無く、有利な証言をするとは思われていなかったため、その黄の一族の若者の証言が確かなアリバイになってしまった。



 しかし、転移陣の故障が故意なら、黄の一族の証言は詐称だ。どっぷり関わってることになる。

 そりゃ、3つの一族が手を組んでって話になるわけだ。



 しかも、証言者の名前は知ってるひとだったから余計に驚く。

 証言したのはグレゴリーさんの弟、クレイさんだった。

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