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結局そのままクルビスさんもドラゴンの里に行くことになった。
ルシェリードさんとフィルドさんの上機嫌な顔を見てると、最初から仕組まれていたんじゃないかって思ってしまう。
クルビスさんは顔に手をあてて呻いているし。
「やられた…。」とか言ってるから、ルシン君の件で発言したことを後悔してるようだ。
「でも、また来たいです。その頃にはこれも無くなっているでしょうし。」
私はドリアンを見せながらクルビスさんを宥める。
実際、作る分だけと言っても手に持てる量しか持って帰れないのだからすぐに無くなるだろうし。
私が背中をポンポンと叩くと、クルビスさんがぎゅうっと抱きしめてくる。
クルビスさん仕事し過ぎだから丁度いいかもしれないなあとか思ってると、耳にバリトンボイスでささやかれた。
「ハルカが行くなら行くか…。」
あ。観念しましたね。
でもささやかないで下さい。腰がゾクゾクするんで。
『…ありがとうございます。おふたりとならきっと来てもらえますわ。』
ユリアさんがホッとしたように言う。
これでルシン君が少しは歩み寄るきっかけになってくれたらいいな。
そうだ。ドリアンでお菓子作って食べてもらおうか。
梅酒はだめだし、あ、梅ジャムもすぐできるかな?
甘いの好きだからお砂糖は大目にしよう。
うん。帰ったらルドさんに相談だ。
『ああ。そうだ。ルシンの件で幾つか街に下りることになったから、ついでに紹介しよう。ユリアも待ってて。』
私がこれからのお菓子メニューを考えていると、フィルドさんが思い出したように言った。
ルシン君が街中でいきなり本体に戻ろうとした件は、どう考えても誰かがドラゴンの子供を狙ったからだ。
探したけれど犯人は結局わかってないので、防犯のためドラゴンが睨みをきかせることにしたと昨日ルシェリードさんから聞いた。
今のルシェモモにはドラゴンの成体は10体程しかいないけど、それを倍の20体に増やすことにしたそうだ。
今回のことは、里以外では固まることのないドラゴンの習性を狙ったものとして大きな波紋を呼んだらしく、あまり一か所に固まろうとしないドラゴン達も街に下りることに賛成したそうだ。
ユリアさんが残ってるってことは一緒に街に下りるのかな?
ルシン君の血縁だもんねえ。
でも、ルシェモモでは大人は仕事を持たないといけないって聞いたけど、ドラゴンって何やるんだろう?
『待たせたね。こちらが今度街に下りる個体だよ。右からミルル、アドガシャ、キラン、ククイス、ケロウ、ピック、メロウ、ザクス、そしてユリアと私だ。』
「え。お義父さまは街にいなかったんですか?」
メンバーの中にフィルドさんが入っているのに驚く。
てっきりメラさんの傍にいると思ってたのに。
『お義父さま…いいっっ。』
「何言ってるんですか。」
…何だか質問とは別のことが気になったようだ。
とっさにお義父さま呼びはまずかったかなあ?




