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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
ルシェリードさんご一家
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 今日用意したお菓子は水菓子と水羊羹。

 水羊羹は崩れるといけないから、プリンカップに入れて持ってきた。



 プリンあったんだよね。

 元ネタはお馴染みのあー兄ちゃん。



 こっちではトロトロ食感じゃなくて、蒸し器で蒸した固めのプリンが主流だ。

 嗅覚の鋭い種族が多いから、卵の生臭みの強くなるトロトロ食感は受けなかったらしい。



 固めと言ってもプリンだから、小さな子供達のおやつの定番で、容器も小さめのものがあった。

 それを聞いて、崩れるなら容器ごと渡せばいいと思いついて手土産に追加。



「これはいいっ。気に入ったよっ。」



 意外なことに、水羊羹はメラさんにウケた。

 光り輝く笑顔が素敵です。ゴフッ。



 以前お茶した時は、お茶だけでお菓子は頼まなかった。

 だから甘いものは好きじゃないんだと思ってたけど、違ったみたいだ。



 それから、「ルシェモモでは瑞々しい食感が好まれるから水羊羹は必ずウケる。」と太鼓判まで押してもらって、料理教室でも教えることを伝えたらとても喜ばれた。

 ただ、水菓子と材料が同じだと伝えると、ここでも驚かれる。そんなに意外だろうか?



「これが何処でも食べられるようになるなんて、素敵ね。」



「どちらも美味い。俺でも食べやすい味だ。」



「暑い時も食べやすそうですね。私は蜜をかけた方が好きかな。」



 こんな風にお菓子は全て好評で、レシピが普及するのを楽しみにしていると言ってもらえてかなりホッとした。

 お菓子を広めることに関して、これまでクルビスさんのご家族とお話したことが無くて、どう言う風に思われているか不安だった。



 こっちでは女性が働くことに関しては問題ないみたいだけど、レシピ公開は無償だから仕事とは違う上に、思った以上に騒ぎになってしまって迷惑をかけているんじゃないかと思っていたから。



 一応聞いてみたけど、ドラゴンの一族へのお披露目が最後だったのと、まだ顔合わせも済んでいなかったので、ルシェリードさん達に問い合わせが殺到するようなことはなかったそうだ。

 それでも、これから料理教室へ口利きしてくれって話が来るかもしれないけど…。



「大丈夫だ。私達に突撃できるほど根性のあるやつは滅多にいない。各一族の長には手土産にしたんだろう?それで十分抑えになった。」



 メラさんが優しい笑顔で声をかけてくれる。

 私がまだ不安がっているのを察してくれたんだろう。



 メラさんは豪快な印象を受けるけど、とても繊細な気遣いの出来るひとだと思う。

 フィルドさんも頷いてくれているし、ルシェリードさんとイシュリナさんも微笑んでくれている。



 さっきまで残ってた不安が溶けていく。

 この優しいひと達が新しい家族になるんだ。



 ああ。嬉しいなあ。

 日本を思い出して寂しい時もあるけど、ここでなら生きていける。そう思う。

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