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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
スタグノ族・お披露目
125/360

11

 その後、クルビスさんと一緒に会場に戻った。

 戻った途端に会場中から視線を浴びる。



 え。何だろう。

 こっそり戻ったのに、何でこんなに見られてるの?



「さっき共鳴したからな。さっさと中に戻ろう。」



 私の疑問にクルビスさんが耳打ちして答えてくれる。

 さっきの共鳴が外に漏れてたみたいだ。



 まあ、共鳴は魔素を高め合うことだから、気づかれて当たり前ともいうけど、それにしても周囲の視線が痛い。

 射抜かれそうな視線だ。



 共鳴して驚かれたことはあったけど、ここまでの反応はなかったなあ。

 興味っていうより、怖がられてるような気がするのは気のせいだろうか。



「お見事な共鳴でございましたな。」



 真ん中の方まで行くとグレゴリーさんが声をかけてくれた。

 そうしたら、周りもようやくざわつき始める。



「共鳴を始めて体験した者が多いからでしょう。素晴らしい魔素でございました。」



 う。いちゃついてたのを皆知ってるってこと?

 恥ずかしい。クルビスさんっ。



 私が見るとさっと視線をそらすクルビスさん。

 今の今まで見てたでしょうが。こっち向けっ。



「これはこれは初々しい。」



 私とクルビスさんが視線でやり取りしていると、別の声が割り込んでくる。

 そちらを見ると黄の一族の男性だった。



 くすんだ黄土色の体色に赤い瞳が少し怖いと思わせる風貌だ。

 にこやかというよりにやけた感じの笑い方で少し不快感を感じる。



 そんなことは表に出せないからクルビスさんの魔素を意識して、上機嫌に見えるようににっこり微笑む。



「…ご紹介しましょう。私の弟です。」



「クレイと申します。お見知りおきを。」



 クレイさんが大げさな身振りで礼を取る。

 何だか仰々しいというか、芝居がかってるような仕草だ。



 グレゴリーさんが苦笑しているのを見ると、クレイさんのクセみたいだ。

 ちょっと付き合いが難しそうなタイプだなあ。



「クルビスです。こちらは伴侶のハルカ。」



「ハルカです。よろしく。」



「お二方にお会いできるのを楽しみにしておりました。特にハルカ様には我が甥がお世話になり、大変感謝しております。」



 …何だろう。礼を言われてるし、喜びの魔素も感じるのに、違和感がある。

 隣で困った顔で笑っているグレゴリーさんを見てハッとなる。



(初対面でのグレゴリーさんに似てる…。目が笑ってない。)



 顔も雰囲気もニコヤカなのに、目は形だけ笑っているだけだと気づく。

 これは要注意な相手だ。




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