表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
スタグノ族・赤の一族
101/360

 こちらも名乗って、それではと手土産の水菓子を手渡すことになった。

 それを見たアースさんの目が倍くらいに輝く。



「おおおっ。まるで水の宝石ですな。」



 見た目はどこでも好評だ。

 やっぱり暑いから、見た目に涼しいものは喜ばれるみたい。



「中心がリッカの色とククリの色みたいだ。良い色です。」



「もう。それではわかりませんわ。ククリというのはアース兄様の娘です。トカゲの一族の女の子ですわ。」



 え。娘さんがトカゲの一族?

 スタグノ族ってスタグノ族同士で結婚してるって聞いてたんだけど。



「驚かれました?アース兄様はトカゲの一族のお姉さまと大恋愛の末に番となられたのですわ。」



 種族結婚かあ。シーリード族ではよくあることだけど、スタグノ族では珍しいよね?

 だからトカゲの一族の娘さんがいるんだ。



「ふふふ。うちの家訓は「惚れたものは手に入れろ」ですからね。」



「「伴侶となる相手を見付けたら、何が何でも手に入れて幸せになってみせろ」という意味なんですの。要は、後悔するなということですわ。」



 へえ。家訓かあ。

 リッカさん達見てるとすごい納得。



 片や親子程に年の離れた夫婦、片や種族の差を超えた夫婦。

『何が何でも手に入れて幸せになってみせろ』の見本だよね。



 壁なんて超えちまえってことかな。

 パワフルな家訓だ。



「その家訓のおかげで、我が一族はルシェモモにいち早く進出出来たのですよ。」



 アースさんのお話によると、赤の一族の住んでいた地域は干ばつが酷くて食べ物が無くなるのがどこよりも早かったそうだ。

 それで布の交易をしていたルシェモモを頼って、当時の長の息子が率いる赤の一族の一部が移住したらしい。



 この時長の息子さんが当時開発されたばかりの転移陣を見て、「これは商売に使える。」と、いち早くメルバさんと交渉し、見事にその商業利用兼を獲得したそうだ。



 商売は軌道に乗り、転移陣のおかげで新しい移住先の大きな湖も見つけてと万々歳だったらしい。

 ルシェモモに移住した一族はそのまま残り、転移局の設置に尽力して、各地に一族を派遣して様々な布や染物の原料なんかを仕入れているのだとか。



 なんというか、今まで聞いたスタグノ族の話の中では、赤の一族が一番の勝ち組だ。

『惚れたものは手に入れろ』っていうのは商売のことも含んでるんだろうな。



 赤の一族は乾燥に強いくらいで特殊能力はないらしいけど、『目』がいいんじゃないだろうか。

 ひとでも物でも見る目があるというか、物事をよく観察してるってことだ。



 う~ん。こういう目利きの一族相手にどうやって交渉していこう。

 布や染物関係を扱ってるのは赤の一族だ。



 式では相手の色をまとうことになっているから、私たちの黒をそれぞれ用意しようとしたんだけど、これがかなり難しかった。

 濃い黒って色を出すのが大変なのだそうだ。



 だから、腕のいい技術者を紹介してもらえないかとお願いに来たんだけど、商売人相手にタダでお願いは出来ないのはもうわかっている。

 今のところ、どこでも効果がある取引き材料は『水菓子のレシピ指導優先権』だけど…。



 もうちょっと目新しいものもあったほうがいいかなあ。

 リッカさんに聞いておけば良かった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=523034187&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ