93.教会侵入編 ~その2~
93.教会侵入編 ~その2~
「ほう。これはまた。俺レベルでなければ浴びるだけで正気を失わせるほどの呪詛だな……」
垂直移動床でかなりの時間下降した俺は、地下に広がる広大な空間にいた。
そこはヌメヌメとした紫色の外壁でおおわれた空間であり、まるで何かの生き物の中のように思わせる。
「ここに『強力なモンスター』とやらが封印されているとあの女は言っていたが……」
果たして本当だろうか。
一般人……。いや、相当高位な冒険者であっても、この空間にいて正気を保つことは出来まい。
そしてモンスターすらも、この呪詛の中では生きていけないのではないか?
生きていけるとすれば、俺や、俺のレベルに達した、本当のごく一部の人間にとってだけだろう。
「どっちにしても、こんな気色の悪いところにいたいわけもないがな。≪呪い無効(強)≫」
最上位のプリーストでなければ使用できないスキルをあっさりと行使しつつ、俺は先へと進む。
「なぜ、ブリギッテ教本部の地下にこんなものがあるのか」
俺は呪詛のより強い方向へと進んでいく。
強力な呪いはまるで針のように俺の体を蝕もうとするが、もちろん、俺にはきかない。
だが。
カラン。
足元には無数の白い何かが散らばっていた。
(かろうじてボロボロになりながら残っている布切れ……。青と白の混じった聖衣……。ブリギッテ教徒のものに見えるな)
俺は少し考える。
「大教皇が言っていたことが嘘でないなら、かつてドラゴンと一緒にモンスターと戦った時のプリーストか?」
俺は呟きながら更に足を進める。
大きな扉の前に出た。
血管のようなものが浮かび上がっており、余りにも巨大なミイラが左右の扉両方にかたどられている。
ミイラはそれぞれ長大な剣を持ち、扉の前でクロスさせていた。
この先が禁足地であることを明示しているのだ。
だが、
「なら、俺が行くしかないな」
俺は嘆息しながら、あっさりとその扉へと手をかけようとする。
もしも、この扉がこれほど厳重なものでなければ、わざわざ俺が出向く必要は無かったろう。
だが、この扉は明らかに資格のある者にしか通れない。
ならば、神にも等しき俺がゆくしかあるまい。
「ふっ、運が悪かったな」
扉をあまりにも厳重にしてしまったがゆえに、俺の様な人の頂点に位置するものが来訪してしまうのだから。
その時である。
『通れぬぞ、この扉は。人如きに、アビスの心臓には、触れられぬ! おとなしく復活を待つが良い!』
突如として、扉のミイラが動き出し、こちらに刀を振るってきたのである。
だが、俺は微笑みながら、
「そうでなくてはな」
そう言って新たなスキル構成を編んだのである。
「スキル≪スピードアップ(超)≫」
俺は高速化のスキルを使用する。
『無駄だ! 脆弱な人間よ! その程度の速さでは我々の剣からは逃れられぬ!』
ブオン!
「おっと」
プツン……。
俺はミイラたちの剣をたくみに躱す。
その瞬間に、腰にひもで止めていた袋が切られて飛んで行った。
中から小さな黒い粒がたくさん散らばる。
『惜しかった。もうちょっとで我らの剣が当たって死ぬところであったのだが!』
「……スキル≪スピードアップ(超)≫」
『まだ懲りぬか! ははははは! 愚かな人間め!』
彼らは哄笑を上げながら剣を振り回す。
『躱し続けても埒が明かぬぞ人間よ! そろそろ諦めてはどうだ!』
勝利を確信した彼らは嘲笑する。
一方の俺は、
「やれやれ」
彼らの剣をなんとか躱しながら嘆息する。
「やはり自分にスピードアップを使用していないと躱すのも少し大変だな」
そう言って肩をすくめる。
『なに?』
ミイラは怪訝な声を上げる。
だが、それに対する答えを口にする必要はないだろう。
なぜなら、
『ざああああああああああああああああああああああああ』
一斉に美しい紫色が、辺り一帯に広がり始めたからだ。
『な、なんだこれは……。これは……、花?』
ミイラたちは攻撃の手を思わず止めて唖然とする。
「さあ、花が咲いたぞ、アビスの門番よ」
一方の俺はそう言いながら美しい花々が咲いていく様子を見て微笑んだ。
なぜなら、これは、
「呪いを吸い込み成長する黒花だ」
『なっ!? 我らの力が!? この呪いの空間が浄化されていくだと!?』
その花は呪いを吸い込み、美しい花を咲かせる。ただそれだけの存在だ。
一瞬のうちにこの空間の呪いを吸収し、ミイラたちの力の根源を奪っていく。
『だ、だがいつの間に!? 花なんぞ咲かせている様子は……』
「何を言っている。さっき自分たちで種をまいたろう?」
俺はニヤリと笑った。
『なに!? あれは作戦だったというのか!? 俺たちに追い詰められていたというのも演技だというのか!?』
「スキル≪スピードアップ≫で、花の成長速度をアップさせてもいただろう? 全部俺の手の平の上だったというわけだ」
ミイラは再度驚愕の声を上げた。
だが、そんな敵の様子を見ても、俺が伝えられる言葉は一つだけだ。
「ふ……。何を驚いているんだ、門番ども」
笑いながら、
「お前たちなど俺の敵ではないのは当たり前のことだ。そもそも雑魚の出る幕ではない。さあ、さっさと門を開けると良い。これは命令だ」
そう命じたのである。
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