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【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖女、お前に追って来られては困るのだが?  作者: 初枝れんげ(『追放嬉しい』7巻3/12発売)
第3章 ボクネンジンに気持ちを伝えるたった一つの方法/ブリギッテ教会侵入編

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92.教会侵入編 ~その1~

92.教会侵入編 ~その1~






俺たちは大教皇リズレット・アルカノンの執務室へと招かれた。


ソファに腰かけて、出された紅茶や菓子を口に運ぶ。


コレットたちを待っていようかと思ったが、


「とりあえず報告だけ先に聞いてしまっても良いかしら? あなたたちが会ったフォルトゥナとやらについて」


とリズレットが言った。


話し合いならともかく、報告は先にしてしまった方が効率が良い。


というわけで、さっさと俺たちが出会ったあの『白き少女』について報告する。





「なるほど、私が貴方たちを呼んだのをどうやってか知り、妨害に出た訳ね。幸い、アリアケ君が規格外だったおかげで事なきを得たわけね」


「奴は俺のことを『切り札』と言っていた。あなたが提案したアリシアとの婚姻とも何か関係があるんだろう?」


「まぁ、そんなところね!」


彼女は紅茶をズビーッと勢いよく飲むと、


「元々、この聖都には不思議な噂話があったわけ。白い美しい少女が現れると、それまで普通に過ごしていた人が、突如として殺人鬼になってしまったりだとか、一夜にして人格が変わってしまう、みたいなね」


「出来の悪いホラーのようだが?」


「もちろん! 根も葉もない噂だったわけ! でも……」


彼女は長い髪をくりくりといじりながら、


「ここ最近になってその白い少女を見たって人が頻発しはじめたのよ。で、案の定、変な事件も多発しはじめた。根も葉もない噂だと思っていたけど、これは只事じゃないなと思ったわけ!」


「それが俺をアリシアと結婚させてまで聖都へ呼び出そうとした理由なのか?」


「そうそう。あとはアリシアの報告でアリアケ君が超有能らしいことは分かってたから! 私は有能な人材に目がないのね!」


ふーん、と俺は思った。


嘘は言っていないようだ。


(ただ、すべてを言っていないだけだな)


そう直感的に見抜いた。


さすが、国教をつかさどる大教皇だけある。嘘をついてはまずい相手を間違わない。


やれやれ、骨の折れることだ。やはり、偽装結婚をして侵入したことは正解だった。


「あとはあのドラゴンのことだが、地下封印遺物アビスと言っていた。あれはなんのことなんだ?」


「この教会の地下には強力なモンスターが封印されていて、かつてドラゴンたちとの共闘によって封印しているわけ。その封印が最近少し弱まってきているのよ」


「で、それも協力すればいいわけか?」


「え? あー。シャーロット王たちの手前、あんな感じで啖呵切ったけど、そこはこのリズレット・アルカノンが命に代えても解決するから安心して頂戴! なーんていうと大げさだわ! 大船にのったつもりでいてねん♬」


やはり嘘は言っていない様だな。


俺はこっそり嘆息しつつ、持っていたティーカップをテーブルに置くと、


「すまないがトイレを借りたい。どっちに行けばいい?」


「あら、それなら部屋を出て左に出てもらえればすぐですわ」


「分かった」


俺はそう言ってリズレットの執務室を出た。


さて、


「スキル≪構造解析≫開始」


俺はスキルを使う。


教会本部は様々な機能が集合した建物だ。


1階は神官学校で、2階から上が行政施設になっている。


だが、


「不思議なことに地下につながる階段がなかった」


これほど機能を詰め込んでいるのに、なぜか地下フロアが作られていないのである。


その理由は、


「ま、そうだよな」


俺はスキルを終了させて、右側の通路を直進しだした。


一見したところ、壁があるだけで、行き止まりのようにしか見えない。


しかし。


『ブオン』


俺が手をかざすと、その向こうに更に空間があることが分かった。強力な結界で空間がねじまげられているのだ。


そして、その先には、


「なるほど、垂直移動床(リフト)か」


俺はためらいなく、その床の上に乗る。


スキル≪構造解析≫によれば、地下へと通じるルートは、この招かれた者以外は入れない大教皇の執務室の前を通らないといけない上に、このリフトを使わなければたどり着けないようになっていた。


地下封印遺物(アビス)か」


ドラゴン(シャーロット王)はそう言っていた。


そして、大教皇リズレット・アルカノンは自分が何とかすると言う。


要するに、この世界をどうにかできる二人が、自ら動く必要を直接的にしろ、間接的にしろ表明しているのだ。


「今回の事件の核は地下アビスにあるようだな、やれやれ」


俺はもう一度ため息をつきながら、ゆっくりと下降を開始する。


世界の核心に触れるために。


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