193.変わり果てたルギ
193.変わり果てたルギ
「なるほど。地下祭壇か。それも相当に古いな」
俺たちは階段を慎重に下へ下へと下りていた。
「じめじめしておるのじゃ!」
「コレットとしては快適なのではないのかのう?」
「ドラゴンをトカゲかなんかと勘違いしておるじゃろ、それ! ちなみに、そのジョークで怒るドラゴンおるから気を付けた方がいいのじゃ!」
「そうですわ。トカゲと一緒なんてとんでもない侮辱ですわ」
「あんたら、じゃなくて、先生たち、よくこんな不気味な場所で談笑できんな……」
「本当です! 足を滑らせても知りませんよ!」
「ソラ、あんたも十分マイペースだよ! っていうか、あたしがつっこみしないといけない状況って、おかしくない!?」
「緊張感のない奴らだな、お前たちは」
先導するワイズ神の影が呆れた調子で言った。
「この場所は庭に入口があるが、特殊な結界が張ってある。私が認めた者しか入れぬ作りだ。神域ゆえに少しは殊勝にしてもらおう」
「あなたの性格を反映したから、こんな辛気臭い場所になったということですか?」
と、辛辣な言葉を発したのは、なんとピノである。
先ほどの戦闘が終わってから、普段無口だったピノが饒舌になっているうえに、やけにワイズ神の影につっかかる。しかも、口調が随分と大人びていた。
しかし、
「こういう場所にしか宿らぬ力や生命もある。何も太陽だけがお前たちへ恵みをもたらすわけではあるまい」
「例えばイルミナ族はそうだとでもいいたいかのようですね」
「そう言っている。皮肉なのは余り感心せんな。ピノ。アリアケのように腰を据えるがよい」
「先生は特別だ……というか、今は関係ないでしょう。話を逸らそうとするのは神として褒められた態度ではないのではないですか?」
双方が否定しあうような応酬が繰り広げられた。なぜか俺が時々話のダシに使われているが……。
「御託はいい。見れば分かる」
「待ちなさい。まだ話しは……」
「ついたぞ」
階段が終わると、そこには大きな扉が一つ存在していた。
天秤と剣が交差したワイズ神の紋章が刻まれているが、それは何者かによって十字に刀傷がつけられていた。
その理由を問う暇はなく、扉は自動的に開いたのである。
そこで俺たちが目にしたのは―――――
「ルギ!!!」
その姿を見て、開口一番叫んだのは、フィネであった。
扉の向こうは、どういう原理になっているのか、どこまでも続く平原が広がっていた。
そこに、ルギ。
いや、
「ルギ、少し見ない間に、ずいぶんと変わったな」
「ああ、先生にみんな。御無沙汰しています」
彼は微笑みながらそう言った。
一見すると穏やかな笑み。
だが、その目はこちらを見ているようで、見ていない。どこか夢うつつのように見えた。
何よりも、
「どうですか? この姿は? 前よりもずいぶん強そうになったでしょう?」
彼はやはり陶然とした様子で言った。
その姿は以前の子供らしい姿から、どこか禍々しいものを感じさせる、不気味なものに変貌していた。
彼はそもそも元四魔公のオーク種族のトリドスの息子だが、妻はヴァンパイアでハーフである。容姿はヴァンパイアの特性が出ていて、その肌は白く端正な顔立ちをしていて、紫の瞳をしていた。だから、オークの怪力と、ヴァンパイアのスキルが使用できる特性を持っている。
そんな彼は、今や髪の色は抜け落ちて銀髪となり、瞳の色は紅く変貌している。おかっぱだった髪はこの短期間で長く伸び、黒と赤に彩られたヴァンパイアの装束とあいまって、美しい夜の王たる威厳すら称えていた。
「言葉遣いもずいぶんと大人びたな。だが、子供がそんなに急に成長するもんじゃないぞ? のんびりと成長すればいいんだ」
「……先生は、いつもそうおっしゃいますね」
ポツリとルギは低い声で言った。
「慌てなくていい。そのうち成長する。潜在能力は大したものだ。何よりも」
彼は初めて感情らしきものを瞳にのせたような気がする。
「『強くなる必要すらない。そんなものがなくても仲間を守ることは出来る』 そう言いましたね?」
「ああ、言ったな」
俺は淡々とうなずく。
同時に、彼は微笑んだ。
「そんあことはありませんよ、先生。それは勘違いだと思います。なので、それを証明したいと思うんです。だから先生」
彼の周囲からスルスルと鮮血を束ねた刃の帯のようなものが生えてくる。
「簡単には逝かないでくださいね」
「ルギ! どうしてだよ! 帰って来いよ! 仲間じゃないか!」
フィネが叫ぶが、
「それは違いますよ、フィネ」
彼は首を横に振った。
「仲間を守るためには力が必要なんです。僕の父さんが死んだのは力がなかったせいです。僕はまた同じ過ちを繰り返したくないだけなんですよ」
切なく謳うような声で言った。
だが、
「ばっか! ルギのばか! あほ! あんぽんたん!」
フィネが頭にきたとばかりに罵倒しながら、
「あんた超賢いと思ってたのに、こんなに馬鹿だとは思ってなかったぞ、ルギ! このあんぽんたんめ! よーし、分かった! そこまで言うなら、分かった!」
彼女は戦闘体制に移行しつつ、
「ちょっと一発殴る! あたしも間違ってたら親父に一発ゲンコツ喰らって泣かされて反省させられるんだ! あんたにもそれ、やってやるから、そこで待ってろ!」
そう言いながら駆け出したのである。
「フィネ、あなたは相変わらず口が悪いですね」
ルギの瞳が驚きの色をたたえた。と、同時にどこか嬉しそうに口元が少し動いた気がした。
やれやれ。
俺は苦笑しながら、
「俺の言いたいこと全部言ったな、あいつ」
と、言うと、
「主様の教育の賜物であるなぁ」
「旦那様の生徒は最強なので当然なのじゃ!」
フェンリルとコレットがそう返した。
だが俺は首を横に振り、
「俺の力じゃないさ。強いて言うなら、俺を支えてくれたお前たちのおかげだ」
と言いながら、突っ込んでいく彼女へ支援スキルを使う準備を始めるのだった。
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