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炎焔の鎧  作者: なとな
第7章 敵地
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第7章14話 真相、森姫

 先ほどの連中にはなんとか勝てたが、こちらの消耗も激しい。冷たい風が吹き抜け、荒れ果てた戦場の残骸が散らばる中、俺たちは息を整えていた。周囲には、倒れた敵の鎧が錆びつき、地面に撒き散らされた武器が煌めいている。現在、みんなの話を纏めると合流できたのは俺、風読セレナ、突撃のリーシャ、暁の妖精アウロラ、風の聖女ゼフィラ、風刃の騎士ゼファー、紫花のマーレア、静寂のイオン、銀鉾のシルヴィア、双剣士のレン、盾将軍グラディアス、そして一緒に捕まっていたリーナだ。


 しかし、彼らの表情は硬く、どこか疲れ切っている。死亡確認ができているメンバーは火炎剣士ヴァルカン、青毒のナリア。彼らの名前が心の中で繰り返されるたびに、痛みが広がっていく。はぐれたメンバーが…………水の聖女ルーナ、地剣のテラ、宝石の妖精ジェンマ、毒花のアカンサ、黒影花セリカ、地の聖女ベラトリックス、煌姫リヴァイア、海銃のミズキ、波濤の影忍ネレイド、掃除屋リオニア、鋼腕イグニス、氷雪のクリスタラ、闇鎖闘士レクサ、毒剣のユウキ、獅子の戦士レグルス…………そして森姫カイラ。


 だが、カイラさんはおそらく…………俺は白骨死体とそれが着ていた衣服を思い出す。薄暗い記憶がよみがえり、冷や汗が背筋を走る。そうだ、一緒に来たならあの服を見れば…………わかるはずだ。


「なあこれを見て欲しい。俺とリーナが捕まっていた部屋が崩壊した時、俺の傍にあったものだ。ショッキングなものだからあまり女の子は見ない方がいいかもしれない」


 俺はそう言ってみんなに見せた。手のひらに乗せた布切れは、かすかにかすんだ色合いをしており、まるでカイラの笑顔を思い出させるかのようだった。


「これは……」

「え?」

「まさか」


 みんなは服を見て言葉を失ったようだ。緊張した空気が漂い、周囲の静けさが一層深まる。その服は……間違いなく一緒に来た彼女が身にまとっていたものだという証拠だろう。


「間違いない。カイラ様のものだ」


 そう言うのはカイラさんと同じエルフで仲間だった双剣士のレンだ。彼の言葉は重く響く。やはりそうか。…………でもなんであの人は白骨に? 周囲が驚いている中、レンだけは悲しそうに遺骨を見つめている。


「アンタ…………何か知っているのか? カイラさんを……」


 俺がそう聞くとレンさんは話してくれた。


「カイラ様が魔法を使えないというのは知っているか? 正確には使わないの方が正しい」

「ああ、いつも拳や蹴りで戦っていたな」


 あの戦闘スタイルで特級傭兵ランクダイヤモンドなのだから、彼女が魔法を使えば間違いなく最強なのだろう。でもこの文脈は…………彼女の魔法とこの白骨が結びつくって事だな?


「カイラ様の魔法は…………自身以外を遅くする魔法だ」

「なんだよそれ…………」

「そのままの意味だ。俺たちは知らない間に世界ごと遅くされている」


 それはつまり…………遅すぎる俺たちからすれば…………彼女は魔法を使う度に速く感じ、老化から白骨化まで一瞬になるほど加速したと考えれば…………彼女が白骨になったのは魔法の効果と言える。いや、彼女が白骨になるまで俺たちが遅れているという表現が正しいのか。


「徐々に彼女の魔法の効力が消えて世界の速度は元に戻る。その最中だろう。だからまだ遺骨は風化していないんだ」

「そうですか、あの人がいつも速かったのは、俺たちが遅くされていた世界で生活をしていたからなんですね」


 レンの言葉に周囲も納得している。確かにそれなら辻褄は合うが……彼女が魔法を使わなければいけないほどの相手がいた…………おそらくあの魔将、園剣魔将セプティムスだろう。倒してくれたのかだけは気がかりだけど………


 そしてアウロラが火の聖女ヴァルキリーの魔力を辿りながら歩いていると、見覚えのある金色の炎が奥の部屋から噴き出しては魔族たちを燃やし尽くす。その光景はまるで希望の光が闇を照らしているかのようだった。


「無事であったかアクイラ」


 そこにいたのは火の聖女ヴァルキリーと彼女の付き人で俺の幼馴染、毒花のアカンサがいた。二人は無傷のようで、ヴァルキリーの周囲には鮮やかな炎が舞っている。彼女の存在感は圧倒的で、周囲の者たちに安心感を与えていた。


「再会できてなによりですわアクイラ。それからお久しぶりですねリーナさん」

「ヴァルキリー……お嬢さんも一緒か」

「ええ、大所帯ですこと…………ですが悪くありません。アウロラを頼りにここまできたのでしたら次はジェンマがあたくし達の元に来るのを待ちましょうか。ですがここでは待ちません。敵地の中央ですからね。城から退避しましょう…………あのボスを倒してからですが」


 そういうアカンサの視線の先には、ヴァルキリーと対峙している敵がいた。俺たちを捕まえた張本人、魔の九将(マギス・ノナ)の一人、紫剣魔姫ルクレティアがいた。彼女の姿は冷酷で、周囲の空気が張り詰めているのが感じられる。


「あら? アクイラとリーナ、逃げ出せたのね」


 その声は、まるで静寂を破る鈴の音のように響いた。ルクレティアの瞳には狡猾な光が宿っていた。彼女との再会が、戦いの序章となることを誰もが感じ取っていた。

生存者:灼熱の拳アクイラ、風読セレナ、毒花のアカンサ、突撃のリーシャ、暁の妖精アウロラ、風の聖女ゼフィラ、火の聖女ヴァルキリー、静寂のイオン、盾将軍グラディアス、風刃の騎士ゼファー、銀鉾のシルヴィア、紫花のマーレア、双剣士レン、白銀の薔薇リーナ


生死不明:水の聖女ルーナ、地剣のテラ、宝石の妖精ジェンマ、地の聖女ベラトリックス、海銃のミズキ、闇鎖闘士レクサ、波濤の影忍ネレイド、掃除屋リオニア、毒剣のユウキ、氷雪のクリスタラ、鋼腕イグニス、黒影花のセリカ、獅子の戦士レグルス、煌姫リヴァイア


死亡確定:森姫カイラ、火炎剣士ヴァルカン、青毒のナリア

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