第三十五話 魔導変形
どうやって描写しようか悩んでいたら間が空いてしまいました
「とりあえず作り方は分かったし、次は構想を練ろうかな」
面白いもの、という条件がなかなか厳しい。
まあいくらでもやりようはあるだろうけど、構想をそのまま形にできるとは限らないし。
これはむしろ魔剣のキーアイテムになりそうな素材を探して、そこから組み立てていくのがいいかもしれない。
というわけで、それっぽいものをピックアップしてみることにした。
どれが当てはまるかはよく分からないけど、とりあえず「魔力によって~」みたいな文言があるものをさらってみる。
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ラグラム澄石塊
紫色のクリスタル。
空気中の魔力を吸収して電気エネルギーとして内部に蓄積する。
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銀石鳥の胸部器官
銀石鳥の雄が雌に求愛行動をとる際に使用する器官。
魔力によって回転し、その速度によって雄としての優劣をつけているとされる。
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アーカライムウッド
魔力によって硬度を増す木材。
古くから儀式用の道具に用いられている他、限定的な場面で防具にも用いられることがある。
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サルヴァンクロス
亡国の骸骨騎士が背負う赤い旗に刻まれた十字の紋。
通った魔力の性質を変換する。
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「なるほど……何か色々あるね」
これだけ種類が豊富だと、武器だけじゃなく様々なものができそう。
なんなら車とかも作れそうだよね。車よりも速い移動手段があるのでわざわざ作る人はいないような気もするけど、そういう機械みたいなものを疑似的に再現するというのは結構面白いかもしれない。
そういう切り口から考えてみて一つの構想を作り上げた私は、数度のイメージトレーニングを経て再現可能と判断し、早速武器を作り始めることにしたのだった。
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「というわけで、今回の材料はこんな感じ」
箱から取り出した素材をざっと並べてみせる。
魔剣に使えそうな素材のうち、使うのは[銀石鳥の胸部器官]。
魔力を注ぐことによって回転するこの素材が今回作る武器の要となる。
そのほかに使うのは[ギシロザメの多重歯牙]や[フィール灰輝鋼]、[シシルティアの鉄草]など。
それぞれに関する説明は武器を作りながらにしよう。
「フィール輝鋼はいつものって感じだよね。特に灰輝鋼は見た目鉄っぽいし性能もシンプルだから一番よく使うかも」
『よく使ってるよね』
『実際最初っから色ついてるのは便利そう』
『シンプルイズベスト』
「なので今回も使うんだけど、今までとは結構違う形になると思う」
今回作る剣は、魔剣というのもあってギミック的に今までのものとはかなり構造が異なってくる。
それはベースを作る段階からすでにそうで、まず私は細長い楕円形の板二枚を作った。
その二枚を重ね合わせるような感じにして、さらに同じような大きさで一回り小さい板を三枚作り、大きな二枚の間に挟み込む。これによって立体的なオブジェクトが出来上がったわけだけど、これで終わりではない。さらに箱のようなパーツや持ち手のパーツを作って組み立てていく。
『なんだこれ?』
『ビームでも出すんか』
『あー、なるほどね(分かってない)』
「この段階じゃ分からないと思うけど……いや、素材見ればわかるかも」
わりと武器としては一般的だし。とはいえファンタジーっぽくはないので情報が紐づかないとも思う。
「で、次はこの辺だね」
ベースができたので、フィール灰輝鋼以外のものにも手を出していく。
[ギシロザメの多重歯牙]は名前から何となく連想できると思うけど、簡単に言えばナイフのように鋭い牙が三つ重なっているような素材だ。見るからに攻撃力の高そうな感じ。
[シシルティアの鉄草]は……耐久力の高い草みたいなやつ。軽くて強靭ということで、基本的には防具に使われることが多いらしい。
ちなみにシシルティアというのはある妖精の種族の名前なのだとか。
まあそれはともかく、これらの素材は組み合わせて使っていくことになる。
銀石鳥の胸部器官、ギシロザメの歯、シシルティアの鉄草……この三つが噛み合って初めて一つの剣となるのだ。ちなみに名前は連鎖剣にしようと思ってる。
さて、まずは鉄草にギシロザメの歯を合わせ、コテを使ってくっつけていく。
高い出力を一瞬当てて歯を融かし、鉄草にくっ付ける感じだ。
融かして、くっ付けて、融かして、くっ付けて、融か…………
「あっ」
『あっ』
『あーww』
『切れた』
歯を融かそうとしたところ、ミスって鉄草に当ててしまって切れてしまった。
魔力に対する耐久力はそれほど高くないらしい。慎重に扱わないといけないな。
『当たってたね』
『一敗目』
『これ面倒くさそうだな』
「イライラ棒的なね……まあ一回失敗して学んだからもう大丈夫」
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「……はい、というわけで無事一発で成功したわけだけど」
『はいじゃなくてね』
『編集点作ってない?』
『4度目の挑戦でようやく成功じゃん』
『見てる分にはそれほど難しそうにはみえないんだけどね』
「結構難しいんだよこれ」
少し触れただけでもすぐに断裂してしまう。歯の方の加工出力が結構高くて一瞬で融かすためにはかなりの出力が必要なわけだけど、繊細らしい鉄草にとってその出力は高すぎるのだろう。
まあどうにか乗り越えたけど。
というわけで次の工程に移って行こう。
ベースの内側に引っ掛けるような感じで鉄草を引っ掛け、その両端を鍔の方に作った箱部分に持ってくる。
箱部分にはすでに銀石鳥の胸部機関を組み込んであって、鉄草はそこに繋げるようにした。それから草の両端を超低出力で変質させてくっつけて、輪っかのようにする。
「うん、長さもちょうどいい感じ。じゃあ仕上げってことで、《魔導回路構築》」
表示されたマークを繋ぎ、魔力の通路を作る。
魔力関連の素材を一箇所にしか使っていないので、相変わらず繋ぐ部位はひとつだけだ。
矢印の向きも確認。問題なし。
「…………よし、完成」
『88888888』
『乙』
『だいぶギザギザしてんな』
『あっ、これそういうことか!』
『よくわからないけどデザインは好き』
『何作ってるのかわかったわwww』
『え、これ何?』
「詳しい説明は依頼主の前でかな。これがどんな武器なのか分かっても言わないでね」
せっかくなので、どんな武器なのかをお披露目するのは依頼主に渡すのと同時にしてみたい。
とは言え作ったのをそのまま渡すわけにもいかないので、ここで一度配信を終了してから試用を開始することにする。
握り、振ってみて、魔力を流してギミックの動作を確認。そうして一通り問題がないことを確認してから、私はバスタブに連絡したのだった。




