表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/234

帝国VS王国 3

 投石機。


 原始的な兵器ではあるがその威力は絶大だ。


 スマッシャーによる集中砲火で足が鈍った盾部隊を投石機の一撃で押しつぶす。シンプルにして攻略の難しい王道な作戦。


 流石の騎士アルフレートとはいえ、この策を突破することは難しいだろう。レイ将軍はニヤリと笑って前衛のスマッシャー部隊に指示を飛ばした。


「一撃目、構えぇい!」


 大気をビリビリと振るわすレイ将軍の怒鳴り声に従ってスマッシャー部隊がその銃口を目の前に布陣する騎士団に向ける。


 遠距離戦ならば高所を陣取っている帝国軍が有利。レイ将軍が勝ちを確信している中、敵の部隊に動きがあった。


 敵の騎士達はこちらの部隊がスマッシャーを構えるのを見ると一斉に手にした正方形の大盾を自分の斜め前方に構える。


 一切の狂いが無い統率された動きで構えられた大盾。それは対峙する帝国軍からすれば、一瞬で目の前に巨大な壁が現れたかのように見えたほどだ。


(・・・これが世界一と称されるほどの騎士団の動きか、流石に圧倒されるな。しかしいくら屈強な軍とてこの戦術は破れまい)


 ちらりと背後の投石機の状況を見る。


 巨大な兵器のため、組み立てに多少時間がかかっているがそれでもスマッシャーで足止めをすれば十分に間に合いそうだ。


「よし、今だ! 撃てぃ!」


 将軍の号令で一斉に放たれるスマッシャー。


 その発砲音は凄まじく、音だけで並の軍なら震え上がらせる事ができるだろう。


 モウモウと土煙が舞い上がる。その煙で盾を構えた騎士団の姿は覆い隠された。いくら遠距離に対して有効な大盾部隊とはいえ対するは8千のスマッシャー。全滅とはいかなくてもダメージは大きいだろう。


 しかし煙が晴れたその先に見えたのは一人も欠ける事無く先ほどと同じ場所に存在する大盾によって形成された壁の姿。分厚い鋼により作られた騎士団の大盾は見事にスマッシャーによる一斉射撃を完璧に防いで見せた。


「・・・クソッ、流石だな王国騎士団」


 ギリリと歯がみをするレイ将軍。


 しかしまだ負けてはいない。確かに全くダメージが無いのは予想外であったが、こちらの切り札は投石機による圧殺だ。ならばスマッシャーは牽制の役割が果たせればそれで十分。


 気を取り直した将軍は次弾の指示を出そうとする。


 次の瞬間、敵軍に動きがあった。


「・・・そんな馬鹿な」


 レイ将軍は敵軍の動きを見てあんぐりと口をあける。


 あり得ない。


 長い戦争の経験の中でも、こんな動きをする軍団は見たことが無かった。


 相当な重量のある大盾。


 それを構えた部隊は遠距離攻撃に対して強固な防御力を持つ反面動きが鈍くなる。それが常識だ・・・常識の筈なのだが・・・。


 なんと目の前の騎士団は、大盾による壁を維持したまま猛スピードでこちらに突っ込んできたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ