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真実



「かつての私が知るよしは無かったのですが、フムル族に伝わる秘宝、今は ”死のアミュレット”と呼ばれるモノに封印したのは魂と心臓を勇者タケルによって引き抜かれた魔神のなれの果てだったのです」


 そう言って女は今までヒタと閉じていたその瞼をゆっくりと見開いた。その瞳からは七色に輝く不思議な光が漏れ出している。


「・・・アナタはつまり・・・その時代からずっと生きているのですか?」


 恐る恐るといった様子でシャルロッテは女(話しを聞く限りでは彼女はシャーマンの娘であるフィエゥなのだろう)に問いかけた。


「”死のアミュレット”はそれ単品では意味を成しません・・・シャーマンたるこの身を力の依り代とすることで初めて魔神の肉体を封印する力を発揮するのです。今の私はこのアミュレットと中に封印されている魔神の肉体・・・この二つと完全に同化している状態です。肉体は朽ちる事が無く、精神は人ならざる領域に昇華されました」


「ハヤミとマルク・・・私と一緒に居た二人はどこにいるのですか?」


「アナタ方は魔神に対抗するためにこのアミュレットを求めてきたのでしょう? 勝手ながらアナタ方に魔神と対抗するに足る実力があるのか試させていただきました・・・安心下さい、二人は無事のようです。・・・どうやらアナタ方にはその資格があるようですね」


 静かな様子でかたるフィエゥに、シャルロッテは最大の疑問を投げかける。


「・・・何故、私にこの話をして下さったのですか?」


 彼女の話しぶりから察するに他の二人には何らかの刺客が差し向けられたのだろう。しかしシャルロッテだけは実力を試される事も無くこうして一緒にお茶を飲みながら魔神の封印に関する話をしてきた・・・それは何故なのか。


「・・・ふふ、私にも少しは人の心が残っていたということでしょうね・・・つい懐かしくなってアナタをお茶会に誘ってしまいました」


「懐かしくなった? 以前にどこかでお会いしましたか?」


 シャルロッテの言葉に首を横に振るフィエゥ。


「いいえ、アナタとは初対面です。懐かしくなったのは別の理由・・・」


 そしてフィエゥは手元のティーカップを口元に運び、紅茶で唇を湿らせた。


「何せ鬼種の方と合うのはエラく久しぶりなものでしたから」



















「・・・・・・・・・え?」




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