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第173話 世界大会・スペイン戦 開始3






■side:U-18日本女子代表 福田 理央




 何とか間に合った。

 それが私の感想。

 あの一斉攻撃の時、スグに理解した。


 ―――私では、止めきれない


 交代のために武器すら捨てて全力で走った。

 その時に何度も思ったわ。


 ―――これで良いのか

 ―――私でもいけたんじゃないか

 ―――もう少し粘って見ても良かったかも


 そんな自分のプライドから出てくる言葉を飲み込んで走る。

 例え臆病者だと言われても、私は私の直感を信じてチームの勝利のために動く。


「あそこで私が止めれていれば、最高だったんだけどなぁ」


 そう思いながらVR筐体から外に出る。

 次々と交代していくメンバー。

 そしてそれが終わるとベンチはお通夜のように静まり返っていた。


 パン!パン!


 そんな中で監督が手を叩く。


「落ち込むのも悔しいのも理解はする。だが今は試合を見なさい」


 その言葉に誰もがモニターを見る。


「アンタらが今後も挑むべき壁が……どれほど高いのか、どれほど頑丈なのか、どれほど厚みがあるのか、ちゃんとその目で見ておきなさい」


 その言葉でハッとする。

 そうだ。

 私がこれからLEGENDを続ける以上、必ず戦う相手になる。

 今は勝てなくとも、今後もずっと勝てない訳ではないのだ。






■side:U-18スペイン代表 バネッサ・ブランチ・ロバト





「一旦下がって補給を優先!下手に欲張るな!」


 そう声をかけて私も後ろに下がる。

 一斉攻撃の騒動の中で目の前のリーダーを撃破してやろうと思ったけど、思いのほか手堅かった。

 こんなに面倒だと思う相手は久しぶりだわ。


 補給中に何故か盛り上がる歓声。

 ふとログを確認すると―――



 BR 佐藤 ⇒ BR 安田

 BR 福田 ⇒ BR 三島

 SP 近藤 ⇒ SP 長野

 SP 渋谷

 AT 宝月 ⇒ AT 大野

 AT 六角 ⇒ AT 三峰

 ST 国友 ⇒ ST 一条

 ST 温井 ⇒ ST 笠井

 ST 岡部 ⇒ AT 黒澤 

 ST 谷町【L】



 8人という大幅なメンバー変更。

 しかもようやく色々と出てきたみたいね。


「アリスまではあと1歩って所かしら?」


 と思っていると


「リーダー! 前から来ます!」


「相手のSPは、そっちで抑えて! 相手リーダーは私が倒す!」


 同じく発電所で戦う仲間からの声でレーダーを見れば、相手はもう前に出ようとしていた。

 まあ今更この状況で発電所など、どっちが抑えようがあまり関係ないけども。

 とりあえず再度、仲間に指示を出しながら前に出た。






■side:U-18日本女子代表 三島 冴




「ちょっとアンタら、前出過ぎだってッ!!」


 思わず声をあげて注意をするも―――


「この程度、問題無い!」

「ほらほら、どうしたどうした!」

「リベンジしに来てやったぜッ!!」


 この通り、完全に暴走状態だ。


「どうすんの、リーダー?」


「アンタら、好きにしても良いけど足引っ張った奴は戦犯として永遠に晒しあげるからね~」


 ……それで良いのか?

 まあ現状、お互いに仕切り直しとなった所から、大幅にこちらが押し込んでいるというか腹を空かせた猛獣が餌を見つけたみたいな状態だ。


「どうした! 前はもっと前に出てきてたでしょ!」

「おいおい! まだまだここからだろ~?」


 コイツらまとめて足元をすくわれなきゃいいけど。

 とりあえず援護をする必要があるので、狙撃に集中する。

 相手ATがグレネードを投げようと腕を振りかぶる。

 その瞬間、相手ATを狙って狙撃する。

 投げようとした瞬間、肩に命中した一撃でグレネードを落としてしまい、慌てて逃げる相手。

 その直後に爆発したが、どうやら逃げ切ったようだ。


「私がアリスとかみたいに狙撃が上手けりゃなぁ」


 先ほども投げる腕を狙ったのに肩だった。

 まあ無いものねだりをしても仕方が無い。


「さあ、気を抜いた奴が居たら私が全て撃破してやるよ!」


研究所マップ

挿絵(By みてみん)





■side:U-18スペイン代表 グロリア・ルエラス・オレジャナ






 あまりにも的確な攻撃に思わず後ろに下がる。

 とてもではないが前に出れない。


「クッソ! 何なのよ、アイツら!」


 マリサがロケットランチャーで応戦しながら文句を言う。

 彼女自慢の接近戦などやれるような状況ではない。


 一見すると蛮族のような無秩序で強引な攻撃。

 こんなものスグに返せると思っていた。

 しかしどれだけ反撃しても、どれだけ隙を突いて仕掛けようとしても、まるで無意味とばかりに押し返される。

 私は大型マシンガンや両肩のガトリングを撃って弾幕を張ろうとするが、私の正面にはガトリングガール。

 まるで『勝負をしよう』とでも言いたげに私に向かって仕掛けてくる。

 盾を構えている分だけ私の方が有利なのだが、マリサの援護もしなければならない。

 相手ATが前のめりに攻めてきており、気を抜けて強引に突っ込んできて撃破を取るぞというような動き。

 それほど前に出ているにもかかわらず、しっかり後ろからSPの支援を受けて耐久値管理は徹底しているのだ。


 ―――これがあの日本なのか?


 思わずそう思った時


 カンッ!


 金属音と共に何か円盤状のものが縦に転がってきた。

 見たこともない特殊なものに思わず意識が持って行かれる。

 それはこちら側の壁の手前で倒れた。

 するとピカ!っと赤い光が付いてその存在感をアピールし始めた。


 ―――まさか?


 信じられない気持ちで距離を取ってその円盤を射撃する。

 すると思った以上の爆発音と共に吹き飛んだ。


 ここで私はようやく思い出す。

 確かこんな地雷があったなぁと。


「ん?」


 そこで更なる疑問が押し寄せる。

 何故に奥のBRは、地雷を投げたというか転がしたのだ?

 あんなわかりやすい、誰もが気づくであろうものを。

 そこは普通に狙撃ではダメなのか?

 その相手を見ると『惜しい!』という顔をしている。

 ……ますます意味がわからない。

 あれは確かに地雷だったが、どうしてあんな……いやそれよりも……え?……でも……


「??????????」


 のちに私の人生において、LEGENDの試合中にここまで混乱したのは、これが最初で最後だった。








*誤字脱字などは感想もしくは修正機能からお知らせ頂けると幸いです。


*お知らせ

最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる

コミックス第1巻が発売しましたが、皆様のおかげで第2巻目の発売が決定しました!

一応6月頃を予定とのことらしいですが、詳細は決まり次第出てくると思います!

いや~、1巻完結にならなくて良かった(笑)

この場を借りてお礼申し上げます。

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― 新着の感想 ―
安田ァ!はほんと癒し枠。
コメントでここまで「安田地雷」が好かれてるのだから、本スレでは大盛り上がりしてそう しかし、安田が代表まで成長した今でも、地雷はマイナーなんですね いや、「見たことあるような」と言ってるから認識はさ…
安田ァァァ! 信じてたぞ!w ピザの次はヘッショだ安田ァァァ!
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