第165話
*一応念のために。
別にフランスを貶める意図などはありません。
あくまで演出だとご理解下さい。
**お知らせ**
あとがきにも記載していますが、コミカライズ化決定しました!
■side:フランス代表 ヴィクトリーヌ・ル・エロワ
「スペインが……調子に乗ってッ!!」
ジワジワ押し込んで来る相手に大盾を構えつつ両肩のガトリングで牽制をする。
その間に仲間が立て直してくれれば―――
◆キル
x フランス:クレマンス・ド・ブローニュ
〇 スペイン:エルミニア・アブリル・ペレア
目の前で胸を貫かれて倒れる仲間。
恐らくレールガンによる一撃だ。
「これ以上、連中を調子づかせるなッ!!」
「了解!」
「まだ30P差だ!」
「フランスの意地を見せてやるわ!」
メンバーに声をかけると元気の良い返事が聞こえてくる。
誰もまだ屈してはいない。
まだまだこれからだ。
私達フランスが、スペインになんて負ける訳にはいかないのよ!
「私が居る限り、お前達の好きにはさせないッ!!」
そう声を張り上げた瞬間
「なら、さっさと退場して貰える?」
声と共に大型マシンガンの弾が飛んでくるが大盾で防ぐ。
三騎士の1人、グロリアだ。
「ハッ! 三騎士とか言われて調子に乗ってる連中じゃない!」
「エレガントがどうこう言ってた割にお口が悪いですわよ、お嬢様?」
「言ってなさいッ!」
片手で構えたロケットランチャーを発射する。
両肩のガトリングとセットでの一撃だ。
しかし―――
「つまらないわね」
スラスターを利用した瞬間的な加速でロケットを回避し、ガトリングも最小限だけ大盾で受け止める。
あまりにも綺麗な回避に思わず動きが止まりそうになる。
だが相手が両肩のガトリングを回転させ始めたのを見て、大盾を構えつつブーストで後ろに下がる。
お互いに両肩のガトリングを撃ちつつもこちらは下がりながら曲がり角を利用して射線を切った。
今はまだ無理をするところではない。
そう思っての判断だったのだが―――
ふと隣からブースター等の音がしてそちらを向くと、大型ブレードを構えた相手選手の姿。
「ハァイ! 調子に乗ってる三騎士の一人よ!」
そう言いながら水平に薙ぎ払われた一撃を何とか屈みつつ回避する。
しかし完全に回避できる訳もなく、両肩のガトリングは両方とも綺麗に切り飛ばされた。
彼女も三騎士の1人で、接近戦を好むマリアネラだ。
後ろにブーストで下がりながらロケットランチャーを構えるも、追撃とばかりに振られた大型ブレードに切られてしまう。
残った鉄の塊を相手に投げつつも下がりながら腰にある大型マシンガンを手にして両手で持って発射する。
相手はアームで制御されたシールドを前面に構えて銃弾を受け止めつつブーストを吹かして突っ込んできた。
「舐めるなよ、スペイン人がッ!!」
バーニアと足を踏ん張ることで後ろへの慣性に抵抗し、ブースターとスラスターを使って一気に前へと加速する。
そしてマシンガンを片手で撃ちつつ突撃する。
相手は一瞬驚いたようだが、笑顔で迎え撃つために加速してきた。
本当に生意気だ。
上段に構えつつアームのシールドで防御しつつ突撃してきたマリアネラと接近の距離に入った瞬間。
私はあえてマシンガンを頭部にめがけて撃つ。
そんなことをしても最小限の動きの回避とシールドで防がれて終わりだ。
だが、それが重要でもある。
僅かに回避とシールドによって視野が狭くなった瞬間。
マシンガンを捨ててもう片方でギリギリまで隠していた大型警棒を展開。
下段から滑り込むように相手の脇腹を狙った一撃を放つ。
ガンッ!!!
しかし相手も流石は代表選手。
シールドの片側をギリギリ側面に滑り込ませることで一撃を防いでいた。
でもその一撃でシールドが耐えきれずアームから外れる。
私はそのまま勢いを殺さずにタックルを入れた。
下側からの掬い上げるようなタックルにマリアネラが思わずバランスを崩して倒れる。
「お前だけでもッ!!!」
どうせ武器を失った私は、さっきのグロリアにやられるだろう。
ならばせめてコイツだけでも倒さなければ。
大型警棒を振り上げ、相手に向かって振り下ろ―――
「悪いわね」
その言葉と共に何かが頭部に当たった感触がして。
ふと気づけば目の前には復活カウント。
◆キル
x フランス:ヴィクトリーヌ・ル・エロワ【L】
〇 スペイン:バネッサ・ブランチ・ロバト【L】
■side:スペイン代表 バネッサ・ブランチ・ロバト
「ちょっと~、人の獲物取らないでくれるぅ?」
マリアネラが口を尖らせながら立ち上がる。
手にはいつの間にか大型警棒が握られていた。
「私にはやられる直前に見えたけど?」
「警棒で受け止めて返り討ちに出来ましたぁ~」
「いや、そもそも先に割り込んだのお前だからな?」
グロリアがやってきてマリアネラにそう言うと彼女は
「割り込まれる方が悪いんですぅ~」
と言い出した。
「なら私が割り込んでも問題ないじゃない」
「それとこれとは別ですよ~」
何て我儘な。
「―――あの、まだ試合中なんで遊ばないで貰えます?」
そんな私達を見ていたのか、ブレイカーのエルミニアが通信を入れてきた。
「まあその気持ちはわかるんだけど―――」
そう言いながらログを見る。
すると相手リーダーが倒れた直後から、三騎士の1人であるマリサが突っ込んだようでキルログが大量に出ていた。
こうなると試合など一方的だ。
一瞬で点数を削り切られたフランスは、スペインに敗退する。
これにより互いに全勝で迎えた注目の一戦は、スペインの勝利で終わった。
決勝トーナメントへの進出を決めたスペイン代表は、記者たちの取材に対してこう発言した。
「次に討ち取るのは、霧島アリス―――貴方よ」




