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第151話 VS京都私立青峰女子学園(3年目):後編+掲示板

今日は2話連続投稿です。

こちらは151話目になります。






■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園3年 黒澤 桂子






 ―――ああ、嫌になる。


 もう何度目かになる一条 恋とのタイマン勝負に思わず舌打ちをする。

 確かにアタッカーではストライカー相手にパワー面で不利だと解っている。

 しかも相手はずっとストライカーをやってきた世界的選手であることも。

 そして何より、自分がそこまでたどり着けなかった凡人であることも。


 それでも諦めきれなかった。

 諦める理由なんていくらでもあった。

 でも。


 ―――自分から歩き出したのなら、最後まで自分の意志で決めるべき。他人のせいにするな。


 特訓を受けている最中にアリスに言われた言葉だ。

 LEGENDをやろうと思ったのは私。

 その道に進んで上を目指したのも私。

 自分に才能があると調子に乗ったのも私なら、自分に才能が無いと気づいて凡人だと言い出したのも私。

 どこまでも続くLEGENDという道を進むのも、ここで違う道を選ぶのも……私じゃなきゃダメなんだ。


 互いに損耗を気にして一旦仕切り直す。


 装備を再度整え直しながら考える。

 自分が何故、LEGENDをやろうと思ったのかを。

 そして何故、一条 恋を倒そうと思ったのかを。






■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園3年 長野 誠子






「どうしてもアイツとタイマンがしたい」


 そう言われた時は『やっぱりな』と思った。

 私達をいつも小馬鹿にしてきた一条を倒したいのは私も同じ。

 でも悔しいかな、アイツは強い。

 だからこそアリスの特訓を受けたりもした。

 そしてようやくそれらが報われるかどうかの勝負が始まる。


 既に何度も仕切り直しをしている時点で一条は、きっと苦虫を潰したような顔をしているだろう。

 ストライカーとアタッカーではストライカー有利というのが常識だ。

 それをストライカー信者のアイツが一番解っているにも関わらず、未だ小馬鹿にしてきた私達を倒せていない。

 あのプライドの塊みたいな子には一番それが屈辱的だろう。


 出来るなら私も戦いたかったが残念ながら才能の無い凡人では難しい。

 なので私の無念は桂子に預けることにした。


「……次で決める」


「任せたわよッ!」


 気合の入った顔をしている桂子に声をかけて送り出す。

 私に出来るのは相手側にこのタイマンを妨害させないようにすることだ。


「……凡人なめんなよ」


 そう呟くと私は援護をするために前に出た。






■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園3年 黒澤 桂子






 ここで決めるつもりで前に出る。

 相手もそのつもりなのか、前に出てくる。

 シンプルながら火力の高いガトリングは、本当に脅威だ。

 しかしこちらにも様々な武装がある。

 決して劣ってなどいない。


 銃口をこちらに向けられ回避しようとするも、それを読んでいたように撃ちながら銃口をこちらに向けてくる。

 それを何とか回避しつつこちらも撃ち返すが相手もスラスターを駆使して回避しながら攻撃の手を緩めない。

 何度となくこの展開となり、互いに消耗して引き分けてきた。

 時間もそろそろ危ない。

 だからこそ決めなければならない。


 アタッカーの有利は接近戦でも強いこと。

 ストライカーは近接武器が無ければそこまで強くはない。

 まして相手はガトリングだらけ。

 迫りきってしまえば勝てる。

 だが相手もそれは解っているため簡単に懐には入らせてくれない。

 しかし何度目かの攻撃で遂に隙が出来た。

 このチャンスを逃さないと踏み込んだ瞬間に、自分の過ちに気が付く。

 恋の口元が吊り上がると、ワザと誘うような振りからの一斉射撃が飛んできた。


 間違いなく回避不可能。

 盾を駆使して被ダメを抑えて―――


 そう考えた瞬間だった。

 周囲から音が消える。

 色彩も消えて白黒の世界が広がる。

 更に世界の時間の流れもゆっくりとなり、銃弾が肉眼で見えるようになる。


 ―――はい?


 意味が解らない。

 だが次の瞬間。

 隣に点々とした光の道が出来上がる。

 瞬時にその通りに動くと、奇跡的に全ての銃弾が回避出来た。


 ―――ああ、これはアレか。


 『奇跡』

 一般的にあり得ない現象をそう呼ぶ。

 その後もゆっくり動く相手に道が示される。

 試しにと道を間違ってみると構えていた盾に被弾して耐久値が大きく下がる。


 ―――なるほど、そういうことか。


 つまりこの光の道は、奇跡は私を勝たせてくれるのだろう。

 神様が、全力で戦う私のために用意してくれた援護。

 まさか自分の身に起こるなど思ってもみなかった。


 だから私は決意をする。

 そして力強く、足を踏み出した。






 ―――光とは逆側に。






 当然、ガトリングの弾が飛んでくる。

 それを盾で受けるも耐久値が無くなり盾は吹き飛ばされる。

 そして防ぎ切れなかった銃弾が腕に当たって耐久値が削られた。

 しかしそれでも私は光の道とは別の場所へと踏み込む。


 すると今まで見えていた光は消え去り、世界に色が戻ってスローだって時間も全て元に戻った。

 その瞬間に向けられたガトリングを何とか回避しながらライフルを撃って牽制する。

 そして心の中で私は叫んだ。






 ―――邪魔をするなッ!!!


 ―――これは私のッ!私だけのッ!!私が始めた戦いだッ!!!





 誰にも邪魔をする権利などない。

 私は私の実力だけで一条 恋を倒すのだ。

 奇跡なんて曖昧なもので倒したって何の自慢にもならない。

 神様にだって邪魔させない。


 これは私が売られた喧嘩だ。

 そして私が買った喧嘩だ。


 例え奇跡に頼らなかったせいで負けたとしても後悔などない。

 むしろ奇跡に頼った勝利をするぐらいなら、正面からアイツのガトリングを受けて倒れた方がマシだッ!!


 踏み込む足に力が入る。

 武器を持つ手に力が入る。

 そしてアイツを正面からしっかりと見据える。


「―――絶対に勝つッ!!!」


 ブースターを吹かして一気に飛び込んだ。






【LEGEND】今年の高校生大会を語ろうぜ【女子高生大会】パート132




 19:名も無き兵士

 あつぃぃぃぃぃぃ!!!!!


 20:名も無き兵士

 まじかっ!!!


 21:名も無き兵士

 アッチィィィィィィ!!!


 22:名も無き兵士

 激熱過ぎる!!!


 23:名も無き兵士

 試合しゅ~りょ~!!!!!


 24:名も無き兵士

 試合終了!!!!


 25:名も無き兵士

 あっちぃぃぃぃぃぃ!


 26:名も無き兵士

 なんだ、あの熱さwww


 27:名も無き兵士

 くっそあつぃぃぃぃぃ


 28:名も無き兵士

 やばすぎるっしょ


 29:名も無き兵士

 最後どうなんってんだよwwww


 30:名も無き兵士

 あつすぎる


 31:名も無き兵士

 黒澤、最後何したんだ?


 32:名も無き兵士

 いやいや、一条も最後物凄かったよ


 33:名も無き兵士

 どうしてあんなに至近距離でお互い回避出来るんだよwww


 34:名も無き兵士

 黒澤は、まあアタッカーだし接近上手くてもアレだけど、一条も何でガトリングだけであんなに接近戦上手いんだよ(笑)


 35:名も無き兵士

 昔はネタキャラ扱いだったのに、もはややべーやつの仲間入りしてるからな。


 36:名も無き兵士

 こっそりグレでキル取った大谷が完全に空気でワロタ。


 37:名も無き兵士

 中央であんなに熱いタイマンされたらね……仕方がないね


 38:名も無き兵士

 黒澤もよく粘ったよ。

 ストライカーとアタッカーの相性考えれば信じられん。


 39:名も無き兵士

 それを言ったら一条なんてリーダーなのに常に最前線でアレだぞ?


 40:名も無き兵士

 いや今回2人とも凄かった。


 41:名も無き兵士

 神風と言われてた突撃兵器が、こんなに強くなるとはな


 42:名も無き兵士

 ガトリングガールも、もはやネタとして笑えんからな。


 43:名も無き兵士

 ホント熱すぎるだろ最後。


 44:名も無き兵士

 今年のMVPシーンじゃね?


 45:名も無き兵士

 >>44

 まだ早いけど、そう言いたくなる気持ちはわかる


 46:名も無き兵士

 あんな名勝負見せられるとなぁ。


 47:名も無き兵士

 最後の黒澤の全武器を使い切るような猛攻をガトリングだけでよくあそこまで耐えたよな。


 48:名も無き兵士

 むしろ両肩のガトリングで反撃までしてたからな。


 49:名も無き兵士

 実質、決勝戦でよくね?って思えてきた。


 50:名も無き兵士

 いやいや、まだこれからだろ。







 試合終了直後から様々な場所でラスト1分に起きた黒澤と一条のタイマン勝負が語られた。

 内容はどちらにも称賛の声があり、批判的な声はほとんど無かった。

 そしてその日のニュースでは、どこも渾身のガッツポーズをする黒澤の姿が映し出されていた。






*誤字脱字などは感想もしくは修正機能からお知らせ頂けると幸いです。

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[一言] 更新ありがとうございます! めちゃくちゃ熱い!
[一言] 更新うれしい!
[一言] ありがとうございます!! 待ってて良かった!!
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