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第149話 VS京都私立青峰女子学園(3年目):前編






■side:京都私立青峰女子学園3年 一条 恋






 思えばU-15の頃からだ。

 彼女は何を考えているのか解らなかった。

 それでも負けない自信があった。


 毎夜中継される試合で戦う女性達に憧れて、この世界に飛び込んだ。

 才能があったのか、正面からの戦いでは敵無し。

 気づけば日本代表。

 誰よりも活躍して優勝してやると意気込んだ。

 ところがだ。

 彼女―――霧島アリスは私の想像をはるかに超えてきた。


 圧倒的な実力で相手を倒していくその力に誰もが憧れ……恐怖した。


 何度も彼女に挑んだ。

 スコアでも対戦でも。

 しかしいつも勝てない。


 かつて私こそが最強だと思っていたプライドを見事に砕かれた。

 でも……それもここまで。

 届かなかった手は、ようやく届く場所まで来た。

 あとは試合で。

 そう……勝負で示そう。


 ―――誰が最強なのかを。


 試合開始の合図と共に走り出す。

 中央の発電所が見えるもそのまま奥を目指して突っ込む。

 すると相手側のストライカーも飛び出してきた。

 

「チッ!恵理だって?」


 相手は初心者から今や日本代表にまで成長した宮本恵理。

 この娘相手なら引く理由などない。

 しかも開幕初手のストライカー同士の撃ち合いは序盤最高の盛り上がりを見せる。

 更にはこの結果次第で互いの士気にまで影響する。


「度胸は認める。……たださぁ」


 強化されたサブアームにより完全固定された両肩のガトリングと手に持つ大型ガトリングを一斉射撃しながら突っ込む。


「―――ひよっこが調子乗ってんじゃないよッ!!」


 互いにブースターを使用した左右移動を駆使しつつの撃ち合い。

 恵理は大盾を構えつつ大型マシンガンで撃ち返してくるが弾幕量が違い過ぎる。

 しかも撃ち合いの最中に大型マシンガンにガトリングの弾が当たり過ぎて破壊判定を受けたようで銃を投げ捨てた。

 そしてサブアームにある大型マシンガンをと考えているようだが、それは甘すぎる。

 もし持とうとするならガトリングを集中させてそちらも破壊してやろう。

 こちらの考えに気づいているのか、予備武器を装備せず後退する恵理。

 だがそれも甘い。

 逃がす訳がない。

 攻撃が無いなら思いっきり詰めるまでだと勢い良く突っ込む。


 その瞬間。


 恵理の影から高速で飛び出しながらショットガンの銃口を向けてきたのは灯里だ。

 ご丁寧にマスターキーを構えて突っ込んでくる。

 間違いなく回避不能な一撃。


 バァン!と銃声が鳴り、金属の破壊音が派手に周囲に響いた。


 吹き飛んだのは左肩のガトリング。

 そう……相手が引き金を引く瞬間に相手に向かって突っ込みながらタイミングを見て真横にブースターを使ってスライドしたのだ。

 必殺の一撃を回避されて驚く灯里に、手に持つガトリングを向ける。

 ゼロ距離だ。

 咄嗟に後ろにブースターを踏むも、先ほど突っ込んでくるのに前に吹かした所。

 そこから急に後ろに下がることなど出来ないし、逃げきれないと解って左手のバックラーを構えるも関係ない。 


 暴力的なまでの弾幕がゼロ距離で叩き込まれる。

 一瞬にして盾は消し飛び、灯里を吹き飛ばす。



 ◆キル

 x 滋賀琵琶湖:三峰 灯里

 〇  京都青峰:一条 恋 【L】



 オーバーヒートしたガトリングを捨てて呆然としていた恵理に向かって全力でブースターを吹かす。

 武器を投げ捨てて突っ込んできた私を見て驚きながら予備の大型マシンガンを持とうとする彼女を見て思わず「遅いッ!」と叫ぶ。

 構えようとしたマシンガンを持つ手を左手で掴み、大盾の上を右手で掴んで下へと無理やり下げる。

 互いにブースターを使用している以上は差が広がることはなく、下に下げたことで地面に擦れている大盾は派手な火花を散らす。

 そして残っている右肩のガトリングを大盾の上から相手を覗き込むような形で向けた。

 盾を捨てて逃げようにも片手を掴まれた状態。

 振りほどこうにも―――そんな時間があれば十分だ。


「ぶち抜けぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」


 またもゼロ距離からのガトリング。

 如何に耐久値の高いストライカーといえど―――



 ◆キル

 x 滋賀琵琶湖:宮本 恵理

 〇  京都青峰:一条 恋 【L】



 恵理を倒して「さてどうする」と思った所で気配を感じて急旋回する。

 するとマシンガンの弾が飛んできた。

 確か2年の子だった気がするが、どうしたものか。

 ブースターも休ませる必要があるものの、多少のフェイントを混ぜた回避行動でも十分対処出来る実力だ。

 このまま「潰して」帰ろうかと思った瞬間。


 右肩のガトリングが吹き飛び、その衝撃で上半身が思いっきり仰け反る。

 何とかブースターを使いながら倒れないようにしつつ相手を見る。

 肩に滑腔砲を背負った相手リーダーだ。

 しかも相手は冷静に滑腔砲の次弾を装填している。

 装備を失った状態では流石に分が悪いどころではない。

 ギリギリオーバーヒートするかどうかの距離だったが、相手を睨みつつ後退する。

 当然相手も逃がしてくれる気は無さそうだったが、後ろから仲間が援護に出てくれたおかげで下がりきることが出来た。

 スグに失った装備の補充を行いながら全体に通信を入れる。


「先制点は貰った!相手が誰であろうと関係ない!勝つのは私達青峰だッ!!」


 私の言葉に全員から気合の入った返事が返ってくる。

 やれることは全てやってきた。

 あとはそれを結果として出すだけ。


「……さあ、早く出てきなさい。じゃないとこのまま終わらせるわよ―――アリス」



挿絵(By みてみん)







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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが来なくて退屈です! 更新再開お願いします
[一言] 続きが読みたい‼(謙虚)
[一言] 新年になって他に面白い作品もないので1話からまた読み直しましたがやっぱりこの作品は臨場感が有って大好きです。更新お願いしますよ
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