第123話
■side:U-18女子日本代表指導コーチ兼監督補佐 谷町 香織
「あ~も~、圧倒的に時間足りないわ」
正直な所、それしか言うことがない。
かなり色々前倒している関係で結局そこまで劇的な変化とはならなかった。
それなりにマシになったのでは?程度だ。
それでもこれで送り出さなければならない。
これだと例の集まりに参加しなかった方が良かったかもしれない。
そうならまだ日本勢のダメっぷりにも海外勢の超強化っぷりにも気づかずにいられただけ精神的にマシだっただろう。
というかそう思わないとやってられない訳で。
とりあえずストライカー組の装備変更は終わった。
だが予想通りな連中もいる。
良い意味でも悪い意味でもストライカーは癖が強い。
だからこそ、もういっそここで自らの限界を知るのも良いのでは?と思っていたりする。
もちろんコーチとしてはダメなのだけど。
■新城 梓
両手:大型ガトリング
左肩:ショルダーシールド
サブアーム:大型ガトリング(予備)
新型ブースター
*ガトリング専の超高機動射撃型ストライカー。
間違いなく機動力があって攻勢面や広い場所では高機動によって活躍出来るでしょう。
ただアリスも言ってたけど『もう完全にプライドへし折られなきゃ無理だろう』という状態。
元々、前の高機動型でも狭い場所や撃ち合いでは速度を持て余していた。
そこで更に速くなった所で、特攻タイプ以外では使い道が限定的過ぎる。
それを説明しても本人がこれなので、もうこのままとなった。
■一条 恋
両手:大型ガトリング
両肩:ツインガトリング
サブアーム:ツインガトリング固定に使用
新型ブースター
*スペイン戦で見た両肩ガトリングをサブアームで支える形を採用した。
新型ブースターも重量面を考えるとあった方が良い感じにはなっている。
全然使いこなせてないけど。
もう少し防御面も考えて欲しい所。
でも本人がやる気なのでこのまま。
■笠井 千恵美
両手:大型ガトリング
両肩:誘導式ツインミサイル
右腕:腕部2連ロケット
サブアーム:ロケットランチャー
新型ブースター
*重量があるのでまだ新型ブースターの意味はある。
攻撃面を重視している射撃型。
ただやはり防御面が弱いのが気になる。
■田川 秋
左手:大型シールド
盾裏:大型警棒
右手:大型警棒
腰 :リボルバー
サブアーム:大型ブレード
新型ブースター
*超高機動白兵戦ストライカー。
状況を冷静に判断して的確なタイミングで突撃しないと無駄死になる運用が難しいスタイル。
しかし一度ハマると一気に戦線を突き崩す突破力がある。
あとは本人の努力次第。
■藤沢 花蓮
右手:ニードルミサイル
右腕:腕部装備型ブリューナク誘導ビーコン発射装置
左手:ペネトレーター
背面・両肩一体型:ブリューナク
新型ブースター
*ブリューナクで背面装備が埋まるため新型ブースターのみ。
安定した中~長距離支援と一撃必殺武器を持つ。
完全に運用次第なので本人の状況判断力が必須。
新型ブースターだけでもそれなりの機動力なので十分射線を考えながら戦える。
■鈴木 桃香
両手:大型ガトリング
背面:大型迫撃砲
新型ブースター
*超シンプルな後衛支援装備。
新型ブースターのおかげで砲撃位置を気軽に動けるようになったのは大きい。
しかし全体的に高機動化が進んだ影響で以前ほど撃破が取れなくなってきている。
そこを本人がどうするのかは未定。
■宮本 恵理
左手:大型シールド
盾裏:大型警棒
右手:大型マシンガン
腰 :大型警棒
サブアーム:大型ブレード
新型ブースター
*新型の利点である突進力を利用するために近接武器を多く持った状態。
基本的には撃ち合いをして隙を見て切り込むような感じ。
大盾を持つ分だけ防御面が安定している。
■山梨 綺羅
左手:ロケットランチャー
右手:ロケットランチャー
サブアーム:ロケットランチャーx2
新型ブースター
*ロケットランチャーx4という高火力一撃離脱に特化した珍しいスタイルになった。
新型の機動力を一番安定して発揮出来るため、ある意味一番現状にマッチしているかもしれない。
あとは本人の技量次第。
■温井 幸
両手背面一体型:大型ビーム砲
左肩:ショルダーシールド
新型ブースター
*ストライカーでやるブレイカー的な後方支援。
命中精度がイマイチだが当たると防御を無視して直撃するため、防御力がある相手ほど真価を発揮する。
まだまだ本人の技量不足感があって運用に難あり。
必中とは言わないが命中率8割以上は欲しい所。
■池上 聖華
左手:大型シールド
盾裏:大型警棒
右手:大型マシンガン
右腕:腕部2連ロケット
サブアーム:ロケットランチャーx2
背面:大型迫撃砲
新型ブースター
*装備をかなり削って防御寄りの支援機とした。
後方から火力を出しつつ迫撃砲で相手が最前線に支援などの設置物を置けないように牽制する。
そのため威力よりも範囲を重視した迫撃砲になっている。
本人はかなり抵抗したが、リーダー役の1人とするにはやはり防御面も考えなければならない。
なので他を放置してでも彼女の説得に時間をかけたとも言える。
あとは装備に慣れるためにひたすら練習させるだけ。
とまあこんな感じになった。
正直、不満も多い。
だけどもう本人の意思もあるのでこれで戦うことにした。
アイツらはスペイン戦で何を学んだのだろうか。
アリスが言うには『まだ心から認められないのでしょ』とのことらしい。
例の集まりでそりゃもう散々プライド粉々どころか跡形もなく消滅させられた身としては『コイツら未だに何言ってんの?』ではある。
今回、ある意味一番重要なストライカーがこの調子じゃ本格的に予選突破も怪しいなぁ。
まあ予選はあくまで、くじ運次第だけども。
■side:U-18女子日本代表指導コーチ兼選手管理 杉山 栄子
「……ホント何なのよ」
最近のサポーターの残念さ加減は、本当に色々文句を言いたくなる。
そりゃサポーターなんて不人気だよ。
誰も最初からやりたがらないよ。
大体はアタッカーやストライカーがダメだった奴が仕方なく流れてくるような兵科だよ。
でも非常に重要な支援職だと理解している奴のなんて少ないことか。
U-15時代は堅実なサポートをしていた南ですら、今や謎の前に出るサポーターと化している。
火力武器が追加されたからと調子に乗ってアタッカーやストライカーの真似事をするなど意味が解らない。
それがしたいならアタッカーかストライカーになれよと。
何も弾薬や耐久値の回復だけが支援の仕事じゃない。
アタッカーやストライカーの『後ろ』から支援攻撃を行う。
そして状況次第で大盾などでカバーをしたり撤退援護をする。
突撃するタイミングでは囮役となって相手の気を惹くなど役割は色々あるのだ。
設置物1つにしても場所が重要である。
ちゃんと補給しながら状況確認が出来るような場所だったり、壊されにくい場所だったり。
何より設置した場所が悪ければ相手の速攻などによって一気に崩される危険性すらあるのだ。
にも関わらず量の少ないパックばかりを持ち込み、頻繁に補給を行うなど話にならない。
自分が下がったタイミングで押し込まれたり、パックを切らした時に相手の攻勢が強まったらどうするつもりだ。
そういう訳で監督から許可を貰って何名かは、半ば強制的にサポーター達の装備を変更した。
■南 京子
左手:大型マシンガン
右手:大型シールド
盾裏:接近用ナイフ
左肩:シングルミサイル
背面:設置型支援ポッド
腰 :弾薬パック
*支援ポッドを設置して、更に撃ち合いの最中にその場で弾薬補給するためのパックを持った形。
背面を潰す関係で速度は無くなるが、元々サポーターにそこまでの速度は必要ない。
■宮島 文
左手:大型シールド
盾裏:接近用ナイフ
右手:大型マシンガン
左肩:シングルミサイル
右肩:シングルミサイル
腰 :弾薬パック
腰 :回復パック
*ひたすら撃ち合いをして前には出ない戦い方を徹底させ、腕部ガトリングも外させた。
代わりに誘導ミサイルを大量に持っているので広い場所では牽制力が高い。
■長野 誠子
左手:大型シールド
盾裏:接近用ナイフ
右手:大型マシンガン
腰 :弾薬パック
腰 :回復パック
サブアーム:小型マシンガンx2
*どうしても射撃能力を落としたくないと言い出したので本人の意向に任せた装備。
サポーターで火力面を強化しても意味が無いんだけどなぁ。
■石井 美羽
左手:大型シールド
盾裏:接近用ナイフ
右手:大型マシンガン
背面:設置型支援ポッド
背面:設置型レーダー
*完全に支援に特化して貰った装備。
軽視しがちだが設置型レーダーは広範囲の相手の配置や設置物などの情報がマップに表示される。
なので相手の動きを事前に察知するには非常に重要な設置物だ。
なのに最近本当に軽視されがちである。
■近藤 冬華
左手:小型マシンガン
右手:小型マシンガン
左腕:小型シールド
右腕:小型シールド
左肩:シングルミサイル
右肩:シングルミサイル
背面:設置型支援ポッド
背面:設置型レーダー
*徹底した後方支援だけを追求したスタイル。
非常に重いので機動力は厳しいが、固定砲台化出来るだけの火力を持つ。
それでいて前に出ることもないし、自己防衛もそれなりに出来る。
前衛が高機動型ストライカーに食われないようにするための存在。
大体こんな感じである。
もう説得に苦労した、苦労した。
でもやっとサポーターらしい装備にはなってきた。
あとは立ち回りもサポーター的になってくれれば―――
「こらぁー!!だから前衛より前に出るなって言ってるでしょ!?」
……まだまだ先は長そうだ。
という訳でストライカーとサポーターの装備紹介回みたいな感じです。
この時点で誰がどうなるのか半分ネタバレしてる感ありますが……気のせいですよね!
前回は鳥さんブームで凄い感想来てたのでビックリしました。
安田と鳥さんは何だかんだで愛されてるなと。
もうスグ世界大会の予選が開始となります。
日本の予選はどうなるのでしょうか?
くじ運に恵まれて生き残るのか?
それとも運悪く死のブロックに突っ込まれてしまうのか?
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