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第110話 選考会紅白戦2戦目:後編(2年目)

■高橋 翠:京都青峰リーダー。流行のサポーターセットを装備しているが使いこなせていない。動きは決して悪くないが無駄にカバーしたがるなど余計な動作が目立つ。


■石井 美羽:今回はアタッカー。バランスが良い安定した選手である反面、目立った長所も無いのが欠点でもある。


■三島 冴:新潟田所のブレイカー。常に南保と安東に振り回されている。連射型ブレイカーというガーディアン登場前に流行だったスタイル。最近の重装甲化に対応しきれていない。


■根岸 空:鹿児島浦和館のブレイカー。高威力ライフルを使用する典型的な一撃必殺タイプだが狙い過ぎて発砲回数が少な目なのが欠点。あと遊撃出来ないのに接近系装備を大量に持つ。


■佐藤 千秋:アイドルユニット【Arcadia】のメンバー。仲間の期待を背負って参加した。特注品のフルビビットアイドル装甲。選手としては凡人よりも多少上手いかなレベル。






■side:ブルーチーム リーダー 高橋 翠






*画像【軍事基地:選考会2戦目前半】

挿絵(By みてみん)



 中央を逆に味方が押し込んで優勢状態になった。

 私はリーダー経験があるというだけでリーダーをさせられている。

 というか選考会にリーダーなど必要なのかしら?


 最初の方向性は決めたけど、あとは報告など無く自由に戦っている。

 それは相手も同じなのか……。

 もはや試合はチーム戦ではなく集団で行う個人戦みたいなものね。


 選考会ってこんなに適当なの?と思いながらも南側で戦闘を行う。

 ……といってもほとんどそれらしい戦闘はしていない。

 前に居る石井選手が動かないからだ。


 『どうして動かないの?』と聞けば『私達だけでアレを抜くのは不可能。下手に手を出して撃破された方が困る』と言ってきた。

 確かに正面には世界戦でも抜群のコンビネーションを発揮した2人が居る。

 それでもこれは選考会。

 戦わなければアピールなど出来ない。


 向こうも適度にグレネードを投げて警告してくるだけで、本格的な銃撃戦に発展することはない。

 だから後方の根岸選手が狙撃しているが、思ったほど戦果があがらない。

 リーダーが率先して前に出るべきではないのは理解しているが、ただ相手と睨み合っているだけというのもダメだと思う。


 だからこそ石井選手よりも前に出る。

 後ろから『私は警告したからね』と声が聞こえてくるが、気にせず盾を構えて前に進む。

 すると一定距離まで迫った瞬間、南選手が盾を構えつつ攻撃をしてきた。

 それに対して応戦する。

 少し撃ち合いをしたところで大谷選手がグレネードを投げる構えを見せてきた。

 盾を構えつつなるべく急いで後方に下がる。

 

 だが後方に下がっていた私の動きを予想していたのか、グレネードは予想以上の伸びで私に直撃するコースで飛んできた。

 思わず盾で防御する。

 爆発音と衝撃が腕から全身に伝わる。

 盾の耐久値が無くなり、消滅した。


 私はスグに追撃を警戒して、なるべく急いで後方に下がろうと―――


「そっちじゃないッ!!」


 横から石井選手に思いっきり引っ張られ、倒れ込むように障害物の壁裏に引き込まれた。

 次の瞬間、後方で爆発音がして爆風判定によるダメージを受けた。


 爆発が落ち着いてから確認すると、丁度私が下がっていた場所で爆発が起こっていた。

 つまりあのまま下がっていたら、やられていたということだ。


「だから言ったでしょ。下手に仕掛けたらやられるって。アナタは大谷のグレネードを甘く見過ぎてるわ」


 石井選手に改めてそう言われ、ようやく私は周囲が圧倒的格上だらけであると気づいた。

 『私達がここであの2人と睨み合ってるだけで十分な仕事になるのよ』と言いながら、彼女は定期的な牽制攻撃を始めた。


「……いつの間に、こんなバケモノだらけになったのかしら」


 つい口から出た言葉。

 少し前までは、こんな状態ではなかったはずなのに。

 それともこれが自分の限界なのかしら。


 すっかり悪循環の思考にハマってしまった私は、前に出る気持ちも消えてしまう。

 そして試合終了まで石井選手と共に適当な牽制攻撃を続けるのだった。






■side:ブルーチーム 鳥安 明美






「まぁ~、こんなもんだよねぇ~」


 そう言いながら正面で行われている子供の喧嘩を放置し、奥のブレイカー2人を見る。


「まずは三島先輩から~」


 ライフルを形だけ構えた後、少ししてスグにその場から横に動く。

 すると発砲音と共に施設の壁に弾が当たる音がした。


「三島冴。連射型持ってる癖に撃つタイミングが遅い選手。何よりタイミングが一定で読みやすい。話にならない」


 レクイエムを構えると素早く2連射。

 2発とも三島先輩の胴体に命中し、先輩は光の粒子になって消える。

 ブレイカーの軽量装甲では、こういう事故があるから怖いんだよねぇ。



 ◆キル

 x レッドチーム:三島 冴

 〇 ブルーチーム:鳥安 明美



「せめてブレイカーの中でも高防御の装甲だったら耐えれたのにぃ~」

 

 そう言いながらリロードを行う。

 レクイエムは、このリロードが少し面倒。

 まあそれ以外は問題ないから良いんだけどさ。


 目の前で挑発行為とも取れるリロードをしている私を狙い始めたもう1人。

 相手が狙撃体勢に入ってから3秒後、スグにその場から逃げる。

 発砲音が聞こえてきて、またも弾が施設の壁に当たる音がした。

 向こうのアイドルの子は、驚いた感じを出しながらも壁裏に隠れる。

 リロードが終わった私は正面に立って銃を構えた。


「佐藤千秋。【Arcadia】とかいうアイドルグループの子。蛍光色のゲテモノライフルなんて持ってきて、何がしたいのやら……」


 相手は壁から顔を一度軽く覗かせてから数秒後、ライフルを構えながら飛び出してくる。

 だが―――


「初心者丸出しでつまんない」


 飛び出してくる場所が解っていたので、出てきた瞬間に引き金を引いて2連射する。

 相手は飛び出した瞬間に胴体と脇腹に弾が命中して撃破判定となり、光の粒子となって消えていく。



 ◆キル

 x レッドチーム:佐藤 千秋

 〇 ブルーチーム:鳥安 明美



「アイドル装甲とか、ホント舐めてんのって感じぃ~」


 リロードを行いながら、目の前で繰り広げられている子供の喧嘩を見る。


「ホント、先輩達は愉しそうだにゃぁ~」






■side:レッドチーム 黒澤 桂子






「さっさとくたばれッ!」


 そう言いながらアサルトライフルを連射する。


「そっちこそいい加減しつこいわよッ!」


 正面に居る晶が、そう言いながら撃ち返してきた。

 今、2人で一騎討ちをしている。

 選考会で何をやってるんだと思うかもしれないが、これには理由がある。


 そもそもあれは開始直後の話だ。


「あれ?どうしてこんなところに居るのかな?ここは新人講習会場じゃないわよ?」


 出会い頭にそんな挑発をしてきたのは晶だった。


「アンタこそ迷子かしら?ここはアイドルにやられた選手が来る場所じゃないわよ?」


「そっちこそアイドル引き連れてどうしたの?……ああ、アイドルでも目指すのかしら?案外お似合いよ~?」


「ハッ!アイドルにやられた選手としてニュースにならなきゃいいわね!」


「あら?アイドルになるのは否定しないのぉ?何なら応援に行ってあげるわよ(笑)」


「その前に自分の身でも心配してなさい。今日がアンタの命日よ!」


「まあ怖い。アイドルになるんだからスマイル、スマイル~」


 挑発に乗ってはダメだと解ってはいる。

 ……そう、これは調子に乗っている奴に対する指導だ!


「冴!あとそこのアイドル!コイツに手を出すなよ!」


「よし!良いじゃない!―――明美ッ!桂子との勝負、邪魔するなよッ!」


 私が通信でそう叫ぶと、聞こえていた晶も通信でそう叫んだ。

 すると相手側から直接『そんなめんどくさいことしませんよ~!』と明美の声が聞こえてきた。


 ―――これで邪魔者は居ない。


「今更後悔しても遅いわよッ!」


「それはこっちの台詞だわッ!」


 互いに銃口を向け合い、そして―――


「白黒決着つけてやるッ!!」

「白黒決着つけてやるッ!!」






■side:レッドチーム 笠井 千恵美






「くっそ、前に出れない!」


 もう一度中央まで押し戻したい。

 だが1人ではどうしようもない。


 恵理1人なら何とかなるだろうが、先ほどから大神の田川がウロウロして機会を窺っている。

 更に―――


「おっと、危ない!」


 桃香の砲撃までこちらに飛んでくるのだ。

 実質3人相手など、どうしろというのか。


 後ろからリーダー様がロケットなどを撃って下さるけど、どれも簡単に回避されていて援護になっていない。

 せめてもう少し効果的な攻撃をして欲しいものだ。


 そして中央の南側は北条姉妹と岡部の奴でゴチャゴチャしていて前に出る気配など微塵もない。

 確かに宮島の連射ミサイルやアイドルの脳死ミサイルは面倒かもしれないが、ここで前に出れなきゃ反撃なんて出来ない。

 これなら下側に3人投げ込んで大谷・南の2人を中央に移動させた方が数倍マシでしょ。


 どうしたものかと思っていると連続でブレイカーが撃破されたログが流れる。


「おい、桂子!どうなってるのよ!」


「ウルサイ!今、それどころじゃないのよ!」


 通信で確認してみたがサッパリ解らない。

 叫びたいのは、こっちも同じだっての!


 そう思っていると砲撃音が聞こえた。

 咄嗟に上空を見上げるも、こちらに砲撃が来る気配はない。


 ずっとこちらを狙っていたはずなのに何故?と思った瞬間、答えが表示された。



 ◆キル

 x レッドチーム:岡部 奈緒子

 〇 ブルーチーム:鈴木 桃香



 思わずため息を吐く。

 そして―――


「いい加減にしろ、岡部ぇーーー!!!」


 耐えきれずに思いっきり叫んだ。



*現在

 レッドチーム:960P【岡部x2 三島x1 佐藤x1 -40P】

 ブルーチーム:1000P






高橋は周囲のレベルの高さについていけず、諦めモードになってしまいました。

元から琵琶湖女子戦で心が折れかかっていたのが原因ですね。

これから彼女が立ち直ることが出来るのか?


そしてみんな大好き鳥安は、淡々と実力差を見せつけています。

みなさん大好きU-15勢の中でも一番の実力者でもありますからね。

やられてしまった三島や佐藤は、復帰後どうするのでしょうか。


そんな中、黒澤と大野による喧嘩勃発。

この泥試合に決着は付くでしょうか。


点差をつけられてきたレッドチームの巻き返しはあるのか?

岡部は汚名返上することが出来るのか?


次話、決着編へと続きます。


*後書きで作者感想的なのを試験的に載せてみてます。

 あと兵科マークへのご意見ありがとうございました。

 好評なようなのでなるべく継続するようにしようと思います。


*誤字・脱字などありましたら修正機能もしくは感想などからお知らせ下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] クソバードちゃんの現状表現。 実力が周囲より一歩どころか二歩くらい抜きんでている一方で、、性格はこのありさま。(w 第32話のアリスの鳥安評を思い出しました。 >「褒めるとスグに調子に乗…
[一言] 鳥安の間延びした喋り方が、慢心、つけあがり、傲慢、舐め腐った態度、煽り、やる気の無さ(鳥安が鳥安たる由縁・鳥安のアイデンティティ)を感じさせる。鳥安が先輩達は楽しそうとか言ってるけど、強敵と…
[一言] 独り言になるとハイエナクソバード感マシマシになって好き
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