第109話 選考会紅白戦2戦目:前編(2年目)
■宮本 恵理:琵琶湖初心者3人組の1人。様々な経験を経て現在のスタイルとなる。大盾・大型マシンガン・ブースター・大型警棒を持つ防御重視の高機動ストライカー。
■笠井 千恵美:琵琶湖女子2年。元U-18。ブースター・ガトリング・腕部ロケ・腰にロケットランチャーを持つ高機動タイプのストライカー。
■宮島 文:今回はストライカーで登場。両手ともニードルミサイルでブースター装備という思い切った装備編成。
■近藤 冬華:アイドルユニット【Twinkle star】のメンバー。支援ポッドを装備する支援重視かと思えば両手に小盾・小型マシンガンに肩には片側ミサイルを両肩に搭載して、ひたすらミサイルを撃つタイプ。技量よりも完全に装備性能に頼り切った感じ。
■鈴木 桃香:元U-18で大神の天才砲撃手。ピンポイント砲撃の腕前は世界一とも言われている。
■岡部 奈緒子:元U-15。新城に憧れ、まったく同じ装備をしている。そのままU-15で活躍出来てしまったために、自身の問題点に気づけていない。
■池上 聖華:武装満載の要塞のようなストライカー。その一斉射撃による火力は非常に高い反面、非常に鈍足であるため高機動戦には一切対応出来ない。
■北条 蒼:双子の姉。サポーター。以前は凡人選手だったが度重なる試合を通して成長してきている。しかしまだ琵琶湖メインメンバーと比べると数段劣ってしまう。
■北条 紅:双子の妹。アタッカー。姉同様パッとしない選手だったが例の集まりなどで成長中ではあるものの、まだまだ技術も経験も不足気味。
■side:レッドチーム 岡部 奈緒子
ようやくここまで来たという気持ちだった。
U-18女子日本代表。
新城先輩に憧れ、やっと同じ舞台に立てる。
そんな気分だった。
マップは、軍事基地。
ちゃんと公平に評価するために変更しないとのことだ。
今回の代表は人気投票で選ばれるというふざけたものだったので、選考会は形だけになると思っている。
どう考えてもアイドルとか無理でしょう。
それに明らかに何人か実力が足りていない選手も居る。
1戦目の試合を見ていればそれは明らかだ。
まあ、とりあえず実力を示す。
それだけだ。
今回、リーダーを誰にするかでもめた。
正直誰もやりたがらないのだ。
リーダーなんてもの好きがやるものだものね。
結局厳正なる抽選の結果、池上選手がやることになった。
……あの武装の山で本当に動きまわれるのか心配ではあるが。
そんなことを考えている間に開始時間となる。
―――試合開始!
開幕のアナウンスと共に一斉に走り出す。
今回こちらの作戦は、中央を押し込むこと。
だから中央に5人投入する。
逆に南側が2人と少な目になっているが、そちらには大谷・南コンビを配置している。
誰もが『この2人なら大丈夫だろう』と言っていた。
世界戦の試合を見た時も安定していた2人だ。
間違いなく問題ないだろう。
逆に上が少し心配だ。
黒澤選手が居るが、残り2人がブレイカーという少し不安が残るメンバーである。
特に1人アイドルが混ざっているので、余計に不安だ。
まあ負担をかけている分だけ中央を早く抜けばいいだけ。
そう思って勢い良く前に出る。
すると相手も中央にそれなりの人を向けてきた。
一瞬『かち合った?』と思ったが、どうやらそうでもないらしい。
正面にはストライカーとサポーターが1人づつ。
こちらはアタッカー・ストライカー・サポーターで3人。
人数的にも有利だ。
*画像【軍事基地:選考会2戦目】
ブースターを吹かして前に出てガトリングを撃つ。
すると相手から一斉に小型ミサイルが飛んできた。
噂の新型ミサイルだ。
「さあ、これを避けきれるっすかッ!」
正面の宮島選手は両手とも新型ミサイルを装備しており、両方から大量の小型ミサイルが飛び出す。
流石に全て避けれずに少し被弾するも大したダメージではない。
ただ爆発音と衝撃で周囲の音が聞こえにくくなり、爆発で体勢が微妙に崩れて動きにくい。
しかもサポーターのアイドルは、両手の盾で防御を固め両肩に装備している肩ミサイルで一斉攻撃を仕掛けてきた。
こうも障害物がない場所で、高速ミサイルと誘導ミサイルに追い回されてはどうしようもない。
後ろの双子がカバーに入ってくれるものの、それでも何故か私に攻撃が集中する。
「一番の脅威を先に排除したいって訳ね!」
相手もそれなりに頭を使っているということだ。
しかしそんな単純な作戦で私を倒せるなどと思わないで欲しい。
とりあえず手数を潰すためにもアイドルから倒すべきでしょうね。
そう思って攻撃をアイドルに集中させる。
「さっさと消え―――」
小型ミサイルの爆発音が煩くて『それ』が聞こえなかった。
「―――ッ!?」
気づけば横から大盾を構えながら突っ込んでくるストライカーの姿。
そして流れるようにシールドバッシュでガトリングを上へと跳ね上げられ、バランスを崩した所に大型警棒が迫ってきた。
◆キル
x レッドチーム:岡部 奈緒子
〇 ブルーチーム:田川 秋
■side:レッドチーム 笠井 千恵美
スタート合図から一斉に飛び出す。
中央突破という作戦に従って前へと出る。
すると正面には、大盾と大型マシンガンを持ったストライカーの姿。
「ああ、恵理ちゃんじゃな~い。久しぶり~。最近絡んでないけど大丈夫かなぁ~?」
「千恵美さんじゃないですか。そちらこそどうしました?迷子にでもなりましたか?」
「大人しくやられるなら怖くないようにしてあげるわよ?」
「それはこちらの台詞ですよ?」
「あら、言うじゃない。いつもビクビクして壁裏に隠れてる癖に」
「新城先輩の『おこぼれ』で戦績伸ばしてる人が、何を言っても説得力ないですよ?」
「はッ!言うようになったじゃない!腕前もそれなりに上達したのかしら?」
「口だけ上達した人も居るようですけどね?」
「……へぇ。いいわ。後悔させてあげるッ!!」
最近あの集まりで琵琶湖女子内での交流の方が少し減っていたぐらいだ。
その関係でしばらく絡んでいなかった恵理が、別人のように強気になっている。
先に『口撃』したのは私だ。
しかしこんなにイラっとした返しを受けるとは思っていなかった。
とりあえずその自信を叩き折ってやる。
ブーストを吹かして接近する。
すると向こうもブーストを吹かして一定の距離を保ってくる。
よく後ろを見ずに全力で後ろに下がれるなと感心する。
こういうのはどうしても恐怖心が出てくるからだ。
だがそれだけで大口を叩いていい理由にはならない。
速攻で潰して実力差を見せつけてやる。
そう思って更に踏み込もうとした瞬間。
横から高速で迫って来るストライカーの姿。
手には大盾と大型警棒。
「―――チッ!」
ブースターを制御して反転しながらも迫ってきた相手の大型警棒による一撃を回避する。
そしてまだ諦めずに迫ってこようとする相手にガトリングを撃ちながら全力で後退した。
相手のストライカーは無理だと判断したのか、スグに反転して下がっていく。
そこに追撃を入れようとすると恵理が出てきて邪魔をしてきた。
「あれぇ~?どうして逃げるんですかぁ~?」
「ちょっとしたハンデよ。あまりにも一方的に押し込んだら可哀想でしょ?」
「遠慮なんていらないですよ?さあもっと前に。『後悔させる』のでしょう?」
あからさまな挑発に乗る訳にはいかない。
前に出れば、またあの接近タイプのストライカーが側面から突っ込んでくるでしょう。
……しかしこのままでは終われない。
そう思っていると突然ログが動いた。
◆キル
x レッドチーム:岡部 奈緒子
〇 ブルーチーム:田川 秋
発電所の下側で戦っていた岡部がやられたようだ。
するとスグに相手側の攻勢が強まる。
「敵が一気に迫ってる!止めきれない!」
「一旦下がって仕切り直す!援護を!」
「了解!とにかく一旦下がりましょう!」
双子の言葉にリーダーの池上が答える。
中央全体が退くとなった以上、私も下がらなければ取り残されてしまう。
仕方なく後退を始める。
「そんなに逃げなくてもいいじゃないですかぁ~!」
そう言いながら恵理が一定距離を保ちつつも追撃を仕掛けてくる。
本当に鬱陶しい限りだ。
「くっそー!」
私は叫ぶことしか出来ない。
真っ直ぐ逃げていると先読み砲撃まで飛んでくるため、変則的な動きを混ぜつつ逃げに徹する。
流石に桃香の砲撃まで相手にしてられない。
結局、岡部の奴が早々にやられたせいで作戦が破綻し、逆に中央を押し込まれる結果となった。
*画像【軍事基地:選考会2戦目開始後】
宮本が言い合いが出来るほど成長したのは、間違いなく例の集まりで煽られまくったからですね。
田川は最初期からの高機動重装甲ストライカー勢でこれにLEGEND選手生命かけてます。
なのでかなり強いはずなのですが、どうしても安田を筆頭に琵琶湖女子相手だとイマイチになってしまってます。
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**お知らせ**
今回の戦場マップイラストから試験的に『兵科別のマーク表記』を採用してみました。
これが好評ならこの形になります。
一応イラストの左側にも記載していますが
アタッカー『三角形』
ストライカー『五角形』
サポーター『菱形』
ブレイカー『六芒星』
という形にしました。
どちらでも良いという話であれば戻すと思います。




