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異世界で僕は美少女に出会えない!? ~《ウェステニラ・サーガ》――そして見つける、ヒロインを破滅から救うために出来ること~  作者: 東郷しのぶ
第四章 バイドグルド家の白鳥

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登場人物の紹介(4章まで) ※ネタバレあり + 小話(イラストあり)

★ページ途中に、ミーア(真美探知機能発動バージョン)のイメージイラストがあります。

 4章までの情報で、簡単に人物紹介をします。5章以降閲覧の際の参考にしてください。〝ネタバレあり〟ですので、4章以前を未読の方はなるべく読まないようにお願いいたします。

 内容的には『登場人物の紹介(3章まで) ※ネタバレあり』の続きになります。


◯サブロー……主人公。本名は、間中三郎。16歳。けど、もう単に「サブロー」で良いような。作者も、サブローの姓の「間中」は忘れている有り様。

 もと日本の男子高校生。《彼女欲しいよー同盟》の一員でもあった。


 風采は凡庸(ぼんよう)。黒髪に黒瞳はウェステニラでは珍しいが、背景に溶け込めるモブ的雰囲気のおかげもあって、特に目立たない。


 ウェステニラ転移前に受けた鬼たちによる地獄の特訓の成果で、武術の腕前は達人級。魔法も、光・闇・火・水・土・風と全系統を使いこなせる。愛刀は、ミーアの父であるダガルより譲り受けた通称〝ククリ〟。

 更に恋愛特訓の賜物(たまもの)である真美(しんび)探知(たんち)機能(きのう)によって、女性の《本質的な美しさ》を……まぁ、これはもう良いですね。


 4章では、タントアムの旅館に侵入してきた男を撃退。またバイドグルド家の騎士10人近くを瞬く間に戦闘不能状態に追いこんで、その実力の一端を垣間(かいま)見せた。

 ナルドットの街に到着後、バイドグルド家の屋敷で面会したオリネロッテの魅了に一時的に惑わされたものの、自力で正気に戻った。


 ウェステニラへ転移してきた当初は「自由気ままなスローライフも良いかな~」などと浮ついていたが、窮地に追いやられているフィコマシーとシエナの力になるため、冒険者として成り上がることを決意。『ハーレム城建築の夢』は取りあえず脇に置いている。拾い上げるか放置するかは、今後の成り行き次第。


 性格は、どちらかと言うと温厚。しつけの行き届いた家庭で育ったので、局面に応じた礼儀も弁えている。とは言え、大切な人が危なくとなると、プッツンするケースもある。

 4章終了時点でサブローにとって〝大切な人〟は、ミーア・シエナ・フィコマシーの3名。友達扱いしていたバンヤルは入っていない模様。友人失格である。


◯ミーア……猫族の少女。14歳。ちなみに猫族を含めた獣人の歳の取り方は、人間とほぼ一緒。

 容姿は、2足歩行のリアル猫(真美探知機能を通して眺めた姿は、猫耳・尻尾つきの女子中学生)。しかし猫背では無く、背筋はピンとしている。睡眠中は丸くなっているが。身長は、サブローの胸にやや届かない程度。


  挿絵(By みてみん)


 黒い毛並みに黄金の瞳のミーアは、猫族少年からモテモテだった。でも、獣人の森を出て以降もモテモテである。サブロー・行商人4人組・フィコマシー・シエナ・リアノンと、ミーアの可愛さの(とりこ)となる人間は増大中。


 オリネロッテの魅了から解放される際、ミーアの中でサブローが如何に重要な存在であるかがハッキリした。要するに、ミーアは「サブローが大好き」なのである。『サブローと一緒に冒険者になって、スナザ(ミーアの叔母、1級冒険者)みたいに活躍すること』が、ミーアの目標。


◯シエナ……侯爵令嬢フィコマシーに忠義を尽くすメイド。17歳。身長・体重は平均。容姿も平凡。グレーの髪にブラウンの瞳。


 サブローはシエナの瞳のことを『琥珀のようにキレイだ』と感じている。けれど、そんなセリフを告げられたら、シエナはノボせて卒倒しかねない。幾度も危機を救われた上に、サブローが自傷してまでオリネロッテの魅了を振り払った様を見て、俗に言う〝ゾッコン状態〟なのである。

 (もっと)も、比較的表情や挙動は落ち着いているため、サブローはシエナの気持ちには気付いていない。


 何故か、女騎士リアノンにライバル意識を燃やしている。

 なお、あくまでシエナにとって最も大切な人はフィコマシーである。それだけは、絶対譲れない。


 4章ではシエナの武術の師匠がスナザ(と後1人、シエナに余計な智恵を付けまくっている女剣士)である事実をミーアが知り、『アタシとシエナは姉妹(きょうだい)弟子(でし)にゃ!』と喜んだ。シエナも、嬉しがる。但し、両人とも自分が〝姉〟に当たると思っている。


 サブローが真美探知機能を使用しつつ注視しても、シエナの姿はあまり変わらなかった。モブメイドのままである。ただオーラを発する〝スペシャル・モブ・メイド〟になった(作者も何を言ってるか、分かりません)。


◯フィコマシー=バイドグルド……バイドグルド家の長女。16歳。金髪に青い瞳(サブロー曰く、サファイアの瞳)。体型は、たっぷんたっぷん。イメージ的には、肉まん・マシュマロ・鏡もち。『白豚』との陰口を叩かれているが、ブタ好きのサブローは褒め言葉だと勘違い中。


 シエナを除く周囲の人間全てが妹のオリネロッテを贔屓(ひいき)してフィコマシーを蔑む状況に、長年耐えてきた。聡明で、精神の芯が強い少女。


 突如現れた救いの手であるサブローの言動に戸惑いつつも、次第に心を傾けていっている。けれど『自分の不幸に巻き込んでしまうのではないか』という危惧もあり、全面的にはどうしても頼れない。伯爵家次男坊の婚約者が居る。


 真美探知機能を発動させたサブローは、彼女の内面の奥の奥に、封印された小箱を発見した。


◯オリネロッテ=バイドグルド……バイドグルド家の次女。『白鳥』との美称あり。15歳。銀色の髪に、エメラルドと見紛う緑の瞳。清楚にして妖艶。出会ったあらゆる人間を一目で魅了してしまう、絶世の美少女。ベスナーク王国の王太子から、熱心に求愛されている。

 サブローたちをも幻惑した〝魅了の力〟の源は不明。しかし、相手の心を闇で浸食する不気味さがある。


 気取らない性格で姉のフィコマシーにも気遣いを見せるが、イマイチ真意は掴めない。


※注 作中では16世紀のスコットランド女王メアリー・スチュアートに例えましたが、僅かに残るメアリーの肖像画は現代の日本人から見てあんまり美人には描かれていません。外見をイメージするなら、19世紀のオーストリア皇后エリーザベト(愛称シシィ)の写真のほうが参考になるかも。


◯ワールコラム=バイドグルド……ナルドットの街を治める侯爵。年齢は40代前半。フィコマシーとオリネロッテの父親。アッシュグレーの髪に口髭と顎鬚を整えた男らしい風貌。

 7年前に仲の良かった妻を亡くして以後、フィコマシーに辛く当たり、オリネロッテを溺愛するようになった。


 統治者として極めて有能で、ベスナーク王国女王メリアベス2世よりの信頼も厚い。


◯クラウディ……オリネロッテの専属護衛騎士の1人。18歳。長身で、オレンジの髪に端正なマスク。いわゆるイケメン。サブローと並ぶと、どう見てもクラウディのほうが主役っぽい。

 バイドグルド家随一の剣の使い手。サブローは『純粋な剣術勝負なら、おそらく自分より強い』と推定している。


◯アンコ(仮)……クラウディと共にオリネロッテに近侍している少女。おかっぱ黒髪に黒瞳と、日本人的な顔立ち。黒いローブをまとった魔法使い。ミーアとどっこいどっこいの身長で、かなり背は低い。チンマリしている。本名不明。

 サブローは「あんころ餅みたいなのでアンコ」と勝手に命名した。失礼な話である。


◯リアノン……バイドグルド家に仕える女騎士。19歳。オーク絶対(ころ)すウーマン。ナルドットへの道中で、サブローと一戦(いっせん)交えた(意味深(いみしん))。


 サブローは〝憧れの女騎士〟との邂逅(かいこう)に寸秒興奮したが、直後に失望することになる。『異世界の女騎士すなわちビキニアーマーの美少女戦士(←少年の欲望がダダ漏れ)』と妄想していたサブロー。最低だ。にもかかわらず、リアノンが普通にチェインメイルで武装しているだけだったためである。

 しかもサブローよりも背が高く、なんかゴツゴツした感じで、赤茶けた髪を乱雑に束ね、目つきが悪い上に、低音ボイスで言葉遣いは荒く、騎士団の仲間からは〝狂犬〟と恐れられていた。

 加えて『右目の眼帯はちょっと格好良いかも』と辛うじてその一点に好感を持っていたところ、単に〝物もらい(・・・・)〟を隠しているに過ぎなかった。以来、サブローはリアノンのことを心中では「眼帯詐欺女」と呼んでいる。一方的に期待した挙げ句に裏切られた気分になるとは、サブローも我が侭だ。


 リアノンはオリネロッテに心酔しており、彼女の専属護衛騎士になることを目指し、日夜訓練に励んでいる。サブローやクラウディには及ばないものの、腕はかなり立つ。あと、ショックを受けると口調が幼児帰りする。


◯キーガン……バイドグルド家騎士団の重鎮。中年男性。戦闘意欲マックスのリアノンを制し、サブローたちへ理性的な対応を行った(フィコマシーには冷淡だったが)。


◯ブランとボートレ……バイドグルド家の騎士。フィコマシーの護衛任務に就いていたが、賊に襲われた彼女を見捨てて逃亡し、騎士団へは虚偽報告を行っていた。ナルドットの街の手前でサブロー達と遭遇、ミーアを蹴り飛ばしたりシエナに暴言を吐いたりしたため、ぶち切れたサブローによって倒された。


◯バイドグルド家騎士団員……4章に登場したのは、キーガンに率いられた約10人。揃って騎士道の名著『ハ・ガクーレ』を愛読し、サブローとバンヤルの仲をいろいろ集団妄想した。バイドグルド家の先行きが深く懸念される。キーガンとリアノン以外はサブローに負けてしまったが、遺恨(いこん)を残す真似はしなかった。現時点でのクズの騎士は、ブランとボートレのみ。

 リアノンのガサツな振る舞いを日常的に見続けてきたせいで、〝女性への幻想〟が壊れてしまった若手の騎士は多数に上る。哀れである。


◯黒ずくめの少年……タントアムの町で、フィコマシーたちが宿泊していた旅館へ侵入してきた。闇魔法の《睡眠誘引スリーピングインデュース》を使用。緊迫した場面でも、おちゃらけた言動を取る。

 本人は「王子の命令で来た」と述べていたが、真偽は不明。


◯マコル……行商人一団(マコル・キクサ・モナム・バンヤル)のリーダー。40代の男性。やり手の商人で、取引相手のネポカゴ商会はナルドット屈指の大店(おおだな)。頼れる大人として、サブローへも有益なアドバイスを度々(たびたび)してくれる。

 けれど、4章ではケモナーたる性癖がいかんなく暴露されてしまった。実は、バンヤルに負けず劣らずの〝ミーア至上主義者〟である。


◯バンヤル……行商人一団の見習い。サブローと同世代。重度のケモナー。バイドグルド家騎士団との(いさか)いの際、サブローと呼吸の合った連係プレーを見せた。現状、ヒロインたち(ミーア・シエナ・フィコマシー)より、サブローと心が通じ合っている。

 5章では、彼の実家が経営している宿屋にサブローとミーアが訪れる予定。サブローの親友ポジションに昇格する可能性あり。


◯レッド・ブルー・イエロー・ブラック・グリーン……特訓地獄でサブローをしごきまくった鬼たち。実際の出番は1章だけだったのに、その後もしつこくサブローの回想シーンに出てくる。指導に関して、サブローは恩に着つつも恨んでいる。しかしサブローがウェステニラで生きていけるのは、彼らによる訓練のおかげである。


 風魔法や光魔法の活用によって〝オリネロッテの魅了〟の呪縛からミーアたちを解放できたのだから、サブローはイエロー様にもっと感謝すべきだ。グリーンにより植え付けられた恋愛観や、教え込まれた恋愛スキルへの評価は、なかなか難しいところではあるが。



 登場人物の紹介のみでは退屈なため、おまけの小話を付けます。『猫のことわざ』シリーズです。


※サブローとミーアの会話。ミーアは、かなり人間語が上達している設定。シチュエーションはテキトー。



「ああ、スケジュールが過密だ。ホントにホントの『猫の手も借りたい』忙しさ!」

「アタシが手伝うニャ! 『猫の手』を貸すニャ!」

「くっ……! まさか、ことわざが現実化する状況をこの目で見られる日が来ようとは! 感動だ! これだけでも、ウェステニラへ転移してきた甲斐があった」

「……? サブロー、何を涙ぐんでるのニャ?」



「サブローの将来の夢はニャにかな?」

「それは、ハーレ……じゃ無かった。う~ん、そうだな~。お金を稼いで一軒家を建てることかな」

「堅実にゃ」

「『猫の(ひたい)』ほどで結構なので、自分の土地を持ちたいな」

「〝アタシのおデコ〟くらいの広さで良いニョ!? いくらにゃんでも、あまりにも狭すぎるニャン。そんにゃ所に戸建(こだ)てを作れるにょは、せいぜいカタツムリ程度にゃ」

「カタツムリは、既に背中に我が家を所有しているよ……」



「ミーア。金貨を手に持って」

「持ったニャ」

「おお……これが、リアル『猫に小判』。あとはフィコマシー様へ真珠をプレゼントすれば、まさに『猫に小判・ブ◯に真珠』の3D(スリーディー)映像化! それにしても、フィコマシー様が真珠のネックレスをしてる姿は、あたかも◯タさんに首輪を着けているような……少女に首輪……『猫の首に鈴』……ミーアの首に鈴……チリンチリン……シエナさんの首にもリボンを巻き付けて……3人お揃い……シエナさんに〝メイドがご奉仕するニャン〟とか言わせちゃったり……ハッ、僕は何を考えているんだ! フィコマシー様がヒレポーク(注 サブローの友人が飼っていたペットブタ)を連想させるほど可愛いからと言って、ミーアがキュートな猫族だからと言って、シエナさんが可憐なメイドさんだからと言って、淫らな白昼夢を脳内に浮かべちゃうとは……くそ! 僕は思春期の誘惑になんか、負けないぞ!」

「サブローが、悶えてるニャ。意味が分からないニャン。この金貨で、おやつの鰹節(かつおぶし)を買ってきても良いかニャ?」


 ミーアの目前で身体をクネクネさせるサブロー。その痴態(ちたい)を遠望しつつ、チュシャー(クールビューティーな赤猫さん)とブリンデ(物欲全開の白猫少女)が語らう。


『サブローからは〝過去に厳格な修行場で心の鍛錬に努めた〟と伺っていましたが……サブローにとってにょ精神修練は、結局のところ「猫に小判・豚に真珠・馬の耳に念仏」に過ぎなかったようですにゃ……』

『私は、小判も真珠も欲しいニャン。大判(おおばん)金剛石(こんごうせき)でも、良いニャン。けど、念仏は要らないニャ』

『はぁ~、〝ブリンデに小判〟は、「猫にマタタビ」と同義ですニョね。でも、ミーアから金貨を「猫ババ」しちゃダメよ』

『しないニャ!』

『ブリンデも、年頃にょ女の子でしょ。もっと愛嬌(あいきょう)を……』

『大丈夫ニャ。ターゲットの前では「借りてきた猫」にょように大人しくして、更に「猫を被って」「猫撫で声」を出すようにするニャ』

『「猫の目」みたいに態度を変える訳ネ』

『にゃ』


 ミーアは鰹節を探しに行き、チュシャーとブリンデもその場を去った。


「ダ、ダメだ! ミーア、フィコマシー様、シエナさん。そんな猫プレイは、まだ早すぎる。まずは猫メイドの定番、『猫も杓子(しゃくし)も』装着する猫耳カチューシャから始めましょう。あ、カチューシャを取り合わないで! 『キャットファイト』は止めてください!」


 煩悩(ぼんのう)にまみれながら大地を転げ回るサブローの側には、『猫の子一匹いなくなって』いた。

 まぁ、サブローはこんなヤツです……。


 ミーアのイラストは、Ruming様(素材提供:きまぐれアフター様)よりいただきました。ありがとうございます!

 次話から5章スタートです。

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― 新着の感想 ―
ミーアのイラストはとても可愛いのです……が! 私は猫成分に飢えているのです。 逆真美探知機能が必要ですね! (╹▽╹) バンヤルくんがレギュラーを虎視眈々と狙っているのか。次章に期待大ですよ。 鬼…
[良い点] まさかのサブローとミーア、マコルさんまでもが魅入られてしまうという事態。 そしてまたしても、という絶望をまのあたりにしたフィコマシーとシエナさんの心境があまりに苦しくて、つらくて……。 あ…
[良い点] 人物整理がいつも丁寧で助かります、有り難く楽しいですね。最後のコメディなやり取りも良い雰囲気を醸していて素晴らしいと思います。猫に悶えているサブロー、久々にらしさ全開でしたね。
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