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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
98/211

王国サイド

昨日の地震、私は夜勤明けで震度5となった地域におりました

幸い、同僚含め怪我などもなかったのですが……電車が止まって、帰れないという状況に

数時間待つも電車の復旧は欠片も見えず、バスは物凄い長蛇の列で、普段使わないからどれに乗ればいいのか分からないという状況

最終手段として三時間かけて歩いて帰ったんですが……普段運動不足な人間がいきなり三時間ものウォーキングを夜勤明けにやったらどうなるか……ただいま実感しております

足がー腰がー!

 それが生まれたのはまったくの偶然だった。


 植物の竜王。

 そう呼称された相手は討伐が一度は成功したと思われたが、その後現地に赴いた所、同じものが出現していた事。

 改めて討伐を行うも、三度目も復活が確認された事から現地の制圧は断念された。

 

 「おそらく本体は別にあって、あれは操り人形のようなもの」


 研究者達はそう判断を下したし、実際それは間違ってはいなかった。

 さて、この植物の竜王の人形だが、その後幾度か討伐が行われた。理由は至極単純で、確かに竜王の本体ではなかったものの、素材としては通常の上位竜のそれを上回る極めて上質の品だったからだ。おまけに、なまじ操り人形として確立している事、本体に危害が及ばない事から来るのか行動パターンがある程度決まっている事もそれを後押しした。

 無論、だからといって少し対応をミスすれば簡単に一機の機竜と操縦者が丸ごと叩き潰されるので簡単な事ではないが、それでも行動パターンが決まっているというのは討伐を行うにあたっては大きい。

 そうやって集まった素材を元に色々弄っている内に突然変異的に一体の奇妙な形質を持つ存在が生まれた。


 属性の吸収。


 言葉にすればそれだけだが、属性による攻撃を無効化出来るというその意味は大きい。

 再現も図られたが、すぐにそれは無理だと判明した。

 

 「どこでどれがどのように影響してこうなったかが分からないのです」


 研究者の言葉だ。

 元々、別の目的で薬などを加えて、いざ耐久実験となった際に初めて「属性を吸収する」という事実は判明した。当然、「その前のどれが有効に働いてこういう特性を持つようになったのか」「そもそも、実験の順番や細かい内容はどうだったのか」「その時の気温などの条件は」となると分からない点も多い。

 かといって、細かな再現実験を行おうにも素体の数は限られている。

 幾ら、ある程度の数が確保出来たとはいえ、やはり相手は竜王級の一体。十分な準備を行い、精鋭と呼ばれる人材に入念な整備を行った最高クラスの性能を持つ機竜を与え、砲撃部隊などを動員し、一晩近く戦いを続けてやっと一体の討伐が可能となる。

 幸運にも機竜が全て健在だったとしても誰もが疲れ切り、連戦など不可能。 

 そもそも、砲撃部隊らの物資も相応に消耗している。

 少なくとも、「再現実験をするので、最低でも十体以上潰します」という話が通るはずもなかった。


 「まさかこれに私が一番相性が良いとはな」


 王が苦笑を浮かべながら乗り込もうとしていた。

 

 「……陛下」

 「仕方あるまいよ。こやつは相性次第で随分と発揮出来る性能に差が出てしまう」


 大量生産された武器や兵器の神髄は誰が使っても似たような性能を出せる事にある。

 もちろん、個人の技量が物を言う場面はある。同じ剣を使っても、熟練の剣士と初めて剣を持った素人では普通は前者が勝つ。同じような分厚い鎧を着こんでも、鍛え上げられた兵士と子供では前者がそれでも問題なく動けるのに対して、後者はまともに動けなくなるだろう。

 だが、武器や鎧の性能自体は軍が使うのならば似たようなものでなければならない。

 熟練の剣士が扱えば、どの剣を握っても同じように扱え、同じように活躍出来る、それが軍という組織が持つならば理想的な武器だ。同じように、機竜とて個々の技量次第でどのぐらい上手く操縦出来るかどうか、といった差はあっても同じような竜を素体として使えば、同じような性能を発揮できるのが理想だ。間違っても、一体だけの特殊な能力を持ち、おまけに乗り手次第で機体の性能まで変わってしまう――ある者が乗れば空を飛び、高速で大地を駆けるのに、別の者が乗った途端にノロノロと亀のような歩みしか出来ない――というのは兵器としては失格もいい所。

 問題は、その兵器の性能が最高の状態を発揮するならば群を抜いて高く、優秀な性能を持つという事と、敵もまた一品物に等しい竜王であるという事。

  

 「何、こやつも私を認めていると考えればそう悪い事でもなかろう」

 「は……」


 そう言われても臣下としては王を最前線に出して、竜王と戦わせるというのは忸怩じくじたるものがあるのだろう。 

 

 「陛下」

 「ご武運を」


 もはや臣下達に言えるのはこれしかない。

 

 そうして、精鋭たる近衛達は見事な働きをした。

 決死の覚悟で二体の竜王に挑み、相手の躊躇いにつけこんででも時間を稼ぎ、王の操る機竜、通称、蝕樹竜しょくきりゅうを火の竜王の所まで届けたのだから。

 けれど、それでも。

 それはようやくまともな戦いの入り口に立てただけだという事を誰もが理解していた。 


 「さあ、行くぞ、物語の竜王」


 テンペスタの名前までは知らぬし、教えられていない王は蝕樹竜の中でそう呟く。


 「人が勝つか、竜が勝つか。最後の最後まで足掻くぐらいはさせてもらおう」

なろうの本社も今回の地震の震源地近くだったんですね

大きな問題は発生してないようで、一安心ではあります

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