異質なる脅威
何時もより投稿が遅れましてすいません
原因?
……食いすぎで、腹が持たれました。いや、つい……
テンペスタは火の竜王の声には当然気づいた。
だが、周囲には厄介な事に多数の上位竜を素材とした機竜が飛び交っていた上、地上からも攻撃が加えられていた。
この時、水以外の上位竜素材の機竜は全て、テンペスタの周囲に集っていた。
もちろん、テンペスタが伝説の「物語の竜」であった事や、王国の要人であるルナの意図を考慮しなかった訳ではないが、それらも戦争となれば無視される。このような事になったのはただ単に「複数の属性を持つ事が確実な上、高速で空を飛ぶ竜王」を狙うか、「火のみの属性を持ち、地上を歩む竜王」を狙うかを選ぶ際、後者を選んだというだけだった。当然だろう、誰だってそっちを選ぶに決まっている。
結果として、テンペスタの周囲を風の機竜が、地上から火と地の機竜が攻撃を続けるという光景が展開されていた。
「うっとうしい!!」
苛立つが、それでも尚、テンペスタには周囲の機竜、正確にはそれに乗り込む者達を抹殺しようという考えには至らなかった。
そんな考えが浮かばないではない。だが、すぐに打ち消される。それに違和感を感じる当竜がいた。
(おかしい。ここに至って、何で自分はこうも彼らに配慮する、いや、してしまう?)
上位竜まではそうでもないが、竜王という階梯に至った竜は大半が人を害する気持ちに大きな制限がかかっているように思える。
岩の竜王は最後の一撃で相当数を吹き飛ばしたものの、そのまま永遠とも言える眠りについた。そして、今、自分が疑問に思っている事さえ、時折ふとした事で消えてしまう。
(いかん、こうしている場合ではない!)
火の竜王の声は明らかに異常だった。
それが瞬く間に小さくなっていく。
「やむをえん……恨むなよ!」
無茶を言うと我ながら思うが、そんな事を口にしながら(どうせ人語ではないが)、強引に突破する。
上位竜の体も相応の巨体だが、こちらは更に巨体。
その気になれば突破は可能だが、案の定、強引に突破された事で風の機竜達はいずれも落下していく。中には地面にそのまま叩きつけられる機竜もあり、内部の人族が無事かどうかは分からなかったが、それでも火の竜王の元へと急ぐ事を優先し、そしてそれは一旦包囲さえ突破してしまえばテンペスタには瞬時の事だった、だが。
「なんだあれは」
火の竜王の気配が未だ僅かに残る場所。
そこには巨大な触手の塊のようなものが存在していた。
「……正直見て、気分の良いものではないな」
思わずそう呟いてしまったが、それも当然だろう。
よくよく見れば、それは植物だった。
緑色の植物の根や蔦に見えるものが蠢き、球体状になっていた。
それだけならまだいいが、問題は……。
「あの中、だと?」
何故、焼き払わない?
当然の疑問だった。
「仕方ない、怪我をしても恨まんでくれよ!」
テンペスタは風の属性で巨大な刃を生み出し、それをなるだけ端を狙って撃ち込んだ。
それは正確に塊へと命中し。
「なにい!?」
切断される事なく、消滅した。
「どういう事だ」
急ぎ、炎を放ち、水を高圧で発射し、雷撃を放つ。
そして、その全てが消え、触手の動きはさらに活発になる。
これで、火の竜王が呑み込まれた理由は判明した。
「属性を吸収しているのか……?」
テンペスタにも出来ない事はない。だが、それは自然の属性、相手の放つ攻撃的な意図を持った属性など吸収出来る訳がない。
テンペスタが手をこまねいていたのは僅かな時間だったが、相手にはそれで十分だった。
ズルリ、と。
触手が一斉に方向性を持って動き出した。
次回は人の側から正体をば




