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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
95/211

王の力

行きつけの鍼灸院行ってきました

感じてた肩の張りが楽になりましたねえ

 無論、上位竜達は「自分達にまかせてほしい」と慌てたが、我々にしてみれば犠牲を少しでも減らしたくて動いたのだからそうはいかない。


 『一旦下がれ』

 『焦って動きが単調になっていますよ。少し下がって、落ち着きなさい』


 敢えて高圧的に発言し、それに火の竜王が補助して言葉を付け足してくれる。

 しばらく沈黙していたが


 「引こう」

 

 誰ともなしに上位竜達は後退した。

 分かってはいたのだろう。意地を張って、彼らが前線に居続けている間に少なからぬ同胞達が倒れている事は。

 だが、だからこそ、倒れたからこそ余計に引けなくなっていたのも確かだったんだろう。


 『さて、どう動きますかね』


 上位竜達が後退し、我々が前線に出た事に警戒したのだろう、人族の自爆型機竜は警戒した様子で距離を置いている。

 ま、そうだろうな。

 上位竜達が後退して、二体だけがわざわざ出てきたんだ。いわゆる、強い奴が出てきたと考えるのは当然だろう。


 『さて、始めるか』

 『そうですね』


 まずは自爆する連中を片づけるとしよう。

 連中は我々が前に出てきた時に、ひたすら何も考えずに突っ込んでくるべきだった。効果があったかはさておき、その方がまだ一矢報いる可能性はあっただろう。

 だが、連中はなまじ人族だからこそ、警戒してしまった。そして、距離を置くならこちらも遠慮はいらない。これで接近戦になっていたら火の竜王を傷つけないよう火だけで……そう、爆発も考えると一瞬で蒸発させるような形にしないといけなかった。

 所詮は爆発を前提としているのか、防御がそこまで高くない相手。純粋な火の機竜なら温度もそれなりに上げておく必要があっただろうが、なまじ火と風、土と水を混合しているせいで耐性もそこまで高くない。火と風を混合しても火災旋風にはならない、土と水を混合しても泥にはならない。物質とは違うんだ。意志を込めて、そうなるように願わなければ属性は見た目だけはそうなっても、中身は完全に分離した状態にある。

 故に、両者を搭載した機竜とやらはきちんと意志を以て制御してやらねば抵抗も中途半端になる訳なのだが。


 (制御出来る訳もないか)


 自分の体の事じゃないんだ。

 やるなら、そういう機能を持たせるべきだろうがそれをやれば今度は反発性を失い、結果として出力は下がるだろう。あの仕組みでは。

 こう考えればいいだろう、きちんと分離していれば岩製のダムでもって水を大量に貯める事が出来、その水を放出する事でエネルギーに変える事が出来るが、これが入り混じった泥だったらどうだろう?同じだけの土と水があったとしても後者ではエネルギーなぞ得られないのは分かるだろう。

 だからあの自爆機竜の製作者達は理解していたとしても耐性を上げれなかったのだ。

 

 ではきちんと理解した上で混ぜればどうなるか?


 こちらが風を、火の竜王が火を起こし、放出する。

 結果として生まれるのは熱風の竜巻。

 それを一気に横向きに五本。

 ズラリと並べた上で、相手に向けて放出する。慌てて動き出そうとしてももう遅い。


 轟!!!


 竜巻の音が吹き荒れ、力が解き放たれる。

 動き出そうとした自爆機竜が、だがほとんど動く事すら出来ずに瞬時に呑み込まれ蒸発する。たかだか二十万度程度の温度。それでも連中を蒸発させるには十分だ。……というか明らかに過剰な温度なんだがな。


 『僅かに空に飛んだものがいるようですよ』

 『ええ、誤差ですが』


 なにせこちらはあちらと違って、完全に制御しているからな。

 竜巻の横腹から新たな竜巻が立ち上り、上空に逃れた少数の自爆機竜をも蒸発させる。

 

 『まあ、こんなものだろう』

 『次は何をしてきますかね?』


 のんびり待つとしよう。

 願わくば諦めて、他大陸へ移住を決めてくれんものか。  

温度に関しては金属が気化する温度はもっと低いんですけどね

そこら辺は余裕もってちょっと力を籠めたらこの温度になったという感じです

ええ、当竜王達にとっては「ちょっと」なんです

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