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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
85/211

戦には準備が必要

来週月曜、親知らず引っこ抜く予定なので、熱出したりしてたら更新出来ないかもしれません

来週更新されなかったら「あ、寝込んでやがるな」とでも察して下さい

 頭痛い気分だわ。


 それが正直な気持ち。

 テンペスタが数年中央大陸を留守にしている間に情勢は急激に悪化していた。

 

 (折角、他の大陸の土地事情を改良してきたというのに)


 水を引いて河を生み出したり、森を育成しておいたり、動物を誘導してやったりと結構箱庭作りみたいで楽しかったのだが。

 基本はそこに人が住めるような環境を整える事だ。

 

 (少し熱中してしまったのは認めるが)


 それより現状だ。

 神妙ながら、どこか怒りを抱えた様子の竜や龍達。

 いずれもまだ若い上位竜が四体。先程倒れ、滅んだ個体を含めれば五体。

 話を聞けば、彼らも元々は別の地域に住んでいたらしいが、次第次第に追われる形になって、この地域に流れて来たらしい。追われると言えば「竜が追われるのか?」と思うのかもしれないが、ここでも人族はその数の多さを利用した。

 攻撃されても撤退可能なだけの戦力を数部隊用意した上で、絶えず攻撃を加え続ける。

 それこそ、朝も昼も夜も何度でも交代しながら。

 上位竜ともなれば睡眠も不要ではあるが、だからといって連日連夜、当たれば自分が怪我するような攻撃を受け続けていれば我慢も限界になろうというもの。かといって、追い払ってもしつこく何度でも攻撃され、さすがに怒って攻撃をかければ逃げるか、もしくは戦力が集結している場所へと誘い込まれて集中砲火を受ける。

 用意されている戦力は分割された部隊であっても、上位竜一体から逃げるだけなら何とかなるぐらいにまで上がっている。

 最後は長年住んでいて快適だった土地も荒れ果て、嫌気が差して、そこから離れる。そうしている内に同じような境遇の複数の上位竜が集い、交代で警戒に当たったり、複数で一気に殲滅をかけたりしてきたが、それに感づいた人族も大規模な戦力を投入してきたという訳か。

 そうして、人族が長年互いに相争って磨き上げた戦術の前に彼らは敗北を喫した。


 一体の竜。


 数字にすれば失われたのはそれだけで、倒した人族の数はその百倍はいるだろう。

 だが、五体の内の一体、竜達が失ったのは戦力の二十パーセントであり、一方人族が失ったのは大半が足止めの為の歩兵と考えるなら戦力の一パーセント程度。更にこちらは補充が効かず、あちらは更なる後詰の戦力が期待出来る。 

 負け戦だ、どう言いつくろった所で負け戦以外の何物でもない。


 「それでお前達、これからどうする気だ」


 ああ、竜も龍も首を傾げているな。

 

 「これからも人族はこの地へとやって来るだろう。今回は私が来たからどうにかなったが次はどうなる?」

 「「「「………」」」」

 「お前達も、もう理解しているだろう?人族の強みは数だ。これまではただそこにいるだけで数になりえなかったが、今は……」


 これまでは竜に対して傷をつけるだけの武器が人族にはなかった。

 もちろん、伝説、伝承、あるいは言い伝えで「竜を打ち倒した武器」「竜を斬り殺したと伝えられる伝説の武具」なんてものはあったが、実態は単なる噂話か、下位のトカゲを斬り殺した時に使われただけの話が大きく伝わっただけの話。上位竜相手では幾ら集まろうが有象無象の類、意味はなかった。

 だが、人族は長年かけてついに竜にも傷をつけるだけの武器を手にした。

 こうなれば、人族の数が大きな意味を持ってくる。上位竜が人族を殺しても、新たな上位竜はそうそう簡単には増えず下手をすれば数百年かけて十も増えれば良い方なのに、人族は精々数年から数十年もすれば数千数万、あるいはそれ以上の数が新しく出てくる。消耗戦になったらまず勝ち目がない。

 

 「しかし!だからといって奴らを見過ごす訳には」

 「分かっている」


 憤っているのはこの中で唯一の龍だ。

 多分だが、彼がリーダー格を務めていたんだろうな。


 「やるなら一撃で仕留める必要がある」

 

 そう、最早竜と人の戦いは止まらないだろう。

 例え、竜が人との戦いを望まなくても、竜と戦えると理解した人族の欲望はこれまで竜が住む故に手を出せなかった場所へと伸びてゆく。

 例えば、森の資源、木材や薬草、果実などの森の恵み。あるいは鉱山だって竜の領域にはあるだろうし、竜の「庭園」を奪えば一財産だ。

 間違いなくあるだろうけれど、これまで指を咥えて見ているしかなかった場所へと踏み込めるようになったなら間違いなく人族はやって来る。各国の王族や滅竜教団の最上層部がどういう思惑で今の流れを作ったのかはルナを通じて知っているが、そこまできちんとした理念を持って動いている者など極僅かだ。

 機竜とやらが大量生産されれば、どうしても目は行き届かなくなり、好き勝手にやらかす輩もまた増える。そんな奴が一万人に一人しかいなくても絶対数が多い人族では決して少なくない数になる。なら、そんな相手と戦うには?


 「一撃で決める、それしかあるまいよ」


 竜の側も力を結集させ、人族側との一大決戦で一気に片を着ける。

 その上で……。

 

 (人族と竜、それぞれ別の大地で生きるようにするしかないのだろうな) 

 

結局、強くても補充が効かない以上、一回で大勢を決めるしかないんだよね

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