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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
84/211

どうしてこうなってる

 どうしてこうなってる。


 「攻撃を集中しろ!!」

 『ぐああああああああっ!!』

 

 集中砲火によって一体の上位竜が倒れた。

 

 『おのれ!やらせんぞっ!』

 「回収班急げっ!!」

 「前に出てくるぞ!奴に攻撃を集めろ!!」


 別の上位竜が倒された竜の亡骸を運びだそうとする人族を妨害するべく前に出る。

 竜達にとっては亡骸を持って行かれるという事はまた新たな機械で動く、動かされる死体が増えるという事。

 一方、人族の側からすればまた新たな強力な兵器が誕生するという事。

 双方は激しく攻撃を交わし、勝利したのは人族の側だった。

 理由は至極単純、人族の側の方が数が多い。


 人族の側は機竜を大量生産していた。

 もちろん、竜の死体が材料だから限界はある。大半は下位竜が素材だし、倒せた所でぐちゃぐちゃの死体になっていたら意味はない。コアとなる部分や基礎となる部分、極力綺麗な形で倒さねばならず、また小型すぎて人族が乗り込めないような竜も使えない。

 しかし、それでも現在では滅竜教団だけでなく、彼らが武器、兵器を流した為に冒険者達も竜を狩る。

 綺麗に倒せば、王国が、連邦が高値で買い取ってくれるとあれば、彼らはなるだけ綺麗な形で下位竜を倒す方法を見つけ出そうとし、見つけ出す。

 結果、下位竜を利用した機竜に関しては一定数が滅竜教団のみならず、連邦や王国にももたらされるようになっていた。


 そして、レグザ王国は蓮華連邦に対しても機竜を販売し、一部の旧式に関してはライセンス生産を許可していた。

 これは王国上層部も「表立って使い始めた以上、何時かは情報は洩れる」と覚悟していたからだ。

 蓮華連邦にした所で今は友好国であっても、機竜という兵器は脅威であるはず。何とかして情報を奪おうとする事は確実だった。下手に暗闘して互いの戦力を潰したり、関係が悪化したり、最悪技術を奪われてタダで蓮華連邦でも機竜の生産が開始されるぐらいならば、最初からライセンス生産まで認めた方がいいと判断していた。

 蓮華連邦側からしても、堂々と開発出来る上、現在に間に合うのだから悪い話ではない。

 多数生産されればその分、経費も下がる。

 現在では、初期の旧式機竜に関しては輸送用、回収用の機体にさえ回されていた。

 こうなると、たった一体で突出し、戦闘しながら亡骸を回収するか焼き払おうとする竜と、攻撃を行う部隊と、回収に専念する部隊が連携しながら戦う部隊では圧倒的に竜側が強い!とかでもない限り、竜にとって不利となる。

 そうして、竜王クラスならともかく、上位竜では現状そこまでの戦力差はなかったようだ。それどころか……。


 『何をしている!突出しては』

 『があああああっ!!』


 ほら、やられた。

 無理をして突出するからだ。

 竜とまとめて言っても、なりたての上位竜と、年月を経た上位竜というだけでも大きな差があるからな。

 ここに更に体の構築を果たした竜王となれば更に差が開くんだが……。さて。


 「やっと着いたか」


 やれやれ、少しの間、新帝国と調査の為の外回りをしている間に随分と事態が進んだものだ。

 区切りがついたからと確認を取ってみれば、この騒ぎ。

 数年留守にしていた間に随分と事態が進んだものだ……。


 「新しい竜だとッ!?」

 「でかいぞ!!予備戦力を投入せよ!!」

 「余裕のある者は新しい竜を狙え!」


 人族は大体予想通りとして……。


 『助けに来てくれたのか?』

 『おお、竜王たる方が動いてくれるなど……』


 この様子からすると竜王達はまだろくに動いていないという事か。

 いい加減、竜王達も動かさねば、上位竜達との間の溝が巨大なものになりかねんぞ……。


 「失せろ」


 とりあえず亡骸を分解しておく。

 機竜が突然消えた事で呆然となっている連中をさっさと遠くへと飛ばしておいた。

 まったく……人族の欲望が遂にここまで来るとはな。

 かつては一つの都市に対して、包囲して人族側の謝罪を引き出したというのに、あれだけのまとまった戦力が集まっているのが未だボルシオン火山のみとは……。単独よりはマシとはいえ、未だ少数でたむろっているから各個撃破の対象となっているのではないか。

 まあ、協力するようになっただけ前よりはマシか。


 「さて、しばらくこの大陸を離れていたのでな、少し話を聞かせてくれ」

 『『『ははッ!!』』』


 ああ、うん。そんなかしこまらなくていいからさ……。


テンペスタ「ちょっと数年留守にしてる間に何があった?」

ルナ「数年あれば、人族は大分変化するんだよ、お兄ちゃん……昔とは違うんだってば」


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